“山P的なもの”を発信していくViVi連載“P’s STYLE”。
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パンチ、というワードには、どうしても奇抜でエキセントリックなイメージがあるという山P。プライベートのファッションではパンチやインパクトは絶対無視。けれど、表現者としてどう生きていくかという話の中には、山Pらしい麗しいインパクトが。
インタビュー:PUNCH
正直、今日の服は着こなせているかどうか自信がない(苦笑)。オレ、トレンドって追っかけないからさ。30超えたら、20代のトレンドは追わないほうがいいと思ってるんだ。今月はパンチのある服だったから、テーマもPUNCHなのか。パンチのある見た目って、オレの中では、ロバートの秋山さんが扮するファッションデザイナーのキャラクターがすぐ浮かぶ(笑)。何か奇抜で強烈でエキセントリックな感じ。それで言うと、オレ自身の趣味として“パンチのある〇〇”っていうものに、そんなに興味はないかもしれない。“パンチのある人間になりたい”とも思わないし、“パンチのある芝居がしたい”とも思わない(笑)。ただ、インパクトはあったほうがいいと思うけど。
特にこの仕事の場合は、“どうインパクトを与えるか”が大事だと思うんだよね。ただ“インパクトを与えたものが勝ちだ”とは思わない。だって、炎上商法とか、ある意味インパクト勝負ってことでしょ。オレは、あんまり人に“負のインパクト”は与えたくないんだ。それはオレのやるべきことじゃないと思っちゃう。もちろん、一番無難な方法を選んで、人の印象に残らないことが一番寂しいんだけどね。
「インハンド」の紐倉は、変人だからこそのインパクトがあるよね。なんか日本にいて“あの人って変わり者”って言われたとしたら、だいたいネガティヴな印象をもたれるでしょ。でも、オレは“人と違う部分”イコール“その人のオリジナリティ”だと思うのね。だって、人と一緒のことをしてたら、新しい扉は開けられない。誰も見たことのない景色が見たいと思ったら、前人未踏の道を進まなきゃいけないし、新しい物を開発しようと思ったら、人と同じ発想をしてちゃダメ。“変わってる”って、褒め言葉なんだよ。自分が人と違っていることを恐れて、人に合わせようと努力している人って、すごくいっぱいいると思うけど、もったいないよね。自分のオリジナリティを消しちゃうのは、もったいない。
たぶん、平成の最初の頃までは、順当に敷かれたレールの上を進めば安心、みたいな時代だったけど、21世紀に入ってからは、自由な発想を持っている人、個性を持っている人の方が、生き残れるような時代に移行しているんだと思う。「普通はそんなことしないよ」って言われたら、「普通じゃねーから!」って反発しないと(笑)。誰も見たことのない場所にたどり着きたかったら、途中で毒蛇に嚙まれて死ぬかもしれなくてもリスク覚悟で進まないと! 人生は一度きりなんだし、オレも、リスクをとって進んでいきたいタイプだから。
もちろん、人生の目標は人それぞれだし、リスクをとって冒険することにはなから興味がない人もいれば、冒険の途中で眺めのいい場所にたどり着いて、「そうだ、ここに家を建てて、家族と暮らそう」と思う人もいるかもしれない。でも、オレの場合は、進んでも進んでも、「まだこの先に、もっとすごい眺めがあんじゃねーか」と思う。その好奇心が途切れない。でもいつか、「ここが俺の場所だ」って思う時がくるのかもしれない。
最後にパンチってテーマに戻ろうか。パンチのある食べ物が好きか? 辛いやつ? 辛すぎると食べられない。ちょい辛はいけるけど、激辛はダメ。カレーは好きだけど、でも中辛に限る(笑)。
以上!
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お弁当もカラフルで美味しかったです。

『柄もの』
インスタ映えを狙う人が増えているのか。ハイブランドのコレクションにも、この春夏は、パンチのある柄物が目立ったという。身につければ元気の出るパワーファッションは、色彩感もヴィヴィッド。
山下智久1985年4月9日生まれ千葉県出身。5年半ぶりとなるシングル「Reason/Never Lose」が絶賛発売中。現在放送中のドラマ「インハンド」TBS系金曜10時~)では天才科学者・紐倉哲役。オープニング曲「CHANGE」(SMEレコーズ)も山下智久が歌っている。
【ViVi2019年6月号掲載分より(4月23日発売)】
Photos:Junpei Ishikawa Text: Yoko Kikuchi