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リベンジポルノやネットの誹謗中傷って犯罪では?トラブルになる前に弁護士に相談【ViViホットライン】

2020.04.03

インスタに悪意のある書き込みをされた! 自分の住所や名前がネットに晒された……相手の顔が見えないネット上でのトラブルってどうやって解決すればいいの?  知っていそうで知らないSNSトラブルの疑問を、弁護士の清水陽平先生に聞いてみました。

教えてくれたのは……
清水陽平 弁護士
法律事務所アルシエン代表。TwitterFacebookへの発信者情報開示請求を日本で初めて成功させた弁護士として知られている。近著に『サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル 第3版【弘文堂】』

【相談内容一覧】
●インスタにネガティブなコメントが。これって名誉毀損じゃないの?
●ネットの誹謗中傷に悩んでいます。これって調査してもらえるのでしょうか?
●元カレに、昔撮ったハダカの写真をネットにアップされた。これって消せるの?
●前に旅行で撮った自撮り写真が怪しいサイトの広告に使われていた……。これって訴えられる?
●口コミグルメサイトに「あの店員は態度が悪い!」と実名で書かれちゃいました。これってプライバシーの侵害じゃないの?

相談者①

インスタに「ブス」とか「気持ち悪い」って頻繁にコメントされるんです。これって名誉毀損じゃないの? -17歳・高校生

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社会的評価の低下がポイント

法律でいう「名誉毀損」とは、「その人の社会的評価を下げること」。

たとえば「Aさんは昔、人を殺したことがある」というウソの話を聞いたら「こわいな、Aさんと付き合うのはやめよう」と思いますよね。それが「社会的評価の低下」です。

ただ、「ブス」と書かれたことが名誉毀損になるかは疑問です。もちろん嫌な気分はしますが、その人がブスかどうかは見る人によって変わります。美醜によって個人的評価は変わっても、社会的評価まで変わるとは一般的には考えにくいですね。

「名誉感情(いわゆるプライドなど)が侵害されている」と訴えることはできますが、なかなか認められにくいのが現状です。

もちろん社会通念上、「誰がどう見てもひどい中傷」は名誉感情の侵害として、違法と判断される可能性もあります。また屈辱的な言葉で誹謗中傷された場合は、たとえ書いた人が匿名であっても裁判で特定し、損害賠償請求をすることができます。

「ネットなら誰が書いたかわからないから、ひどいことを書いても許される」なんてことは絶対にありません。

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相談者②

ネットの誹謗中傷に悩んでいます。誰が投稿しているのか分からなくて疑心暗鬼になって、最近はウツ気味です。これって調査してもらえるのでしょうか? ―25歳・会社員

相手を特定することは可能!

中傷被害の相談に来る人の中には、「誰がやっているかわからないのが苦しい。早く精神的にラクになりたい」という人も多いですね。

ネットは顔が見えませんが、書き込んだ相手を特定することができます。それには2回裁判をする必要があるんです。

1回めは、消される前にサービス側(TwitterFacebookなど)にIPアドレスの開示を求める手続きです。IPアドレスというのは「インターネットの住所」と言われているもの。利用する際にプロバイダー(ネット事業者のこと)が利用者にこのIPアドレスを割り当てるんです。

2回めは「じゃあ、そのIPアドレスを使ったのは誰なのか?」ということをプロバイダーに調べてもらって、「その結果を教えてください」と情報開示を請求するもの。

費用は弁護士によっても違いますが、1回の開示請求だけで35万円程度でしょう。また2ちゃんねるのような掲示板なのか、Twitterやインスタ、FacebookのようなSNSなのかによって所要時間も変わります。

もしもその後、訴えて勝てば、特定するのにかかった費用は相手に請求できますが、全額が認められるのか、それとも一部しか認められないのかは、裁判官によって考え方が変わってきますね。

現状「誰からかわからないけど、こんな嫌がらせをされている!」と警察に被害届を出しても、取り合ってもらえないことも。相手を特定して証拠を揃えておくことで、警察が積極的に動いてくれるようになる場合もあるということは、覚えておいて損はないでしょう。

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相談者③

ケンカ別れをした元カレに、昔撮ったハダカの写真をネットにアップされた。これって消せるの? ―20歳・大学生

すぐに対応してもらえる案件のひとつ

いわゆる「リベンジポルノ」ですね。

これは見つけたらすぐに運営サービス側に問い合わせるのが一番。

TwitterならTwitter社から、FacebookとインスタグラムはFacebook社が運営サービス側にあたります。ネットのトラブルの中でも、リベンジポルノは比較的すぐに対応してもらえる案件です。

また海外のサイトに載せられていて直接削除するのが難しい場合は、検索エンジン(Googleなど)に問い合わせれば大丈夫ですよ。

相談者④

前にハワイ旅行で撮った自撮り写真が「週に1時間パソコンに向かうだけで月80万円!」って書いてある怪しいサイトの広告に使われていた……。これって訴えられる? ―24歳・会社員

無断掲載した側が10年以下の懲役や1000万円以下の罰金になることも

ネットにアップされているキラキラした写真を無断で使う情報商材系の広告って多いですよね。

そもそも誰しも、自分が撮った写真には著作権があります。それを勝手に使われたり、加工されたりすると「著作権が侵害された」と言えます。刑法では著作権法違反は、『10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金もしくは両方』とされています。これは窃盗罪よりも重い罪となります。

実は芸能人の顔写真を自分のSNSのアイコンに使うのも、法的にはアウト。芸能人の写真は撮影した人の著作物で、かつ写っている芸能人ご本人は肖像権という権利を持っているからです。これまで実際に逮捕されたり、裁判になったりする事例は少ないですが、リスクのある行為なので、やめたほうがよいでしょう。

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相談者⑤

カフェでバイトをしています。以前、周りに迷惑をかけるお客様がいて注意をしたら、制服のネームプレートで私の名前を覚えていたみたいで、後日、口コミグルメサイトに「あの店員は態度が悪い!」と実名で書かれちゃいました。これってプライバシーの侵害じゃないの? ―22歳・大学生

身の危険を感じるかがボーダーライン

ネットに個人名を書かれるのは怖いですよね。ただ実名を出されたというだけで訴えることができるかというと微妙。

そもそもネームプレートは、お客様や世間に自分の名前を公表するもの。それが「より広いネットという世間」に出ただけの話なので、「カフェ◯◯の△店の□□さん」と書かれた程度でプライバシー権の侵害にあたると主張するのは一般的には難しいといえます。

しかし、もしも自宅の住所や電話番号まで書かれたら話は別。プライバシー侵害にあたります。「身の危険を感じると認定されるかがひとつのポイント」と言えるでしょう。

また「あの店の店員は◯◯だ!」など明らかに事実ではないことを書かれて、それがあたかも事実であるかのように広まり、店の評判や個人の評価を著しく下げた場合は、法的措置を検討することも可能です。

びびねぇ

これまで多くのネットトラブルを解決してきた清水先生。若い世代であればあるほど、誰が見ているかをあまり気にせずに自分のことを発信しすぎてしまい、それによってトラブルの種をまいている人もいる、と警鐘を鳴らします。自分がどんな情報を公開しているか、ときに見直してみるのもオススメです。インターネットに関わる法の知識は転ばぬ先の杖。すぐに訴えるべきトラブルはなくても知っておいて損はないはず。

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illustration/Hikaru Tanaka Text/アケミン