【第6話】恋旅の終わり『悪魔とキッス!』

2020.08.02

まだ“恋”をしたことがない野乃花(ののか)は、理想の初恋相手を見つけるため、恋愛リアリティーショー番組『恋する❤︎週末ホームステイ』に参加。そこで出会った理想の王子様・シンと、甘い言葉をささやく悪魔くん・リュウの間で揺れる野乃花。「……気持ちをはっきりさせるためには、まずはシン君と話さなくちゃ!」そう思った野乃花はシンをツーショットに誘い……。『悪魔とキッス!』最終話をお届けします♡
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

「野乃花ちゃん……?」

いきなり誘って、ひかれちゃうかなと思ったけど、シン君はニッコリ笑って「うん」。
リュウがムッとしたのがわかったけど、でも……シン君のこと、知りたい。シン君にわたしを知ってもらいたい。

ブレスレットの色を選んだり、意外とぶきっちょだったシン君を手伝ったりしながら、かわいいペアのブレスレットができあがった。
「つけるよ」
シン君がわたしに、わたしがシン君につけてあげる。深い青のブレスレット。
「……野乃花ちゃん、ずっと旅してるのに、ふたりでなにかしたのは初めてやな」
「……うん。わたしは、もっと話したいと思ってたの。でも、恥ずかしくて」
「恥ずかしい?」
「わたしね、男の子と付き合ったことないの」

思い切って打ち明けると、シン君は目を丸くした。
とてもそんな風に見えんわ、と笑うから「どんな風に見えた?」と聞いた。
「パリピなモテ女子」
「……それ、現実のわたしから一番遠いよ」
「じゃあ、現実の野乃花ちゃんはどんな子?」
「うーん。恋愛したことなくて、理想ばっかり高くなっちゃって、頭の中の王子様に恋しちゃうような子」
シン君は「ぜんぜんわからんかった」と笑った。

「ずっと、野乃花ちゃんのこと気になってて、話せてうれしい。どんな子か、わからんまま旅が終わるのさびしいし」
「……わたしも、そう思ってた」
思った通りやさしくて、一緒にいると楽しい人。

Page 2

「まだ寒いよね」
ブレスレットをつけてくれたその手で、わたしの手をそっと包む。
「あ……」
「ほら、こんなに冷たい」

あったかい手。
「……野乃花ちゃん」
そっと、耳元で名前を呼ばれる。

「リュウ、泣きそうや。さびしいけど、そろそろあいつの隣に行ってあげて」
くくっと笑いだすシン。
パッとふりかえると、リュウがしかめっ面で、外のテーブルにぼっちで座ってた。
わたしと目が合うと、「ふんっ」とそっぽをむく。
「ぷっ!」
子どもっぽくて、思わず笑っちゃう。

「ははっ……リュウ、誤解されやすいけど、第一印象からずっと野乃花ちゃん一筋や。あれでかわいいとこあんねん」
「そうだね、かわいい」

わたしはシン君と顔を見合わせて「あはは!」と笑い合った。
リュウはその声にピクンと反応すると、両手でくしゃくしゃっと髪の毛をかき回してテーブルにつっぷした。

Page 3

「リュウ!」
ふふっ、そのまま寝たふりしてる。

「リュウって……かわいいね」
かわいいと言われて怒ったのか、リュウはむっつりと顔をあげた。
そのふくらんだほっぺを、やさしく両手で包み込む。
リュウはちょっと驚いて、それからおとなしくわたしの手に顔をあずけた。

黒髪から、ふわりと柑橘系の香り。
「目をつぶって」
お願いすると、リュウは赤い顔をして、こくり。

「そんなにかわいいと、たべちゃうよ」
リュウのおでこに、軽く唇を当てる。

「これが返事。わたしが好きなのは……リュウ」
恋を知らないわたしに、この気持ちを教えてくれて、ありがとう。
そんな感謝の気持ちでいっぱいだった。

「……おれ、好きな子に、好きって言われたの初めて」
リュウがホーッと息をついて、頭をたれる。
「そうなの!? 意外……」
「明日、赤いチケットで旅を終わらせる。でもおれ、やきもちやきだし、ガキっぽいし、付き合うとがっかりするかもしんないよ。それでもいい?」

見上げた瞳は、泣き出しそうにうるんでる。
「うん、知ってる。そういうところ、好きになったんだもん」

甘くてかわいい悪魔くんと、初めての恋が始まった。

次回はイトウアユムさんの作品『うみんちゅとデコネイル』を配信します。お楽しみに!

全話を読む

Page 4

最新シーズン「恋する︎週末ホームステイ 2020夏」はABEMAで毎週火曜よる10時放送中! 遠く離れた街に住む高校生たちが期限付きの「恋の旅」で出会う。「恋チケット」の枚数だけ旅を続けることができるが、自分の期限は誰にも言ってはいけない……。“君は明日、いないかもしれないから”今シーズンは顔面偏差値最強♡ 美女たちが積極的に夏の恋を加速させる!


短編ノベルコンテスト優秀作一覧はこちら

みんなの投稿作品を見る

作者:murayamamura1515