5月公開の映画『いのちの停車場』で、大女優・吉永小百合さんと共演した広瀬すずさん。命と向き合う作品を経て、姉・アリスさんへの接し方にも変化が生まれたそう……!
人に迷惑をかけない程度に不健康な生活をしてみたい
ーー今作では在宅医療の現場で働く看護師・星野麻世を演じています。オファーを受けたときの気持ちは?
あの吉永小百合さんとの共演と聞いて、映画の内容を教えてもらう前から「やります!」と言っていました。でも作品は、在宅医療の現場を描いたもので、想像以上に苦しくなるシーンがたくさんありましたね。在宅医療ってどちらかというと、治療というより見守ることが大事なんです。だから私情を持ち込みすぎないようにしなきゃいけないんですけど、私は演じていて、つい感情が出過ぎてしまうことがあって。完成作品を見たらそういう演技はざっくりカットされていて、「あっ、そうですよね」と反省しました。
ーー松坂桃李さん演じる同僚の野呂聖二は、患者のために自分を犠牲にしてしまうような男性。どう思われました?
野呂さんは本当にいい人で、無理しているわけじゃないと思うんです。だから人に気を遣いすぎて疲れてしまうタイプではないのかな、と受け止めて演じていました。自分の身を削っても人の人生を優先している人って、男女問わず素敵ですよね。もちろんそんな男性と出会えたらいいですけど、なかなかいなさそう……。
ーーこの映画は“家族”というものもテーマになっています。この作品を経て、家族への接し方に変化が生まれたりしました?
私は何事も、いろいろ調べて「これが正しいんだ」と判断し、それを姉にも共有してもらいたがるところがあるんです。でも姉は気分とか、「今こうしたい!」を大事に生きるタイプ。今回の映画で、自分の生き方を選ぶ患者さんたちを見て、私は今まで姉に対して押しつけがましかったなあと反省したんです。もし姉が「あちゃ~」と思っても、それも姉の人生。尊重しようと思うようになりました。
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ーー自分の生き方については考え方が変わった部分はありますか?
私は常に、リスクを考えながら生活してしまう人間なんです。夜更かしとか暴食も、次の日に影響が出て後悔するのが面倒だから控えてしまう。全然若い時間を楽しめてないじゃん!と気づいたんですよね。だから人に迷惑をかけない程度に、もう少し不健康な生活とか楽しんでみたいと思いました(笑)。
ーーじゃあ恋愛にのめり込んでまわりが見えなくなるとか、まずない感じですか?
あり得ないですね! 恋愛に限らず、何かにのめり込むことはお芝居につながるからいいと言われるんですけど、できない……。だからもし、私が目の下にクマとか作ってる姿を見たら、あ、殻を破れたんだなと思ってください(笑)。

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Photo:Yuzo Touge Hair&Make-up:Ayaka Kanno(ENISHI) Stylist:Miyuki Uesugi(3rd) Interview&Text:Naoko Yamamoto