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「ベトベトに甘い呪いみたい」宇垣美里が海の香りで抱く様々な感情について

2020.09.03

宇垣美里さんのエッセイ連載。9月は宇垣さんにとって“特別な場所”をテーマに、感情や思い出を綴っていただきました。気分によっては近づきたくないと思えるほど特別な場所とは? そして、今週のQ&Aもぜひチェックしてみてください! 宇垣美里の【私から見えている景色】

第十五章 『特別な場所

(一)

海を感じると心が落ち着くのはなぜなんだろう。

新大阪や新神戸といった地元の駅に降り立った瞬間に感じる、むわっと生暖かくて湿度のある潮の香り。それを肺いっぱいに吸い込むと、体の中のどこかでずっと緊張していた何かがようやく緩むのが分かる。帰ってきたんだなあ、と思う。

それは何も地元に戻ったときだけじゃない。
奄美大島や沖縄のどこまでも美しいエメラルドグリーンの海を目の前にしたときも、フィンランドの凍れる海を前にしたときも、あたりを漂う魚の匂いがきつくて往生すると聞かされていたヴェネツィアについたときすらそうだった。

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もちろん同じ海と言えど、場所によって香りは異なる。塩分の甘さ、固さ、藻が浮いているか、湿度は高いか、低いか。波の音もまた、岩場があるかどうか、寒いか暑いかに左右される。

毎度全然違うな、と思う。それでも、全ての海辺の町が持つ潮の香りに、焦がれるような圧倒的な安心感を抱く。寄せては返す波の音にとろんと目蓋が閉じそうになる。

だから、あんまりにも疲れているときはできるだけ海に近づきたくない。糸が切れたマリオネットみたいにぺしゃんこになって、二度と立ち上がれなくなる気がするから。

なんだかベトベトに甘い呪いみたいだ。今はまだ行けない。あともう少し頑張りたいから。

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宇垣美里にQ&A

Q. 深夜にお腹がすいて眠れなくなったとき、宇垣さんならどうしますか?(ぐぅ 10代男性)

A. なんか食べる。常備してあるヨーグルトか、ホットミルクか。何か食べりゃ満足するんだから、ダイエットやら健康やらのことは昼間の元気な自分に考えていただくとして、眠い自分はがっつり甘やかします。まあだいたい昼間の自分につけといた負債がたまって結局大変なことになるんですけど……。

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宇垣 美里(うがき みさと)
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。

宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg

宇垣美里『私から見えている景色』 連載一覧

※グレーパーカ、シャツ/全てスタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kisshomaru Shimamura Styling:Ruri Matsui Hair&Make-up:Miho Matsuda Composition:Mayuko Kobayashi