ずっと憧れていた、恋愛リアリティーショー番組『恋する❤︎週末ホームステイ』に出演することになった美柑(みかん)。しかし、またしても気になる相手・セイジをツーショットに誘えなかった。落胆している美柑に声をかけてきたのはリョク。“大きな観覧車があるのに乗らないなんて損”と言う言葉に促され、ふたりでゴンドラに乗り込む。そのゴンドラの中でリョクが突然、自分の告白チケットを破り出した。「俺の恋が叶う時は、美柑ちゃんが一歩を踏み出した時だけ。宣戦布告――俺、君を振り向かせるから」と言って……。『恋がわたしを変える、週末にわたしは変わる』マイクロコンテンツ第5話をお届けします。
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。
それからは悶々とした五日間だった。
平日ってこんなに味気ないものだった? と思ってしまうぐらいに。
週末が待ち遠しいというよりも怖くて。だってリョクくんの秘密を知ってしまった。他の子はリョクくんの告白チケットが破れたことを知らない。
恋する週末ホームステイ二週目。
再び顔を合わせたわたしたちのところにいたのは、七人目。追加でやってきたシオンくんという男の子だった。
新しいメンバーが追加されれば、出来あがりかけていた輪も崩れるもので。
「シオンくん、2ショット行こ?」
セイジくんとよく行動していた桃希ちゃんが、シオンくんを2ショットに誘ったのだ。そうなればセイジくんは一人。2ショットに誘うなら今しかない。
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「……あの!」
わたしが声をあげた時、なぜかリョクくんがこちらを見ていた。
彼のことは気になるけれど。でも憧れていたセイジくんに声をかけるチャンスは今しかないから――わたしはセイジくんを見上げる。
「一緒に行きませんか?」
セイジくんは頷いて。でもその向こうで、リョクくんの姿が見えてしまった。
その顔が、悲しげに細められた瞳が、頭に焼き付く。
どうして苦しそうな顔をしているの。
一歩を踏み出せって応援してくれていたのに。そんな姿を見てしまったら、わたしまで辛くなっちゃう。
「美柑? 行かないの?」
ふと気づくと先を歩くセイジくんが振り返ってわたしを待っていた。
今はセイジくんとの2ショットを楽しまなくちゃ。リョクくんのことを頭から追い払って、セイジくんの後を追いかけた。
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今日は東京観光。浅草の町を歩く。
セイジくんは格好いい。ちらりと見上げれば整った顔が視界に入って心臓がどきどきと騒がしくなる。
けれど。
「……」
「……」
あんまり会話が弾まない。
わたしは緊張しちゃっているし、セイジくんも話しかけるより話しかけられたい人なのかもしれない。
「えっと……セイジくんって第一印象で気になった子、誰だった?」
「桃希」
「だよね……桃希ちゃんだよね……」
「……」
話しかけてもすぐ会話は途切れてしまう。それにずんずんと先を歩いていってしまうから、意識して追いかけないといけない。難しい。
リョクくんの時は、もうすこし気楽に話せたのに。
それに歩く速度だって。リョクくんはたまに振り返って、わたしが来るのを待ってくれた。
こうしてセイジくんと一緒にいても、リョクくんのことが頭から離れない。
どうしてだろう。もやもやする。
▶︎【第6話】は8月14日13:00更新!
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最新シーズン「恋する︎週末ホームステイ 2020夏」はABEMAで毎週火曜よる10時放送中! 遠く離れた街に住む高校生たちが期限付きの「恋の旅」で出会う。「恋チケット」の枚数だけ旅を続けることができるが、自分の期限は誰にも言ってはいけない……。“君は明日、いないかもしれないから”今シーズンは顔面偏差値最強♡ 美女たちが積極的に夏の恋を加速させる!
作者:松藤かるり