宇垣美里さんのエッセイ連載。8月は宇垣さんの“捨てられないもの”をテーマにエッセイをお届けしています。今週は、旅や芸術好きの宇垣さんならではの“チケット”にまつわるエピソードを綴っていただきました。「自分らしく生きる」ということは、かんたんなようで難しい。次のステップへと歩みはじめた彼女から見えている世界は、もしかしたら私たちとは少しだけ違うのかも。宇垣美里の【私から見えている景色】

第十四章 『捨てることができないもの』
(二)
やっとの思いで手に入れたミュージカルのチケット、海外で見たオペラの入場券、ドイツで行った古城ツアーのチケットや、美術館や博物館、はては映画館のチケットまで、ほとんど全部とってある。
パンフレットや日記帳に挟んだり。海外旅行で手にしたチケットは、使った地図や余った紙幣、航空券と一緒にジップロックに入れて国ごとに保管してある。たまに本のしおりにすることも。
扱いは割とぞんざい。
別に改めて振り返ってみることなんて、ほとんどない。それでも、私の中では“ごみ”には分類されないんだよなあ。

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ただとっておいているだけなのだけれど、捨てることなんて、できない。
きちっと保管する場所を決めているわけではないから、昔読んだ本を読もうとして思いがけず出会うこともある。
ぱらりと落ちたそれを手に取れば、蘇るあの時の記憶。この予期せぬフラッシュバックが好きで、チケットたちを捨てられずにいるのかもしれない。
今日も今日とて、冬眠前のリスのように、家のどこかしらにせっせと記憶のスイッチを埋めている。
先ほど英英辞典を開くと鳥獣戯画展のチケットがはらりと落ちた。何年前のものだったか、ミスマッチすぎてちょっと笑ってしまった。

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宇垣美里にQ&A

Q. 宇垣さんのエッセイを毎週楽しく読んでいます!
感謝の言葉を口にしたり表現するのが苦手で、 気持ちはあるのに相手に伝わっていないことが多く悩んでいます。 宇垣さんはどのように感謝の気持ちを相手につたえていますか?( Yuua 20代女性)
A. わーい! いつも読んでくれてありがとうございます!
感謝を伝える時はいつも全力!好きな気持ちとか嬉しい気持ちとか、ありがとうとか、 伝えすぎるぐらい伝えても足りないくらいかなと思ってます。 別に言ったところで何も損なわれないし、 相手だって嫌な気持ちになることはないだろうし、 言うだけタダなんだから、 その機会があるならばんばん伝えればいい! もったいぶる意味がない。 あと私嬉しいことあったらすぐ小躍りする! まあ別に踊らなくてもいいんだけど、 とにかくカッコつけずに素直にぽーんと思ったままの感謝を伝えれ ば、きっと伝わると思います。
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。
宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg
※花柄ワンピース/スタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kota Shouji Styling:Mana Kogiso(io) Hair&Make-up:NAYA Composition Mayuko Kobayashi