宇垣美里さんのエッセイ連載。今月は「もしも自分が○○だったら……」をテーマに、宇垣さんにあれこれ妄想していただきました。今週は、「もしも宝くじが当たったら」 。読者からの質問では、「嫌な気持ちになることを遠回しに伝えてくる人への対処法」について答えていただきました。【私から見えている景色】

第二十一章 『妄想トリップ』
(二)
もしも宝くじが当たったら。
年末になるたびに、買いもしないのについつい夢見てしまう。
まずは大きなおうちに引っ越したい。
家の中で走り回れるほどの広さがあれば、犬も退屈しないんじゃないかなあ、と思うのだ。お庭もあればなお良し。
きっとどろんこになって遊び回ってくれることだろう。庭にテーブルセットを置いて朝ごはんを食べたりしたいなあ。
実家ではラズベリーやブルーベリーを育てていて、とれたてのそれらを朝ごはんに食べるのが大好きだった。
庭が大きければオレンジや檸檬みたいなもう少し大きな木も育てられるかもしれない。
想像しただけでなんだかお腹がすいてきた。

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場所は潮の香りがするほど海の近くがいい。
海沿いの街で育ったからか、いつかはもう一度潮の香りに包まれて生活したいと常々考えていた。きっと新鮮な魚を食べられることだろう。なんだかずっと食べ物の話をしているな。
半年くらいかけて旅に出るのもいい。ヨーロッパの国をいくつか巡りたい。
いや、同じところに何ヵ月か暮らして語学学校に通うのがいいかな。
なんでもないアジア人の小娘として学生に戻ってがむしゃらに勉強する、そんなことができたらいいのに。図書館みたいな書庫も欲しい。
ああ、夢は膨らむばかり。
宝くじ、買おうかな。

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宇垣美里にQ&A

Q. 「○○がこういうこと言ってたんだよね」などと、私が嫌な気持ちになることを遠回しに伝えてられるのが嫌です。そんな人にはどうしたらいいですか? そういう事を言われたら宇垣さんはどう対応しますか?(さな 10代女性)
A. なんでそんな誰も得しないことわざわざ伝えてくるんでしょうね。小者感がすごい。たまに善意? で伝えてくださる人もいるんですけど、まあ誰も欲してないですよね。知りたくなさすぎるだろ、その情報。変な人だなあ〜って思いながら、“ふーんそうなんだあ、おもしろいねえ”ってアホのフリしてニコニコします。私の傷ついた顔見たい奴のために傷ついてやるほど私優しくないので。嫌がらせにしてはやり方が古くてセンスがない。別に気を使う必要のない相手には“それ伝えて何がしたいの?”って聞く。どうせ答えられやしないだろうけど。
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。
宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg
※白シャツ、デニム/全てスタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kisshomaru Shimamura Styling:Ruri Matsui Hair&Make-up:Miho Matsuda Composition:Mayuko Kobayashi