セックスについて、妊娠について……なにかと疑問や不安が尽きないViVi世代の性のお悩み。「性の話をもっと気軽にオープンに」をテーマに情報を発信している性教育ユーチューバーのシオリーヌさんに、様々な疑問をぶつけてみました!

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Q. セックスって何歳からしていいの?
A. 大前提として「その人のことを決められるのはその人自身だけ」
YouTubeでも「何歳になったらセックスをしてもいいんですか?」「高校生なんだけどしていいと思いますか?」などの質問が寄せられるのですが、私から「●●歳になったらしていいよ!」とも「まだ●●歳だから、やめておきなよ!」とも言えないんです。
ただ、セックスをする前に、「どういう条件が揃うと妊娠するのか」というカラダの仕組みや避妊の方法、性感染症については知っておきたいですね。そしてもし妊娠したり、性感染症にかかってしまった場合、どこに相談に行ったらいいのか、費用はどのくらいかかるのか……そういう対応策も理解しておいてほしいなと思うんです。
こう聞くと、なんだか色々大変そうだし、もしも今、アナタが「セックスのこと、よく知らないかも」と感じるとしたら、それはそういった情報をきちんと届けてこなかった私たち大人にも責任がある。だからこそ私自身も、若い世代の人が安心して自己決定できるための必要な情報をきちんと提供していきたいなと思って、日々発信し続けているんです。
セックスは心にもカラダにも大きな影響を与える行為
そして、自分もパートナーも、お互いにセックスをしたいと思っているのか、もし途中でイヤだと思ったらNOと言える関係性かどうかも確認しておきたいですね。
「セックスは、何歳からならOK!」という絶対的な答えはありませんが、今言ったようなことをきちんと確認し、「今の自分なら大丈夫!」と思えるようになったら、してもいいと思います。もちろん相手がいるからといって、必ずしもセックスをしなくてはいけない、というわけではありませんよ!
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Q. セックス後、アソコが痛い……。これって病気ですか?
A. まずは原因を考えてみましょう!
痛みの原因は実にさまざまです。
女性の膣はとてもデリケートなので、挿入前に濡れていないとピス
精神的な緊張や不安感が強く、性行為中にリラックスできていない
そんなときには、潤滑ゼリーを使うのも手。今はドラッグストアでも「リューブゼリー」という名前で売られているものなどがあるので、試してみるといいかもしれませんね。
ちなみに潤滑ゼリーを使うと、「相手のテクニックに対してダメ出しをしているみたい」「相手が不機嫌になっちゃった」という声もたまに聞かれますが、カラダの反応と、自分や相手の魅力やテクニックは、ダイレクトに結びつかないもの。潤滑ゼリーを使うことで、より前向きにセックスを楽しめるのなら、それも選択肢のひとつなんです。
こういった工夫をしても性交痛が解決しないときは、子宮内膜症など婦人科的なトラブルがある可能性もあるので、迷わずお医者さんへ行ってみてください。病院に行くのはちょっと勇気がいるかもしれませんが、婦人科の先生たちは性のお悩み解決のプロ。普段からそういう話は聞き慣れているので、気軽に相談に行ってみてくださいね。
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Q. 性器を挿入しなくても性病になることはあるの?
A. あります!
一般的に言われる「性病」とは、クラミジア、淋菌、梅毒、カンジダ症、HIV、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、A型肝炎、B型肝炎……などさまざまな感染症のことを指します。
クラミジアや淋菌、ヘルペス、梅毒は、性器の挿入がなくても口でのセックス(オーラルセックス、口腔性交ともいいます)でうつります。
性感染症は、かかっていても自覚症状がないことも少なくありません。気が付かないうちに周囲に感染を広げたり、長年放置しておくと、カラダに取り返しのつかない変化をもたらしてしまう、なんてことも……‼︎ コンドームを使った「セーフセックス」はもちろんですが、パートナーが替わったタイミングなどで、二人で定期的に検査を受けるとさらに安心&安全です。
性感染症は「感染の予防」と「早期発見」が大事!
性感染症の検査は婦人科でもできますし、自治体の保健所でも匿名、かつ無料で(!)受けられます。今は新型コロナウイルスの感染対策で保健所の対応も変則的ですが、気になる人は最寄りの保健所に聞いてみてくださいね。
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Q. 彼の性欲が強いんです。セックスをしすぎてカラダに悪影響はない?
A. セックスの回数が多いことが、カラダに悪影響を及ぼすということはありません
お互いに納得して楽しんでセックスをしているのなら、回数に関しては個人の自由です。
ただここで気をつけたいのは「性欲は、ひとりひとり程度が違う」ということ。性欲が強い人もいれば、あまりセックスをしたくないなと思う人もいる。一般のアンケートを見て「だいたいみんな週2はしてる」とか「普通は男の人のほうが欲求が強いもの!」「女性から誘うなんて、普通はしないでしょ」と一般論にとらわれていると、目の前の相手とすれ違ってしまうことも。
大切なのは「自分と相手がどうしたいのか」ということです。お互いにコミュニケーションをとって、仲良くすり合わせていきたいですね。
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Q. アダルトグッズに興味が……。注意すべきことってありますか?
A. ひとりで使うときも、パートナーと使うときにもまず心がけたいのは、清潔にすること!
最近は、女性向けのグッズも様々なメーカーから発売されていますよね。
使用するときは手や指をきれいに洗って、グッズも清潔に! ものによっては、コンドームを着けて使ってもいいかもしれませんね。グッズによってまちまちですが、水洗いができるものなのかなど確認してから購入することも大事です。
もし「アダルトグッズを使ってみない?」とパートナーから言われても、自分が乗り気じゃないのであれば無理に使わないで。我慢してまで使う必要はないし、痛いときは「やめて」と言えるような関係性を築いていくほうが“楽しいセックス”ができるはずです。
アダルトグッズでマスターベーションすることは、恥ずかしいことじゃない!
アダルトグッズを使って、マスターベーションをしたいと思ったらしていいし、そこに対して恥ずかしさや罪悪感を抱く必要はまったくない、ということも知ってもらいたいと思います。
アダルトグッズの強い刺激に慣れると、なにか不都合があるのでは……と不安になる人もいます。確かに男性の場合、マスターベーションの刺激が強すぎると、女性とのセックスで射精をしづらくなって(これを「膣内射精障害」といいます)、子供ができない原因になることも。
ただ女性の場合は、セックスでオーガズムを得られなくても、それが原因で妊娠しづらくなる……ということはありません。とはいえ、もしも「パートナーとのセックスでオーガズムを得たい」と考えるのなら、セックスで再現できないようなアダルトグッズの強い刺激には、慣れすぎないように気をつけて、上手に使ってみてくださいね!
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Q. 今は絶対に妊娠はしたくない!どうすれば100%妊娠を回避できるの?
A. 残念ながら、100%の避妊法は世の中にはないんです
もっともポピュラーなのがコンドームですが、一般的な使用法を続けていても、100人中15人ぐらいは妊娠する可能性があるとも言われています。
正しく服用すれば避妊の成功率が99%以上と、より高くなるのが低用量ピル。
女性ホルモンを含むピルを1日1回、決まった時間に飲むことで、排卵を止めて、子宮内膜が厚くなるのを抑制して着床しづらい状態にし、粘液の性状を変化させて精子の進入を防ぐことで、避妊する方法です。これは女性が自分で主体的にできる避妊法といえます。
またIUDやIUSと呼ばれる小さな器具を子宮内に装着する方法も、高い避妊効果があります。
低用量ピルやIUDのような効果の高い避妊法にコンドームもプラスして使う、というのが今できる一番の“妊娠の可能性を下げる方法”と言えるでしょう。
「避妊に失敗したかも」というときは、すぐにアフターピルを使って!
アフターピルは、避妊に失敗したり、避妊ができなかったセックスから72時間以内に服用することで避妊ができるお薬です。ただし、アフターピルは飲むタイミングが遅れれば遅れるほど避妊の成功の確率が下がるのも特徴です(24時間以内で95%、25〜48時間以内で85%、49時間〜72時間以内で58%)。
また、吐き気などの副作用が出る場合もあるので、あくまでも緊急時の手段と考えてくださいね。
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Q. 生理中のセックスって危険なの?妊娠しないって本当?
A. 結論から言えば、「生理中だから妊娠をしない」というのは根拠のない情報
ネットなどで「生理中は妊娠しない」「生理中はナマでやってもいい期間」という情報に触れたことのある人もいるかもしれませんね。でも決してそんなことはないんです。
生理の出血がある時期でも、人によっては排卵が近づいていることもあるので、くれぐれも「性器からの出血がある間は排卵をしない」というふうには思わないでください!
生理中のセックス欲は、人によってさまざま
「経血を相手に見られるなんて絶対にイヤ!」という人もいれば、「生理中のほうがセックスしたくなる」という人もいます。「これが普通」という絶対的な基準はないんです。
ただ生理中は、子宮内膜が剥がれて外に出てきている状態なので、性器はすごくデリケート。もし生理中に「エッチがしたい!」と思ったら、必ずコンドームを使用するなど感染予防をしてくださいね。
前提となる知識を学んだ上で、パートナーとはお互いがどういう気持ちでいるのかについても、丁寧にコミュニケーションをとってほしいなと思います。
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Q. 中絶をすることで起きる問題ってある?
A. 中絶は大切な選択肢、でも心身ともに大きな影響を残します
中絶は、女性の健康と生活を守るための大切な選択肢のひとつだと考えています。人には産む権利も産まない権利も、妊娠する権利も妊娠しない権利もある。
妊娠を望んでいないときには、より確実な避妊に取り組んでほしいですし、万一に備えて緊急避妊(アフターピル)という方法があることも知っていてほしいですね。
人工妊娠中絶が可能なのは、赤ちゃんがお腹から出ると生きられないとされる妊娠22週未満までとなっています。日本では、初期の中絶では子宮口を広げてかき出す掻爬(そうは)法や、吸引法という方法で行われます。世界には中絶薬などより安全な方法があるのに対し、日本はその基準には追いついていないのが現実です。
予期せぬ妊娠に困ったら全国の「にんしんSOS」の窓口で相談できます。困ったことがあったらひとりで抱え込まずに、まずは相談してみてください。

Text: Akemin