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“恋愛詐欺”には気をつけて!男女間の金銭トラブルを弁護士に相談【ViViホットライン】

2020.09.05

「彼に貸したお金が返ってこない」「お金を貸した人と連絡がつかなくなった!」など、親しい間柄であればあるほど「返して」とは言いづらくて……。特に男女間のお金にまつわるトラブルは対処が難しい。そんな金銭トラブルの対策について、テレビのコメンテーターとしても大活躍の田村勇人弁護士に伺いました。

教えてくれたのは……
田村勇人 弁護士
フラクタル法律事務所代表、第一東京弁護士会所属。共著に『フラクタル法律事務所の離婚カウンセリング 離婚の答えが出るノート』のほか、テレビ番組『直撃LIVE グッディ!』に木曜コメンテーターとして出演。

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【相談内容一覧】
立て替えていた旅費を返してもらいたい!
パパ活相手から脅された
マッチングアプリで知り合った男性にお金を貸して持ち逃げされた
婚約者の起業のための独立資金、これって貸していいの?

■相談者Aさん

「立て替えていた旅費を返してもらいたい!」

半年前までつき合っていた彼とのトラブルです。昨年末に温泉旅行に行ったんですが、オンラインで予約し、私が一時的に宿泊費や交通費を立て替えていました。でも旅行から帰ってきてもお金が返ってきませんでした。モヤモヤしていたものの、当時は彼のことが好きだったし、なかなか「返して」と言い出せないうちに彼の浮気が発覚。泥沼のケンカをして別れることになってしまいました。

正直、今はその彼とは、二度と連絡を取りたくない状況ですがお金は返してほしい。立て替えていた旅費を代わりに取り返してもらうことはできますか?(22歳・大学生)

結論から言うと、できます!

退職代行のように弁護士から元彼宛に内容証明郵便を送って、債権回収の交渉をすることができます。内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰宛に・どのような内容の文書を差し出したかを、郵便局が証明するものです。内容証明郵便自体には法的な強制力はありませんが、それで裁判をせずに返ってくることもあります。相手にお金を返すよう請求している事実を公的に証明することができます。費用は3万〜5万円ほどが相場です。

しかし、あとになって弁護士費用を支払ってまで返金を求めるよりも、「お金を返して」と言える関係性を交際時に築くほうが望ましいですね。

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■相談者Bさん

「パパ活相手から脅された」

今から2年前のことです。当時、お小遣いほしさにパパ活をしていました。
でも途中で罪悪感や嫌悪感が募って、そのオジサンの連絡を無視したりドタキャンしたりしていたんです。そうしたら、「今まで支払ってきた分として20万円を返金しろ」と言われ、さらに「パパ活をしていたことを親や周囲にバラされたくなかったら、50万円払え」と脅されて、結果的に70万円も支払うハメに。さらに「自宅だってわかってるんだから、いつでも押しかけることはできるんだぞ」と言われて、怖くて当時住んでいたマンションを引き払いました。

70万円を振り込んだらオジサンからの連絡はなくなり、今は平穏に暮らしています。けれど改めて冷静になると、「そもそもあのお金は支払う必要があったのか?」「取り戻すことはできないのか」と考えるようになってきました。なにか法的に訴える手段はないのでしょうか?(23歳・OL)

そもそも特定の「パパ」のみからお金をもらうパパ活は違法ではないので、犯罪にはなりません。

まず交際期間中にもらったお金やプレゼント代、デート代に関しては返す必要はありません。なぜならこれらの代金は彼から「贈与」されたものであり、受け取った相手は返す義務を負わないからです。また、贈与であったものを、後になって貸したお金として返済を求めるなど、その法的性質を一方的に変更することはできません。

そして「パパ活をしていたことをバラされたくなかったら、お金を払え」というのは、明確な恐喝です。刑法249条1項には、次のようにあります。
“人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。”
この場合、民事上の不法行為による損害賠償で訴えることも、刑事事件として警察に告訴をすることもできます。

注釈:民事上の不法行為による損害賠償とは、「故意または過失によって他人の権利・法律上保護される利益を侵害した者に対し、生じた損害を賠償させるための民法上の制度」です(民法709条)

まずは自分がどれくらいの規模でことを進めたいのか明確にしましょう。
もし穏便に進めたいのなら、まずは自分や弁護士から返還請求して民事で訴えて様子を見る。それでも先方が対応しないようなら、弁護士に相談しながら警察に行くというのもひとつの方法です。もちろん警察をどうしても通したくない場合は、弁護士に交渉を任せることもできます。

ただ、民事裁判を起こすと時間がかかるというデメリットも。警察に介入してもらって相手が逮捕されたら、その瞬間からあなたは有利な立場で、かつ短期間で交渉ができます。

たとえ相手の住所が分からなくても、単に弁護士が内容証明を送ったり、交渉をするだけなら、名前と携帯番号が分かれば十分です。刑事告訴をする場合も警察が携帯番号から特定してくれるので、泣き寝入りになる心配はありません。

なにより「相談したらおおごとになっちゃう」とは思わないことです。弁護士がついていたら、マスコミも被害者の名前を報道することはありません。

そして、決してパパ活を勧めるわけではありませんが

自衛策としては……
・そもそもパパ活をするような大人を安易に信用しないこと!
・自分の情報は安易に晒さないこと!

具体的には……
・保険証や運転免許証など住所が書いてあるものは持ち歩かないこと!
ホテルなどでシャワーを浴びているときにそれらを盗み見られることがあるからです。
・やり取りの記録はすべて保存する!
LINEもスマホだけでなくPCでも使えるようにしておきましょう。もしも携帯が水没してデータがすべて飛んだ……なんてときも、パソコンにバックアップが残るからです。

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■相談者Cさん

「マッチングアプリで知り合った男性にお金を貸して持ち逃げされた」

マッチングアプリで自称カメラマンの男性に出会いました。ものすごくタイプで趣味も合うし、センスもよかったんです。
3回めのデートのときに、「急に撮影が入ってしまった。今から機材を借りなきゃならないんだけど、財布を忘れちゃって。すぐ返すから3万円貸して!」と言われました。彼も困っているようだったので貸したのですが、その後、なかなかお金は返ってこず、次第に連絡も途絶えがちに……。そしてつい3日前にはLINEをブロックされ、アプリも退会してしまったみたいで、連絡もつきません。

つい貸してしまった自分もいけないのですが、どうにかして返済してもらう手立てはありませんか? (21歳・大学生)

相手の恋心を逆手に取った「恋愛詐欺」ですね。

結論から言うと、お金が返ってきても費用の方がかかる可能性が高いと言わざるを得ません。

というのも、弁護士に依頼すると相談費用がかかり足が出てしまうからです。

もしも相手の住所がわかっていて、どこかの会社員という前提であっても、被害額が最低でも30万円程度はないと費用対効果は薄いです。本名や住所、勤務先などがわからない場合は興信所(探偵)の費用もかさみますし、現実的ではないでしょう。

ちなみに弁護士を利用しないのであれば、「少額訴訟制度」というものがあります。これは60万円以内の金銭請求に限り、相手が反対しなければ、原則1回の裁判でスピーディに解決を図る、という制度です。ただお金を請求する原告側(この場合はCさんですね)が揃えるべき証拠資料が多いので、Cさんのように素性がわからない男性を相手取るとすると、なかなかハードルが高いと言えるでしょう。

お金は返ってきませんが、他にさらなる被害者を増やさないために、トラブルをマッチングアプリの運営サイドに報告するか、ブログやSNSアカウントなどで注意喚起をしてもよいでしょう。同じ被害に遭った人がいれば、警察が既に犯人の目星をつけている可能性もあるので、警察に相談してみるのも一つの手です。

弁護士という仕事柄、この手の相談にもよく乗るのですが、「なぜ簡単にお金を貸してしまうのか?」について考えることがあります。

なにより僕が心配なのは、「Cさんはご自分に自信がないのでは」という点です。

「このひとに振り向いてほしい」という一心で簡単にお金を貸してしまうのかもしれませんが、ありのままの自分の価値をご自身で認めてほしいと思います。

逆に同じ3万円を貸すにしても、「何があっても、私がこの人を絶対に応援するんだ!」という覚悟を持てたら、それはそれで自分に納得感のあるお金の使い方といえるのではないでしょうか。

今回はマッチングアプリでの少額の詐欺被害ですが、この先の人生にもまだまだ落とし穴はたくさんあります。結婚詐欺、病気が治ると謳うインチキ商材、高齢になったらオレオレ詐欺……年々その手口も巧妙化しています。そんな中で、もう二度と騙されないためにも「自分への自信」をぜひ確立してもらいたい、と願ってやみません。

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■相談者Dさん

「婚約者の起業のための独立資金、これって貸していいの?」

私の姉の話です。塾講師をしている婚約者から「結婚するにあたって、今のまま塾に勤め続けるのは心もとないので、独立して起業したい」「独立資金として500万円を貸してほしい」と相談されたといいます。

婚約者とは10年のつき合い。さすがに詐欺ではないと思っているようで、500万円なんて姉ひとりで出せる額ではないので実家の両親にお願いする、と言っています。これって大丈夫でしょうか?(19歳・専門学生)

「君と結婚するためにちゃんとした男になりたいから出資してくれ」これもまたよく聞く話です。もちろんお姉さんにとっても、信頼している婚約者なので応援したいと思う気持ちが湧いてくるのは、自然なことだと思います。

家族や恋人など親しい仲でもトラブルを防ぐために、お金を貸すときにはきちんとした「借用書」を作っておくことが大事です。そしてより確実に回収したい場合は、「公正証書」を作成したほうがよいでしょう。

公正証書は、貸主と借主が公証役場に出向いて、公証人(公正証書を作成する人)に契約内容を伝えて作成してもらいます。公正証書の場合は、借主が約束通りお金を返してくれない場合、裁判をせずに差押え手続きに移行できます。

とはいえ「借用書を作った=お金が返ってくる」というわけではありません。
なぜならお金がないところからは取り立てられないからです。返すつもりはあっても、返せないということもあります。

Dさんのお姉さんの婚約者も、きちんと返すつもりなのかもしれません。でもお金を貸すときには「返ってこないリスクを想定して貸さないとダメ」なんです。

銀行などでローンを組む場合、その人がちゃんと返済できるかチェックをする「査定」がありますよね。個人間でも同じです。相手の男性がちゃんと返してくれるかを貸す側が査定する必要があります。

相手の将来性をきちんと査定できなかった、もしくは彼への愛情で審査が甘くなってしまた、その結果生じるリスクを回避するために、弁護士に相談するのも一つの手です。

つまり、実際に「貸す前」に相談をするのです。

弁護士は、相談者さん、つまり失敗してしまった人の事例をたくさん見ている法の専門家です。事業計画書はどうなっているのか、金利はどうなのか? どれぐらいのリスクがあるのか……実際にお金を貸す前に、プロの目でアドバイスをすることはできます。盲目的に貸して、あとで収拾つかなくなってしまわないよう、貸す前に相談するのもアリ、ということは覚えておいて損はないはずです。

びびねぇ

お金で愛は買えないし、お金を貸したら振り向いてくれる、なんてことは残念ながらあり得ないのが恋愛のリアル。「信頼関係がままならないうちに、お金の貸し借りはしない」はもちろんのこと、トラブル回避のためにも事前に弁護士さんなど法のプロに相談するのは、転ばぬ先の杖。「お金の切れ目が縁の切れ目」にならないよう気をつけて!

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illustration/Hikaru Tanaka Text/アケミン