【第3話】後悔はしたくない…!『明日、きみがいなくなる前に』

2020.07.23

廉(れん)の“第一印象がよかった女性”が、みくるだいうことを聞いてショックを受ける琴葉(ことは)。みくるも廉が気になっているということで、早速ふたりはツーショットに出かけてしまった。しかし、廉のことを諦めきれない琴葉は勇気を出してツーショットに誘うが……。『明日、きみがいなくなる前に』マイクロコンテンツ第3話をお届けします♡
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

「なんで敬語なの」
「だ、だって」
「まあいいや。じゃ、行こっか」
「う、うん!」
歩き出した廉君の後ろを、みんなの方を気にしながらも慌ててついて行く。
本当に、誘っちゃった……。

今も心臓がバクバクしている。こうやって廉君と二人きりになれて、嬉しい。でもそれ以上に恥ずかしくて照れくさい。無意識のうちに距離を取っていた私に、廉君は不思議そうに言った。
「なんでそんな離れてるの」
「え、えっと」
「隣に来なきゃ意味ないじゃん」

わざと歩調をゆっくりにすると、廉君は私の隣に並ぶ。肩と肩が触れそうな距離に逃げてしまいそうになるのを必死にこらえていると廉君が口を開いた。
「何か見たいのある?」
「うーん、廉君は?」
「ペンギンかな」
「私もペンギン!」
「ホント? 琴葉とは気が合うなー」

あ……。今、琴葉って呼んでくれた……。
たったそれだけで距離が縮まったような気がするのはどうしてだろう。些細なことがこんなにも嬉しく思うのはどうして――。

Page 2

「お、いたいた。ほら、行こう」
少し先に見えたペンギンの姿に、廉君は小走りでそちらへと向かう。そんな姿が可愛くて、おいでと手招きする廉君に、私は笑いながら近付いた。
「何笑ってんの」
「その、可愛いなぁって」
「えー。男は格好いいって言われた方が嬉しいんだけど……。まあいっか」
照れくさそうに笑うと廉君はペンギンに視線を向ける。その姿に――。

「やっぱり私、廉君のこと好きだなぁ」
思わず呟いてしまった言葉に、私は慌てて口を両手で押さえた。でも一度出てしまった言葉はもう元には戻らない。隣で少し驚いたような表情の廉君が私をじっと見ていた。
「今の……」
「あ、え、えっと、その……。き、聞かなかったことにして!」
「いいの?」
私の言葉に、廉君は真剣な表情でこちらを見つめていた。
「聞かなかったことにして、いいの?」
「うん。今は、まだ。……お願い」
「わかった」
そう言って優しく微笑む廉君の顔が、今までよりもずっと優しく見えた気がした。

Page 3

みくるちゃんがやってきたのは、ペンギンを見終わり、次はどこに行こうかと話をしていたときだった。
「次、私と一緒に回ろっ」
「あ……」
私に微笑んだあと、みくるちゃんは可愛らしく廉君を誘う。何も言えずにいる私の隣で廉君は頷いた。
「おう。んじゃ、行くか」
二人きりの時間が終わって残念、そう思っているのは私だけのような態度にショックを受ける。さっきまでの時間がまるで砂時計の砂のようにさらさらとこぼれ落ちていくようで。
ううん。でも、このままじゃあ……!

「れ、廉君!」
「ん?」
歩き出す二人を追いかけると、私は廉君の腕を掴んだ。
「あ、あのね。その、明日もツーショット、誘っていい?」
「もちろん。楽しみにしてる」
「うん!」
バイバイと手を振りながら歩いて行く二人を見つめながら、私は鞄の中に入ったままの恋チケットのことを思い出していた。

私の恋チケットは六枚。つまり三週間の旅だ。廉君はいったい何枚だったんだろう。たとえば廉君が四枚だったとしたら来週の二日目で廉君の旅は終わってしまう。そうなったら、私は……。

時間はあまりないのだから、少しずつでも前に進んでいきたい。そう思いながらも特に行動できないまま、私の恋ステ一日目は終了した。

▶︎【第4話】は7月23日13:00更新!

全話を読む

Page 4

最新シーズン「恋する︎週末ホームステイ 2020夏」はABEMAで毎週火曜よる10時放送中! 遠く離れた街に住む高校生たちが期限付きの「恋の旅」で出会う。「恋チケット」の枚数だけ旅を続けることができるが、自分の期限は誰にも言ってはいけない……。“君は明日、いないかもしれないから”今シーズンは顔面偏差値最強♡ 美女たちが積極的に夏の恋を加速させる!


短編ノベルコンテスト優秀作一覧はこちら

みんなの投稿作品を見る

作者:望月くらげ