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エモすぎる!若者のお酒離れを引き止めたクラフトビールの魅力とは?

2021.11.05

CMを見ると続きが読めます。CMを見ますか?

はい

2021年3月、“これぞ、クラフトビール。”のコピーを掲げ、「SPRING VALLEY 豊潤<496>」が発売されました。このCMをきっかけにクラフトビールを初めて飲んだという人も多いかもしれません。話題華やかなビール業界ですが、コロナの影響を除いても、残念ながら日本のビール市場はここ15年以上前年割れを記録し続けています。その一因は若者のお酒離れとも言われていますが、そんな中、右肩上がりを続けているのがクラフトビール。また、その人気を牽引しているのは30代を中心とした若い世代と分析されています。

いったい、クラフトビールにはどんな魅力があって、若者はどうして惹きつけられるのか? その理由をゆっくりと紐解いてまいります!

今回、お話をしてくれるのは……
ビアジャーナリスト 宮原佐研子 さん ビアLover 宮原佐研子。ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれるコト。これまではライターとして、数々の雑誌やグルメサイトで執筆活動を行ってきました。

ちなみに、クラフトビールって何?

クラフトビールとは、造り手の想いや創造性が感じられるビールのことだと言われています。主にクラフトビールは、小規模なブルワリーで造られるビールを指し、日本で長く親しまれてきた大手ビール会社のビールと比べると、色も香りも実にさまざま。味わいも、フルーティだったり、ふわりと優しい甘さ、複雑なスパイシーさ……と、ひとつに括れない個性に溢れています。

そもそもビールは世界で100種類以上のバリエーションがありました。ただ、古くから造られる日本のビールは、その数多くあるビールの種類(=ビアスタイル)の中で“ピルスナー”という、たった一つのビアスタイルを造っていたため、多くの人がビールとは金色のすっきりした“アレ”、と刷り込まれていたのです。

1994年の法改正から小規模でのビール醸造が可能になると、全国にブルワリーが誕生し、それぞれが個性を出そうと、これまでにないビアスタイルのビールを造り始めます。それは当初“地ビール”と呼ばれていましたが、一説によると2012年あたりから“クラフトビール”と呼ばれるようになります。

Photo by Octagon Brewing

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何より、映える見た目とネーミングがエモすぎる!

最近はスーパーでもよく見かけるようになったクラフトビール。それは、瓶ではなく缶が増えたことも理由の一つです。缶は流通や管理のしやすさはもちろん、ぐるっと一周デザインすることが可能で、個性的なボトルのラベルデザインから、さらに華やかで思わずジャケ買いしたくなるものが増えています。

見た目のインパクトといえば、長野のヤッホーブルーイングのクラフトビール。まだエールビールが珍しかった時代に、「よなよなエール」という、気になるネーミングのビールを登場させ、その後、「インドの青鬼」「水曜日のネコ」、「僕ビール君ビール。」など、好奇心をそそるネーミングとそれまでにはないパッケージデザインのクラフトビールを続々と発売し、その何ともエモいデザインとネーミングから若者たちの心を鷲掴みにしていきました。初代「僕ビール君ビール。」が登場した際は、パッケージのカエルのイラストにちなんだ「全国カエル捕獲大作戦」を展開。SNS上でカエル捕獲=ビールを購入した人たちが、次々と#カエルビールをつけた投稿をし話題騒然となりました。

また、日本の小規模ブルワリーの先駆けである新潟のエチゴビールは、その歴史のみならず、東京商工リサーチによる調査によると、1-8月の出荷量が10年連続で全国トップと分析されています(※1)。創業25周年を迎えた2020年にはパッケージデザインをすべてリニューアル。ストーリー性を盛り込んだ定番のデザインはもちろん、限定シリーズの動物キャラクターのデザインも好評を博しています。

「白くまのイラストを施した『のんびりふんわり白ビール』が20-30代の女性にとても支持いただいていて、コロナ禍においても全体で前年比が20%ほど上がっています」とエチゴビールのマーケティング室室長、別所弘章さん。

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みんなと同じではなく自分流に楽しめる、それがいい!

世界では、多様性を認め合うことがスタンダードになりつつあります。ヤッホーブルーイングが2019年に実施した、成人大学生を対象とした飲み会実態調査(※2)では、今一番飲みたいお酒にクラフトビールが選ばれました。また、クラフトビールを月に1回以上飲む人を対象とした調査(※3)で、クラフトビールを常飲する理由として “選ぶ楽しみがあるから”という結果が上がっています。

多様なクラフトビールが広まることで、飲む人がその日の気分でビアスタイルを選び、好きなグラスでビールの香りや味をゆっくりと楽しむ、ちょっと温度を上げて飲むなど、個々のやり方で自由に楽しむことができるようになりました。自分で選択し自分流に工夫をして楽しめる、そんなクラフトビールの自由さは、社会の多様性のあり方や今どきの考え方に通ずるのかもしれません。

「仕事の後を大切な“自分時間”と捉えてアクティブな気持ちで楽しんだり、“自分の好きなもの”“自分に合うもの”を求める若い方にクラフトビールが支持されています」とヤッホーブルーイングのヤッホー広め隊(広報)のちゃっぴーこと渡會ちはるさん。

人やカルチャーに自然と繋がるクラフトビールの世界

音楽イベント、スポーツなど、クラフトビールはカルチャーとの相性の良さがありますが、ファッションとの融合もあちこちで形になってきています。

アパレル業界で不動の人気を誇るBEAMS2016年には、新宿店内に10TAPの樽生クラフトビールと日本の洋食が楽しめる「NIKKO KANAYA HOTEL CRAFT & GRILL」をオープンしました。また、創業45周年の今年(202110月現在)に開催した、個性豊かなスタッフの好きなことややりたいことを実現するプロジェクト「マクアケグランプリ2021」で、その上位6名の企画のひとつに、愛媛のDD4D Brewingとコラボして造るオリジナルビール「HARAJUKU CITY IPA」が選ばれ、クラウドファンディングで見事目標を達成しています。

「ビールは苦手でしたが、クラフトビール好きの友人に勧められて飲み始めると、どんなシーンにも合うビールの魅力に気がつき、今や、醸造のお手伝いもするほどの大ファンになりました。人とつながることができるビールの楽しさにいろいろな可能性を感じています」と、BEAMSのプロジェクトリーダー、中塩敬恵さん。

また、若年層からファミリーまで人気を誇るユナイテッドアローズでは、ユナイテッドアローズ原宿本店 エイチ ビューティ&ユース内に、今年8月、UNITED ARROWS BOTTLE SHOPをスタート。そこに登場したのが、静岡のWest Coast Brewingとコラボしたオリジナルビール「#refresh」です。

「もう15年くらい前からクラフトビールに魅了されていて、友人たちを誘ってはクラフトビールを飲んで、沼にはめてきました(笑)。こんな面白い世界がある!と伝えたいこの思いは、自分が感動したものを紹介したいという、セレクトショップの原点と同じだと思います」と、ショップの “酒”ディレクターである、ユナイテッドアローズ営業統括本部の鈴木 貴至さん。今後も様々なブルワリーとのコラボビールをリリースしていく予定です。

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つまりは、造り手と消費者の間に “楽しい”が溢れている!

これまでに330銘柄ものビールを生み出してきた、愛知のワイマーケット・ブルーイング。「開業当初からのテーマは“ビールって楽しい、を体感してもらう”です。ビールほど自由で、縛られない発想で表現できるお酒はないと思います。もちろん奇をてらうだけでなく品質も大切で、何より自分自身が楽しむことを大事にしています」とヘッドブルワー・加地真人さん。

ミュージシャンが心の底から楽しんで演奏するライブは、心が震え、感動を呼び起こします。音楽が体を突き動かすように、クラフトビールは、全国のブルワー(=ビール醸造者)が自ら楽しみつつ想いを込めて造っているからこそ、飲むことでワクワクが自然と伝わり、そしてハマってしまうに違いありません。

ああ…、もう我慢できなくなりました!さて、今日飲むクラフトビール、どれにします?

Photo by Elevate Photo Unsplash

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※1 東京商工リサーチ 第12回「地ビールメーカー動向」調査
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211005_01.html

※2 ヤッホーブルーイングによる実態調査
調査期間:2019年8月30日(金)〜9月9日(月)
調査方法:インターネット調査
調査対象:普段飲み会に参加している20歳以上の大学生
有効回答数:182人

※3 クラフトビール常飲者の実態調査
https://yohobrewing.com/news_release/クラフトビール常飲者の実態調査について/

参考 KIRIN’S Fact #1 クラフトビールとは
https://kirin.jp/facts/01/

Text:Satoko Miyahara