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【井手上漠インタビュー】理解することは難しくても『そういう人もいる』『そういう考え方もある』と認めあうことはできるのではないか

2021.09.13

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2018年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストへの出場を機に、“かわいすぎる男子高校生”として一躍注目を集めた井手上漠さん。 これから日本を担っていくであろう新星に、自分らしく生きる方法について話を聞いてみた。

自分らしく堂々と生きる姿が自然と周囲の意識を変えていった。書籍でもその過程が描かれていて、実際に周囲の人の理解を得て支えてくれるようになるまでになるのは簡単なことではないと思うのですが、ご家族や、先生の存在は大きかったですか?

実際、私自身も、自分の価値観とはまったく違う人や、自分の経験の幅をはるかに超える人に出会うと驚くこともあります。私はその相手と同じ状況に置かれて同じ思いを味わっているわけではないから、気持ちをなんとなく想像することはできても、真の意味で気持ちを理解しているかと問われれば、それはとても難しいと思うんです。私は高校時代、もともとは体育の時間の着替えの際、男子と同じ部屋を使ったり、トイレも男子トイレを使っていました。私にとっては男子と一緒に着替えることも男子トイレを使うことにも違和感や恥ずかしさがあるので、カーテンの陰で着替えたり、他の男子生徒に出くわさないように授業中にトイレに行ったりしていたのですが、仲良くしていた女友達が『一緒に着替えよう』『女子トイレに入ってもいいんじゃない?』と、誘ってくれたんです。さすがに他の女の子たちに申し訳ないのではないかと思ったのですが、友達は他の子たちにも声をかけて了解をとってくれた。“男だから、女だから”ではなく、“漠ちゃんは漠ちゃん”という視点で私を見てくれた友達がたくさんいたことは、本当に恵まれていたと思っていますし、今も感謝の気持ちを忘れてません。

自分が自分らしくいることを発信することで、誰かが今より生きやすくなるきっかけになるかもと思うようになったのはいつからですか?

もしかしたら、『マイノリティの人を“理解してあげなければ”』というプレッシャーによって、理解する側の人が苦しんでいることだってあるのかもしれないと最近気づいたんです。ジェンダー平等とは、マイノリティもマジョリティもお互いが平等であることのはず。私が生きやすくなる代わりに、他の誰かが窮屈な思いをするような解決方法では意味がないと思うんです。

たとえば、トイレ。公共の場でトイレに入るとき、私はいつも緊張します。身体が男性用トイレなのだから男性用トイレに入ればいいのではと思われるかもしれませんが、男性用トイレを使うことは自分の中で違和感を覚えることがあります。それに、普段、私は“女性っぽい見た目”をしているので、男性用トイレに入ると、その場にいる人は驚いてしまうでしょう。

一方で女性用トイレに入るとなると、もし私のことを知っている人に遭遇してしまったら『身体は男なのにどうして?』と思われるかもしれないし、私を知らない人であっても、万一何かのはずみで私の身体が男性だと知られてしまう可能性もゼロではありません。その結果、やましい思いはまったくなくても、周囲の人を驚かせてしまったり、不快な思いをさせてしまうことが起こりえるのです。

だから、“差別”はいけないけれど“区別”は必要。『私は女性用トイレのほうがしっくりくるから、理解してください』と一方的にいうのは何か違う気がしているんです。

ただ、理解することは難しくても『そういう人もいる』『そういう考え方もある』といっったように認めあうことはできるのではないかも思うんです。

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自分と周りの価値観が違って否定される、自分のセクシャリティについて親にも親友にも打ち明けられない、など身近な人に助けを求められない環境の人もいると思うのですが、そう言う人たちにアドバイスするとしたら?

“好き”という思いは、人が前に進む上での最強のアイテムですよね。たとえば恋。好きな人ができたら、『キレイになりたい』などと自分を磨く原動力になります。映画が好きなら、時間も忘れて映画鑑賞に没頭し、『字幕なしで見られるようになりたいから語学を勉強しよう』と努力することでしょう。

多様性とは、そういった誰かの“好き”を認め合うことじゃないかなと思うんです。互いの好きなものを尊重しあえたら、それぞれの個性がどんどん深まって輝きを放ち、相手を認めることで自分の幅も広がります。そして、誰もが暮らしやすい世の中になる。それこそが、多様性の実現ではないかと思うんです。

先ほど、私も自分の価値観を超える人を見ると驚くことがあると言いましたが、その驚きは不快なものではなく、むしろ魅力的だと私は感じます。自分にないものを持った人に出会うと、新たな気付きを得られますし、それによって自分の価値観も柔軟に変化していくと思うからです。

井手上漠(いでがみ・ばく)2003年1月20日生まれ。島根県隠岐郡海士町出身。15歳でジュノン・スーパーボーイ・コンテスト”DDセルフプロデュース賞”を受賞し脚光を浴びる。以降、数多くのメディアに登場する他、サカナクションのMV『モス』への出演に抜擢されるなど多方面で活躍。現在はモデル業を中心に活動。初のフォトエッセイ『normal?』が話題となっている。

“可愛すぎるジュノンボーイ”として注目を浴びる、話題のモデル・井手上漠(いでがみ・ばく)が、初めてのフォトエッセイを刊行。フォトパートには井手上漠のルーツ・島根県隠岐諸島にある海士町(あまちょう)での撮り下ろしを掲載。 生まれ育った土地ならではの自然な姿からハッとするような表情まで、美しい島の風景と調和した美麗ショットが堪能できます。 エッセイパートでは、生い立ちや家族、SNSや性についてなど、多彩なテーマを収録。 ファンならずとも心に刺さる真っ直ぐな言葉の数々は必見です。 井手上漠の“美と言葉”がたくさん詰まった、内容盛りだくさんの一冊。 本書籍の公式ツイッター(@bakunohon0420)には、最新情報やオフショットが順次公開。

INFORMATION
井手上漠『normal?』(講談社刊)価格:1480円(税込)

Model:Baku Idegami
Photos:Daimon Tohru
Styling:Suzue Hideo(H)
Hair&Make-up:Mien(Lila)

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