【第5話】迷子の恋『悪魔とキッス!』

2020.08.01

まだ“恋”をしたことがない野乃花(ののか)は、理想の初恋相手を見つけるため、恋愛リアリティーショー番組『恋する❤︎週末ホームステイ』に参加。そこで出会ったリュウに猛アプローチを受けるが、“他の女の子にも思わせぶりな態度をとっていたし……”と受け流していた。しかし、女子参加メンバー・まいから、リュウの優しい一面を聞き、リュウへの見方が変わった野乃花。その日の夜、リュウにツーショットに誘われ星空の下で甘い言葉を囁かれる。いつもは「だまされない!」と受け流していた野乃花だったが……。『悪魔とキッス!』第5話をお届けします♡
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

「リューウ! ゆりとツーショしよっ」

星をながめているわたしたちに声をかけてきたのは……さっきまで、シン君と一緒にいたゆりちゃん!
白いふわふわのパーカーを着て、寒そうに立っていた。
「野乃花ちゃん、ごめんね?」
申し訳なさそうに首をかしげるゆりちゃんは、真っ白いうさぎみたい。
「ううん、だいじょうぶだよ!」

ホントはもう少し話していたかったんだけどな……。
リュウが断ってくれないかな? と期待したけど、「オッケー」とゆりちゃんの元へ。
ゆりちゃんもモデル活動をしているから、本当に美男美女のカップルだ。

あ……白いうさぎが、黒いうさぎの手をひいて、ホテルの遊歩道へと消えていった。
ゆりちゃんとリュウは、そのあとずっと外で話をしていたらしいと、ほかの子に聞いた。

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そして翌日。事件は起きた。
ゆりちゃんが告白の赤いチケットを出した。
シン君一筋だったゆりちゃん。
「シンがわたしに告白してくれますように!」と旅の途中で寄った神社で、絵馬に書いていたくらい。
想いを伝える場所は、海。

いざ、告白という時になり、呼び出された人を見て……全員、目が点になった。
ゆりちゃんが赤チケを使った相手は……。
リュウ。
どうして????

夕陽がしずんでいく砂浜を、2人が歩いて行く。
あんなにシン君に猛アタックしてたのに、どうして急にリュウに?

だれかが「リュウのやつ、ゆりにも手え出してたのかよ」と言った。
「あほなこと言うな」
シン君の鋭い声。
「おれがはっきりせんかったから……ゆりちゃん、リュウに電話で相談しよったらしい。それで、好きになった。リュウの恋チケはいつ終わるかわからんし、気持ちを信じてもらうには告白しかないと思ったんちゃうか」

ゆりちゃん、電話の権利をリュウに使ったんだ!
リュウがわたしに電話したあとかな?
どうしよう、そんなに恋する気持ちって変わるものなの?

じゃあ、リュウも……昨日、ゆりちゃんと話して、気持ちが変わったことだって考えられる。
ううん、もともと「気になる」と言われただけで、好きだと言われたわけじゃない。
ほっぺのキスも、甘い言葉も……リュウにとってはあいさつ程度なのかも。

不安が波のように押し寄せて、立っているのがやっとだった。

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「ふう……」
ゆりちゃんの告白から、1週間。
トイレでリップクリームを塗り直したとたん、大きなため息が出てしまった。

やってきたのは、アクセサリーが手作りできるクラフト館。かわいいアイテムがいっぱいで、ブレスレットやキーホルダー、いろいろなものが作れる。
でも、気持ちが上がらない。

あのとき。海での告白で、戻ってきたのはリュウだけだった。
波打ち際で、ゆりちゃんは肩を震わせて、ずっと泣いていた。
今思えば、参加する前のわたしって、恋のこと、何もわかっていなかった。
彼氏を欲しがる前に、自分が人をきちんと好きにならなきゃ、恋なんてできない。

リュウと、ずっと気になってるシン君。
自分の気持ちがわからなくて、迷子になった気分。

「野乃花ちゃん、めっちゃ真剣な顔してるー! 相手はどっち? シン? リュウ?」
わっ。まいちゃん!
「ま、まだわかんないよ」
「わかんないって、野乃花ちゃん明日でおしまいだよ?」
「……だよね。もう時間がないよね……」

ごくり。
わたしはまだ、自分の気持ちを決められない。
それは、シン君のことがわからないからだ。

かっこよくて、やさしくて、おもしろくて、わたしの理想そのもの。
だけど、こんなに一緒にいたのに、ゆっくり話したことがない。
理想の王子様と、甘い言葉をささやく悪魔くん。
……気持ちをはっきりさせるためには、まずはシン君と話さなくちゃ!

「シ…シン君! あの、一緒にブレスレット作ろ!」
精一杯の勇気を出して、シン君を誘った。

▶︎【第6話】は8月2日13:00更新!

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作者:murayamamura1515