【第6話】彼が不機嫌なワケは?『明日、きみがいなくなる前に』

2020.07.26

勇気を出して廉(れん)をツーショットに誘うも、“みくると話したいことあるから”と言い断られてしまった琴葉(ことは)。その言葉にショックを受けた琴葉は逃げるように廉の元を去った。その途中、昴(すばる)に腕を掴まれ優しい言葉をかけてもらったと同時に、せき止めていた涙が溢れ出てしまう。そんな琴葉の姿を見た昴は「もう、廉のところに行くの、やめろよ」と言い琴葉の手をギュッと握りしめ……。『明日、きみがいなくなる前に』マイクロコンテンツ第6話をお届けします♡
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

「どう、して……」
「そいつ、借りてもいい?」
「……今、俺とツーショットしてるって言ったら?」
「悪い。それでも話がしたいんだ」
「……そう」
昴君はベンチから立ち上がると、私の方を向いて優しく微笑むとその場から立ち去っていく。
私には何がどうなっているのかわからない。昴君の言葉の意味も、廉君がどうしてここに来たのかも。

それから――廉君が不機嫌な理由も。

昴君と入れ替わるようにして隣に座る廉君の姿を盗み見るけれど、廉君はずっと黙り込んだままだった。
みくるちゃんとのツーショットは終わったのだろうか。だから、私のところに来てくれたのかな。可哀想に思って……。
でも、そんなのって……。

何か話をしたいのに、何も言えなくて。そのまま時間だけが過ぎていく。
そんな気まずい沈黙を先に破ったのは、廉君だった。

Page 2

「昴と、何話してたんだ?」
「何って……」
そんなの、廉君には関係ないじゃない。そう言いたいのに、どうしてか言えなくて。結局「特に、何も」なんて答えになっていないような返事しかできなかった。
でも、そんな私に、廉君は不機嫌そうに言った。
「琴葉の第一印象って変わったの?」
「変わってない!」
反射的に言ってしまって、気付いた。さっきあんなふうに断られたのに、結局今もまだ廉君のことが好きなんだ。泣きたいぐらいに、情けないほどに。
「じゃあ」
でも、そんな私の返事に、廉君は真剣な表情で私を見つめた。

「他のやつと、ツーショットするなよ」
「え……?」
「あとで琴葉とツーショットするって言っただろ。待ってろよ」
そう言って、廉君は――私の肩に頭をもたれかからせた。
「都合のいいこと言ってるってわかってるけど、でも琴葉が他のやつとツーショットしてるの、見たくない」
「な、んで……」
廉君は、ズルい。こんなこと言われたら、私……。
「わかった?」
「……わかった」
私の返事に、廉君はニッと笑うと、私の手を取った。

Page 3

「んじゃ、行こうぜ」
「え?」
「俺まだショッピングモールの中、全然見て回ってないんだよなー」
「あ、ちょ、ちょっと」
手を繋いだまま進む廉君の隣を歩く。さっきも同じように昴君に手を繋がれたはずなのに、全然違う。まるで手のひらが心臓になったみたいにドキドキしている。指先から、廉君への想いが伝わってしまいそうなぐらい。
「にしてもさ」
「え?」
「明日には誰かの旅が終わるんだな」
「そう、だね」

そうだ、もう明日には4枚の人の恋ステは終わる。それはつまり「また来週」と言ってわかれられないということだ。それは廉君かも知れないし、廉君じゃないかも知れない。でも、もしも廉君だとしたら、私は気持ちを伝えないまま廉君とさよならすることになってしまう。そんなの……。
「悲しいね」
「だなー。……でも、そうなったとしても後悔しないようにしないとな」
「そうだね」
 後悔しないために、私ができることは。
「廉君」
「ん?」
私は廉君の手をギュッと握り直した。
「いっぱい思い出作ろうね!」
「そうだな」

いつこの旅が終わってしまったとしても、後悔しないように。そのために、今私ができることは――。

▶︎【第7話】は7月26日13:00更新!

全話を読む

Page 4

最新シーズン「恋する︎週末ホームステイ 2020夏」はABEMAで毎週火曜よる10時放送中! 遠く離れた街に住む高校生たちが期限付きの「恋の旅」で出会う。「恋チケット」の枚数だけ旅を続けることができるが、自分の期限は誰にも言ってはいけない……。“君は明日、いないかもしれないから”今シーズンは顔面偏差値最強♡ 美女たちが積極的に夏の恋を加速させる!


短編ノベルコンテスト優秀作一覧はこちら

みんなの投稿作品を見る

作者:望月くらげ