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「ヤッたことある?」日常にあふれるセクハラ問題を弁護士に相談【ViViホットライン】

2020.07.01

「バイト先の店長に触られた」「就活中、OBが飲みに行こうとしつこい」など……、ViVi世代にもモヤモヤを抱えている人が意外といるセクハラ問題。でも「断ったらカドが立つ」「私に隙があったのかもしれない」と泣き寝入りしてしまっているコが多いのが現実。今回は、読者に緊急アンケート調査を実施。そこに寄せられた実例を元に、セクハラ問題に詳しい弁護士の齋藤先生に聞いてみました。

教えてくれたのは……
齋藤健博 弁護士
銀座さいとう法律事務所代表。慶應義塾大学法科大学院修了、2015年司法試験に合格し、16年虎ノ門経済法律事務所に入所。19年独立。離婚や不倫など男女問題、セクハラ、パワハラ、マタハラ問題を多数取り扱う。
【相談窓口】LINE ID : bengoshisaito

本当にあった!意外と身近なセクハラ問題

そもそもセクハラとは……?
セクハラ:
セクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)という英語を略したもの。
厳密な意味でのセクハラとは、職場で行われていることを指す。そのほかの場面でも「相手の意に反する性的な言動」がセクハラとして扱われている。

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● CASE1:

アルバイト先の店長が「彼氏いるの?」「ヤッたことある?」「キスしていい?」などとしつこく聞いてきます。さらには無理やり胸を触られてしまいました……。これって訴えられますか?(17歳・高校生)

もちろんです。これは単なるセクハラというよりも、むしろ犯罪です。女性が嫌がっているのに胸を触る行為は、刑法176条の強制わいせつ罪が成立します。場合によっては強制性交等未遂罪(刑法177条)にもなり得ます。

また今回の場合は、民事上でも不法行為※(民法709条)として訴えて、慰謝料を請求することができます。
※「不法行為」は、「故意または過失によって、他人の権利または法律上保護される利益を侵害した場合、その損害に対して賠償をしなければならない」という法的概念です。

一般的に慰謝料は100万円、同意なくセックスされた場合は300万円、ときには500万円ということも珍しくありません。

それ以外にも加害者は、お給料を減らされるなど職場からも処分を受ける可能性が高くなります。

弁護士への費用は、相談のみ初回無料のところも多くあります。そして具体的に慰謝料請求をしたり、刑事告訴をする場合、一般的に着手金として30万〜40万円ほどかかります。支払いのタイミングは先払いや成功報酬など弁護士事務所によってまちまちです。

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● CASE2:

中3のときに通っていた個人塾の先生に、後ろから抱きしめられて頭にキスされたり、唇に触れられたりしていました。大人になった今でも後ろに人が立っていると落ち着かなくて、その嫌悪感の原因が、あの体験だったと分かってから「あれはセクハラだったんだ」と自覚しました。これって今からでも慰謝料を請求できますか?(22歳・フリーター)

個人塾の先生のしたことは、到底許されるものではありませんし、あなたの受けた心の傷も深いものだと思います。被害を受けたばかりのときは、あまりにつらくて誰にも相談できなかったりもしますよね。悩んだまま時間が経ってしまうことも珍しくありません。

しかし損害賠償請求には時効があるんです。
セクハラで損害賠償請求をする時効は、内容にもよりますが、民法724条で「3年」と定められています。今22歳で被害にあったのは中学3年生ということで、すでに7年が経過しているので、セクハラ行為を法的に立証するのは、難しいといえるでしょう。

ただ時効については、いくつかの対抗策があるので、弁護士に相談するのも手です。「刑事責任」、すなわち強制わいせつ罪などの罪に問うことも7年以内であれば可能ですし、会社から懲戒処分を受けさせるなどの方法で責任を追及することには、民法上の時効は適用されません。

大切なのは、セクハラを訴える場合には「証拠」が必要になってくるということ。

具体的には、音声や動画などの記録、友達や周囲の人の証言(LINEやメール)、セクハラを受けた日時や内容などを記したメモ、精神的ショックを証明する病院の診断書などが有効となります。

録音や録画はなかなかハードルが高いかもしれませんが、まずは不快な体験をしたら、その日になにがあったか日記をつけることをオススメします。スマホのアプリでもなんでも大丈夫です。

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● CASE3:

就活中なのですが、内定先の企業に勤める大学OBの先輩から毎週金曜日の夜になると「飲みに行こう」としつこく誘われます。断りきれず、一度飲みに行ったら、キスされてしまいました。(21歳・大学生)

就活生へのセクハラは深刻ですね。2019年2月、大手企業の社員が就活生に対する強制わいせつの疑いで逮捕されたことが報道されました。決定権や評価の権限を持っているOBという立場を利用し、就活生の不安につけこむ行為は許されないものです。

就活の場面でのセクハラも、本人が精神的苦痛を感じれば民法上の「不法行為」になります(民法709条)。

また例えば「抵抗すれば内定を出さない」と脅されて、体を触られたり、性行為をさせられたりした場合にも、双方の合意がないと証明できれば「強制わいせつ罪」が適用されます。

そして企業(会社)に対しても、賠償責任を請求できます。

自分の身を守るためにも、録音、メール、LINEなどやはり客観的な証拠を残しておくことは大切ですが、そういった証拠がないからといって泣き寝入りする必要はありません。「私も飲みに誘われて思わせぶりな態度を取っちゃったから仕方ないか」と自分を責めたりしないでください。

またセクハラかどうか分からないときでも、まずは大学の学生課・就職課に相談してみることをおすすめします。

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● CASE4:

サークルの合宿での出来事です。夜、みんなで雑魚寝をしているときに、いつの間にか先輩が隣に寝ていて服を脱がされて、胸を舐められたんです。その場は寝たふりで乗り切りましたが、それからというもの、怖くてサークルにも顔を出せません。(19歳・大学生)

これも立派な犯罪で、強制わいせつ罪に当たります。今回の相談以外にも、男子学生が女子学生にたくさんお酒を飲ませた挙げ句、酔いつぶれたところで性的関係を強要したなど、サークル内での性犯罪の報道も少なくありません。

その先輩は、相手が20歳未満の学生だから、自分が罪に問われることはないだろう、と考えていたかもしれませんが、そんなことはありません。20歳未満が訴訟を起こす場合、親権者や後見人といった訴訟代理人が必要になりますが、適用される法律は学生だろうが、社会人だろうが変わらないからです。

サークルの上下関係があって拒絶しづらいというのもわかりますが、被害を受けたらできるだけ早く周囲に相談を。弁護士でもよいですし、支援センター(性暴力救援センター)に相談すれば、必要なアドバイスをもらえます。

びびねぇ

もしも友達からセクハラの相談を受けたら、まずはその言葉を聞いてあげて。「イヤならイヤって言えばいいのに」「あなたにも隙があったんじゃないの?」と言うことは余計、相談した子を追い詰めてしまうので要注意。自分だけで解決できないときにはよく話を聞いた上で、信頼できる大人や弁護士、支援センター等に相談してみて。

上司と部下、先輩と後輩、先生と生徒など、あらゆる人間関係の中でセクハラをはじめとするハラスメントが起こる可能性があります。

仕事上の地位を利用する、たとえばOBが就活生に、拒否したら就活が不利になることをチラつかせながら性的関係を迫る……などのケースを「対価型セクシャル・ハラスメント」といいます。

一方で直接的に性的な関係を求めなくても、下ネタを話題にしたり、恋人がいないか聞いてきたり、用事もないのにしつこくメールを送るなど、相手を不快にさせることは、「環境型セクシュアル・ハラスメント」に分類されています。

このほかに、「男のくせに」「女のくせに」など固定的なジェンダー(性差概念)にもとづいた差別や嫌がらせをする「ジェンダー・ハラスメント」もあります。

そして、すべてのハラスメント被害は女性だけでなく、男性にも起こり得るということも覚えておいてくださいね。

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本当は不倫なんかしたくなかった!恋愛トラブルを弁護士に相談【ViViホットライン】

illustration/Hikaru Tanaka Text/アケミン