【第4話】俺、君を振り向かせるから『恋がわたしを変える、週末にわたしは変わる』

2020.08.12

ずっと憧れていた、恋愛リアリティーショー番組『恋する❤︎週末ホームステイ』に出演することになった美柑(みかん)。しかし、気になる人をツーショットに誘えず、取り残されたリョクと“余り物同士”のツーショットを楽しんだ。その後、リョクの第一印象の相手が“自分”だったということを知って驚く美柑は、コウタと一緒にツーショットをしている最中も、リョクのことが頭から離れなくて……。『恋がわたしを変える、週末にわたしは変わる』マイクロコンテンツ第4話をお届けします。
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

二日目は、再びロケバスに乗って移動。

車内は盛り上がっていて、みんながあれやこれやと話している。それぞれの出身地や高校の話をしているみたい。わたしはうまく混ざれずに黙っているだけだった。

「リョクの腕についてるそれ、なあに?」

桃希ちゃんが聞いた。すると、前の席に座っているリョクくんが手を掲げる。わたしの位置からは、手だけが見えていた。
その手首。見覚えのある位置の絆創膏。

「秘密の共通点――でしょ、美柑ちゃん?」

リョクくんはわたしの話を信じてくれたんだ。おばあちゃんの知恵だからと笑っていたそれをリョクくんも信じている。そのことがとても嬉しい。
わたしの手首にも絆創膏はついている。席が離れているのに近いような奇妙な感覚がした。

到着したのは大きな観覧車のある公園。目的地についたところでみんなの空気がそわそわしたものに変わる。誰かを誘おうとタイミングを見計らっているのかもしれない。
今日こそ。セイジくんに声かけないと。

「あ、あの……」

一歩踏み出して声をあげた、けれど。
その声は小さくて、きっと誰も聞いていなくて。

「セイジ、行こー」

わたしの前で、桃希ちゃんの手がセイジくんの手を掴む。セイジくんも頷いて二人は歩き出してしまった。今日もだめだった。

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「そこの意気地なし美柑ちゃん」

落胆しているわたしに声をかけたのはリョクくんだった。

「行こうよ」

大きな観覧車があるのに乗らないなんて損。力強い言葉に誘われて、観覧車に向かった。二人でゴンドラに乗りこむ。

「で。美柑ちゃんは今日もセイジを誘えなかったと」
「……うん」
「あのさあルールわかってる? もしかしたら来週でセイジの旅は終わりかもしれない。うだうだしてたら終わっちゃうよ」

ぐうの音もでない。正論すぎる。
一緒に行こうって一言だけでいいのに。どうして勇気が出ないんだろう。

「美柑ちゃんの旅、セイジに声かけてゴールになってない?」
「それは大丈夫! 告白は……頑張れると思う」
「どうかなあ」

リョクくんはそう笑って、ポケットからあの封筒を取り出した。
旅チケットの枚数は誰かに話しちゃいけないルールがある。まさかそれを破るのかとヒヤヒヤしながら見ていると、出てきたのは赤い告白チケットだった。

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「じゃあ。ゲームしよう」

リョクくんが軽い口調で言うから、てっきりゲームの話をするのだと思った。
けれど聞こえてきたのは、リョクくんの声じゃない。狭いゴンドラに響く、紙の破れる音。

「どうして……それ破っちゃったら……」

声が震えた。こんなことをしちゃったら、リョクくんは誰にも告白できない。

「これで俺は告白できなくなった」

告白チケットの紙片を手渡して、リョクくんは微笑む。口元は笑っているけれどまなざしは真剣だった。

「俺の恋が叶う時は、美柑ちゃんが一歩を踏み出した時だけ」

急に、このゴンドラを狭く感じた。手中の赤い紙片が切なくて、重たくて。

「宣戦布告――俺、君を振り向かせるから」

この旅で見つけるのは恋だけじゃないのかもしれないと、予感がした。

▶︎【第5話】は8月13日13:00更新!

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作者:松藤かるり