宇垣美里さんのエッセイ連載。今月は宇垣さんのルーティーンについてのあれこれを綴っていただきました。美容好きな宇垣さんが毎朝一番に行うスキンケアや、目が覚めるまでの出来事などいつもの朝の一幕をお届けします。宇垣美里の【私から見えている景色】

第十三章 『繰り返し繰り返すこと』
(一)
朝、眠たい眼をこじ開けよろよろと洗面所に向かう。
水をバシャバシャと顔に叩き込み、口の中を思いっきりうがいしたら、ようやく目の焦点が合う。
廊下には絶対物を置かない。一度寝ぼけて何かに躓き、思いっきり足の爪をはがしてしまって以降、寝る前にいちいち廊下に障害物がないか確認してからベッドへ向かうようになった。
さっぱりして後ろを振り返ったら血の跡がずるずると廊下に残ってるなんて恐怖体験、一度で十分。
導入美容液に化粧水、オイル、乳液、クリームを順番に肌に塗り込みながら、顔をむにむにとマッサージ。このむくみは昨夜のラーメンのなごり。目がごりごりしているのはあとちょっと、と言いながら結局読み切ってしまった小説のせい。
後悔しても仕方がないからぐぐっと強めにツボを押して証拠隠滅してしまおう。

Page 2
体をばしんばしんと柱や壁にぶつけながら台所に向かい、つまみをひねってコーヒーの豆を挽く。
ゴリゴリという音と共に広がる香ばしいにおいを鼻いっぱいに吸い込む。
機械から注がれるエスプレッソに、小さな泡がたっていると思わずニヤニヤしてしまう。
しっかりクレマがたっている、今日のコーヒーも絶対に美味しい。フォーマーで泡立てた牛乳と混ぜれば最高の一品のできあがり。
ああ、カフェインが脳に染み込んでゆく。
ようやく目が覚めた。
おはよう、世界。

Page 3
宇垣美里にQ&A

Q. 漫画を読んでいると本を読めと親に叱られます。
本とマンガの違いはどこにあると思いますか?(rose52 10代女性)
A.絵があるかないかくらいじゃないですか? 私はどちらも大好きで、ないと生きていけないわ、
なんて思うくらいなんですけど、あくまで嗜好品なので、 楽しめる人だけ楽しめばいいと思います。 なんで親御さんは本を強制してきたんだろ? 本を高尚なものみたいに感じてるのかな。 別に本読んでるからって頭良くならないし、 人間性向上することもないですからね。ただ、 マンガ読んでるってことは読解力もあるだろうし、 物語に没入する喜びも知ってると思うので、 きっと本も楽しめると思いますよ。 本には絵がないからこその自由さがあります。世界が広がるよ。 おすすめです。
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。
宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg
※衣装:ピンクワンピース¥38000/ブライト ライト(ライト) レギンス/スタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kota Shouji Styling:Mana Kogiso(io) Hair&Make-up:NAYA Composition Mayuko Kobayashi