神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな彼は、他人に何を言われようが、どう思われようが、気にしない。世の中にはびこる“アンチ”に対して、「だから何?」という精神で乗り切るためにはどうすればいいのか。“京極風斗”的な考え方ができれば、この先どんなことがあっても大丈夫って気持ちに、きっとなれるはず!
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #5】
ー 僕はブラックホールになりたい。 ー

Illustration: Kazato Kyogoku
人間同士の話なんてどうでもいい
僕は宇宙が好きです。
0か100かという極端な考え方の根源は宇宙です。
宇宙単位で見れば人間同士の話なんて、何もかもが本当に小さく、本当にどうでもいいことなのです。
まさに100。いや、∞(インフィニティ)。
そんな宇宙の中でも特に好きなのがブラックホールです。
浪漫の塊ブラックホール。
諸説ありますが、直径が1000億km、質量が太陽の65億倍なんですって。1000億って。数字覚えたての小学生じゃないんだから。
ブラックホールがブラックなのは、重力が強過ぎて光も引っ張ってしまうからです。
中卒の僕が変に説明してミスがあると、中卒が過ぎるので、あまり詳しく言及するのは控えますが、ブラックホールはとにかくスゲェ引っ張る天体です。
大きくなればなるほど、色んなものを引きつけるという意味では、人もブラックホールです。
人もブラックホール。
話が飛躍しましたね。飛躍失礼します。
“宇宙単位で見れば人間同士の話なんて、何もかもが本当に小さく、本当にどうでもいいことなのです。”
とかも言ってましたね。にもかかわらず「人もブラックホール」とはこれ如何に。
ややこしいことはブラックホールに吸い込んでもらって話を進めますね。
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“悪意”なんて風に舞う埃みたいなもの
人間は大きくなればなるほど、色んなものを引きつけます。
人も集まりますし、仕事も、お金も、賞賛も増えます。
しかしブラックホール同様、引きつけるのは良いものだけではありません。
目立つ分、悪人も寄って来ますし、罵詈雑言も増えるのです。
心の準備が出来ないまま有名になって、引き寄せた悪いものに蝕まれる人も沢山います。
僕は有名人のアンチになる人の気持ちは分かりませんし、当然いない方がいいと思っていますが、人の目に触れる仕事を選んだ以上「そうなることは想定しとけよ」とは思ってしまいます。
「有名になる」とはそういうことだからです。
しかし、理屈では分かっていても、悪意を向けられるとやはり傷付いてしまうのが人間です。
その点ブラックホールは凄いですよ。光も闇も引きつけておきながら、「だから何?」といったご様子で全く意に介しません。
だから僕は本物のブラックホールになりたい。
どんな汚い物も全て吸い込めるような立派なブラックホールになって、他の弱小ブラックホールの負担を減らしてあげたい。
素質はあります。僕は他人に何を言われようが、どう思われようが、気にするタイプではありません。
僕の様なブラックホーラーにとって、回線を通った悪意なんて風に舞う埃に等しい。吸い込んだところで何も変わりません。
僕を叩くことで、明日も生きられるなら叩けばいい。
どんな形であれ、大勢の人生に関われたなら僕は幸せです。
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ここまで書いて寝落ちしたのですが、起きたら絶望的な遅刻をしていました。
何も食らわないと思っていた僕ですが、やっぱり善意で怒られるのはキツいですね。
皆さんも時間は守ってください。
ブラックホールとか言ってる場合じゃないですよ。まずは人としてちゃんとしましょう。

Photo by: Ryo (Kotora)
連載『9番街レトロ・京極風斗の0か100かで生きてゆく』は第2・4水曜日に更新!
1995年8月9日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ。2019年4月1日に9番街レトロを結成。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。
コンビのYouTubeチャンネルは毎日更新!
個人チャンネル「京極風斗の道楽ちゃんねる。」ではアートとインテリアを軸に、好きなことを週2(月・木曜)で配信。絵が得意で、自らデザインしたオリジナルグッズをSUZURIで販売している。
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Photo: Ryo (Kotora) Text & Illustration: Kazato Kyogoku