【第1話】憧れの恋ステ『恋がわたしを変える、週末にわたしは変わる』

2020.08.09

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ずっと憧れていた、恋愛リアリティーショー番組『恋する❤︎週末ホームステイ』に出演することになった美柑(みかん)。しかし、いざ参加してみると、キラキラ輝く今ドキ女子や男子たちを前に萎縮してしまい……。『恋がわたしを変える、週末にわたしは変わる』マイクロコンテンツ第1話をお届けします♡
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

彼は、この瞬間から誰にも告白できなくなった。
観覧車に響く、びりびりと破れる切ない音。彼の告白チケットは、赤い紙くずとなってゴンドラに落ちていく。

「ねえ、美柑(みかん)ちゃん」

彼――リョクくんが顔をあげた。真剣な顔つきをしているくせ、その声音は切なくて。そして。

「俺、君を振り向かせるから」

それは決意。宣戦布告。
恋する週末ホームステイ。それは誰かと恋に落ちるだけじゃない。
わたしが変わる、恋の週末。

わたしが選ばれてしまったことは何かの間違いだと思っていた。
恋する週末ホームステイ。憧れてはいたけれど。ずっと見ていたけれど。まさかわたしが、その一人になってしまうなんて。

「桃希(ももき)です。よろしくお願いします」
「あたしは藍(あい)。よろしくね!」

隣を見れば、キラキラ輝くイマドキの女子たち。
桃希ちゃんはふんわりした雰囲気の目がぱっちり大きくて可愛い子。制服のリボンにつけているピアスもSNSで流行ってるもの。流行に敏感なおしゃれ女子って印象。

藍ちゃんは桃希ちゃんの対極。ボーイッシュなショートカット女子。制服のジャケットからフードが見えていて、きっと中にパーカーを着ているのだと思う。ネオンカラーのリュックには、キャップとどこかで見たことのあるマスコットキャラクターがぶらさがっていた。

まじまじ眺めていると、二人の視線がわたしに向けられた。
自己紹介は? と無言の要求。わたしも慌てて前にでる。

「あ、あの……美柑です……」

ハキハキと喋った二人に比べて、わたしの声は尻すぼみ。だって目の前に男の子がいる。三人もいる。顔を見るだけでも恥ずかしくなるのに。

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女子の自己紹介が終わると今度は男子。
最初に口を開いたのは背の高い男子。白い肌に少し茶色の髪。海外アイドルグループにいるって言われたら信じてしまいそうな格好いい子だった。

「俺はセイジ。よろしく」

格好いいセイジくんに次いで声をあげたのはセイジくんの隣。八重歯がチャームポイントで、笑顔が可愛い子。

「オレはコウタ! 好きな色は黄色と黒。好きなスポーツは野球で好きな野球チームは……」
「あー! ジャガーズファンでしょー!?」

藍ちゃんが遮って叫ぶ。カバンについてたマスコットキャラクター、どこかで見たことあると思ったらジャガーズのキャラクターだ。コウタくんは藍ちゃんをびしっと指さして頷く。

「大正解! ってお前も!?」
「あたしもジャガーズ好きでさ。仲間仲間」

と、盛り上がっている二人を咳払いで止めたのは男の子チーム最後の一人。セイジくんほどではないにせよ、こちらも背が高くて、それから。

「俺で最後だね。リョクだよ」

第一印象は『優しそう』だった。
セイジくんと同じように海外アイドルグループにいそう、だけどけしてセンターじゃない。セイジくんが甘い王子様路線なら、リョクくんは優しいお兄さんタイプ。戦隊物ならセイジくんが赤で、リョクくんは緑が似合いそう。なんて考えてみたりして。

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自己紹介が終わると、ロケバスで出発。わたしの隣に座ったのはリョクくんだった。
リョクくんはロケバスが動き出してから何も喋らず、不機嫌そうに外の景色を眺めてばかり。
声をかけてみたいけど……リョクくんの方をちらりと見て気づいた。

「……リョクくん?」

声をかけるとリョクくんが振り返った。顔色がよくない、気がする。もしかして車酔い、とか?

「そ、その……よかったら、食べる?」

わたしはカバンからミント味の飴を取り出した。

「何それ」
「違うかもしれないけど、具合が悪いのかなって……」

するとリョクくんの目がわずかに見開かれた。

▶︎【第2話】は8月9日13:00更新!

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作者:松藤かるり