【第3話】恋するパジャマ『悪魔とキッス!』

2020.07.30

まだ“恋”をしたことがない野乃花(ののか)は、理想の初恋相手を見つけるため、恋愛リアリティーショー番組『恋する❤︎週末ホームステイ』に参加。そこで出会った理想の王子様・シンの気になっている女性が“2人”いるということを知った野乃花は……。『悪魔とキッス!』第3話をお届けします♡
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

「電話、してみようかなあ」

はあ……。
スマホを抱きしめて、100回めくらいのため息。

会えない平日は、気になるメンバーに1回だけ「電話の権利」が使える。
わたしはまだ使ってないから、シン君に電話してみたい。
でも、勇気が出ない。

毎晩ベッドの上で、スマホをいじくり回しながら、もんもんとしてばかり。
もう少し、シン君の気持ちがわからないと電話なんてできないよね。
「気になる2人」に入っていない子から電話がきても、シン君は困ると思うし。
うー、せめて「気になる2人」がわかったらいいのに……。

ゆりちゃんは確実にそのうちの1人だと思う。
あとは新メンバーのだれか? まいちゃんかな?
まいちゃんはギャルなノリで、会った瞬間からシン君と息がぴったりだった。

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……よし! 決めた!
この週末は、わたしからツーショットに誘ってみよう。
でも、誘うタイミングって、難しいんだよね。うまくできるかなあ。
先週はリュウにふりまわされて、なんにも進まなかった。

あーあ、こんなにのんびりしていて、もしシン君がだれかとカップル成立しちゃったら、どうしよう?
やっぱり、シン君に電話してみようかなあ……。

ぐるぐる、頭の中で同じことばかり考えて、ちっとも前に進まないよ。
もう、考えるの疲れちゃった。寝ようかな。

〜♪♪♪
わっ! びっくりした! で、電話!? だれから!?
どうしよう、シン君だったら! メイクもしていないのに。
急いで鏡で髪をなおし、応答をタップする。

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「すぐ出ろよ」
……リュウ!?

低くてふきげんな声、ムスッとした顔。
「な、なによ! いきなり電話してきて! もう寝ようと思ってたのに」
ピンクのスマホの中にいるリュウは、お風呂上がりみたいで髪がサラサラで、黒いTシャツを着ていた。部屋でも黒い服を着るんだと、妙に感心しちゃう。

「え? まいから、聞いてない? おれ、まいにたのんだんだよ。野乃花に今夜電話するって伝えといてって」
「……聞いてない」
というか、自分にきてる女の子に電話の伝言をたのむなんて、どうかしてる。
さすが悪魔くん。

「まあ、いいや。おかげで野乃花のすっぴん見れたし」
「やだっ、もう!」
恥ずかしくて、急いでパジャマの袖で顔を隠す。
「隠すなよ。……かわいいから。なんかさ、いつも大人っぽいカッコしてるけど、パジャマは女の子って感じだな」
え?
「……そっちの方が似合う。かわいらしい服の方が、野乃花っぽい」
「……ホント?」

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恋ステでは、お姉ちゃんから借りたミニスカとかオフショルの、肌が見える服を着ている。
「恋愛初心者」に見えないようにがんばってるんだけど、心の中では恥ずかしくてたまらなかったりする。
今着ているのは、あわいピンクに白のふちどりのコットンパジャマ。
普通すぎるほど普通だけど、たしかにこっちの方がわたしらしい。
素の自分を「かわいい」と言ってもらえたんだ……。

「……ありがと。それはちょっと、うれしい」
それから好きなアーティストや学校の話で盛り上がった。
電話で話す悪魔くんは、オレ様っぽさが抜けて、少しおさなく感じた。

……リュウ、たった1回しかない電話の権利、わたしに使ってくれたんだ。

▶︎【第4話】は7月31日13:00更新!

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作者:murayamamura1515