宇垣美里さんのエッセイ連載。家にいることが増えている自粛期間中、断捨離や身の回りの整理整頓をする人も増えたとのこで、宇垣さんにとって「捨てられないもの」にまつわるエピソードを綴っていいただきました。「自分らしく生きる」ということは、かんたんなようで難しい。次のステップへと歩みはじめた彼女から見えている世界は、もしかしたら私たちとは少しだけ違うのかも。宇垣美里の【私から見えている景色】

第十四章 『捨てることができないもの』
(一)
物が捨てられない。
例えば好みじゃなくなった服やカバン、使い勝手の悪くなった調理器具などは、早いうちに判断して捨てることができる。化粧品なんかはしっかり使用期限があるので、たとえ使えそうでも心を鬼にして捨てるようにしている。もったいない……
本はさすがに捨てることができないけれど、本はまあいい。増えれば増えるだけ本望だ。こればっかりは許してほしい。
問題は、もっと小さな、もっと些細な、もっとありふれたものたちのことだ。
テーマパークのお土産でもらった可愛らしいクッキーの空き缶。高級なチョコレートが入っていた箱。ちょっと背伸びして買ったブランドのショップバッグ。
いつ使うの、と問われても答えることなんてできない。いつか、使える。何かに、使える。

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もらい物のプリンが入っていたグラス、いつかプリンか茶碗蒸しを作りたくなるかもしれない。うなぎを買ったら付いてきた山椒、山椒を使う料理を閃くかもしれない。そんな“かもしれない”で生き延びたやつらが家のあちらこちらに蠢いている。
関西人のもったいない魂ゆえなのかなんなのか……。
たまに押し入れの奥や、冷蔵庫のドアポケットにそれらを発見してぞっとするのだ。これ、いつからここにあったんだろ。
使われずにほこりをかぶったそれらを見ると、祟られそうで、ちょっと怖い。

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宇垣美里にQ&A

Q. 7年付き合っている彼がいます。
私は結婚願望が強くて今すぐにでも彼と結婚したいのですが、 彼のほうは結婚願望がゼロで悩んでいます。 結婚相手を探したほうがいいのか、 彼を好きという気持ちを優先して今のままでいいのか。 芯の強い宇垣さんのアドバイスが欲しいです!(橙子 30代女性)
A. 本当の本当に今すぐ結婚したいなら、
さっさと別れて即次の人を探すべきです。今、 彼といる時間がたまらなく幸せなら、 周りがなんと言おうが付き合い続ければいいと思います。 彼と今すぐ結婚が一番希望だとは思いますが、 人は思い通りにはならないので、 彼を説得するとかは諦めたほうがいいです。 多分どんだけ付き合い続けても、 その人と結婚することはないでしょう。 この先の人生に何があろうと、全て自分の決断の結果。 振り返ったとき後悔しない道を歩んで欲しいし、 選んだ道が正解だったと言えるよう、お互い頑張りましょうね。
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。
宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg
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Text:Misato Ugaki Photo:Kota Shouji Styling:Mana Kogiso(io) Hair&Make-up:NAYA Composition Mayuko Kobayashi