今、アニメ好きだけな人だけでなく、ファッション好きや音楽好きの女性からも熱狂的な支持を得ている、音楽原作の男性声優キャラによるラップバトルプロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』。2017年の企画始動からたった1年半で、週間ランキング1位のほか、コミカライズや多数の企業とのコラボなど……勢いが止まらない! そんな『ヒプマイ』の魅力は、いったいどこにあるのか⁉︎ 劇団雌猫協力のもと、ヒプマイファン4人の座談会を開催! 「好き」の理由を思い切り語ってもらいました。【ヒプノシスマイク座談会・前編】
座談会メンバーはこの4人!

<メンバー紹介>(左から)
●もえこさん(26歳)
推しキャラはイケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」の山田二郎。夢女子的な一面があり「一番付き合えそうな人」を推しにする傾向がある。その点で二郎は魅力的……なんだそう。
●さきのさん(28歳)
推しキャラはヨコハマ・ディビジョン「MAD TRIGGER CREW」の碧棺左馬刻。歴代、暗い過去を持つ男を推しにする傾向があり、左馬刻も生い立ちの暗さを知って気になるようになった。
●ふとんさん(28歳)
推しキャラはシンジュク・ディビジョン「麻天狼」の観音坂独歩。アンセムソングやチーム曲でのシャウトと、ソロ曲『チグリジア』のおしゃれな歌声のギャップにやられた。
●ミクさん(?歳)
推しキャラはシブヤ・ディビジョン「Fling Posse」の有栖川帝統。もともと、「ROCK IN ON JAPAN」などのフェスに行くタイプの音楽好きで、アニメ・漫画のことはあまり知らなかった。
YouTubeで、配信で…気軽に聴ける楽曲が人気の理由!
━━━今日はお集まりいただき、ありがとうございます。みなさんそれぞれアツいヒプマイファンということですが、そもそもどうしてヒプマイに興味を持ったんですか?

私は日本語ラップが好きだったんです。2015年ごろにテレビ番組の『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)をよく見ていて、出演しているアーティストのライブに行ったりもしていて。そんなある日、(山田一郎の声優をしている)木村昴さんがラップをしている動画をたまたま見て、「え、めっちゃラップ上手いじゃん!」と思って、そこから興味を持ちました。

私も、もともとアニメや漫画のことはまったく知らなくて。ただ音楽やヒップホップが好きで、夏フェスによく行っていたんです。そしたらある日友人に、「ラップが好きならこれ聞いてみなよ」とヒプマイのYouTubeの映像を教えてもらって。そこからですね。

YouTubeの存在は大きいですよね。フルでMVが置いてあるから気になったらすぐ見ることができるし、友達にも「これ見てみて!」って勧めやすい。あと、「私、今、声優がラップする二次元コンテンツにハマってるんだよ」って言うと「何それ⁉︎」って反応が返ってくるじゃないですか。だから結構、口コミで広がってる気はします。
●ヒプノシスマイク Division All Stars
「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」Music Video
https://youtu.be/SSvGPQNrtwQ

何より、楽曲が良いですよね。全員で歌うアンセムソングの第二弾が去年の4月に発表されたんですが、特にそれがすごくキャッチーで中毒性のある曲だったんです。もともとヒップホップ好きな人にも刺さるような感じで、そこから人気が一気に加速した気もします。

私みたいに、もともと二次元には詳しくないっていうヒプマイファンも多いんじゃないかなと思います。あと、男性ファンも!

ヒプマイのライブイベントでも、男性ファンはよく見かけますよね。曲が全部Apple Musicとかで配信されているのも、入りやすい理由じゃないでしょうか。他のアニメ作品のキャラソンって、アニメイト限定でCDを買わないと聴けない……みたいなものも多いので。

そういえば、アニメに詳しくない友だちがApple Musicでシャッフルで曲を聴いていたら、いきなり「♪僕に勝とうだなんて、めっ!だよ」って流れてきて「何これ⁉︎」ってびっくりしたって話してた(笑)。そういうきっかけでヒプマイを知る人も多いかもしれませんね。
━━━音楽好きにも広く支持されているゆえの人気なんですね。

音楽好きからすると、楽曲に関わってるアーティストさんがすごくしっかりしているんですよ。もともとヒップホップの世界で有名だったZeebraさんやラッパ我リヤさんのようなラップのプロの方から、オリエンタルラジオの藤森慎吾さんまで、幅広い方が楽曲を制作されていて。

「このキャラクターの個性を出して曲を作りましょう」っていう指針がはっきりしているから、曲もそれぞれ個性があって良いですよね。

前にヒプマイの楽曲制作に関わっているアーティストさんの記事を読んだことがあるんですが、みなさん「キャラクターをひとつの人格として、リスペクトして曲を作れるから良い!」とおっしゃっていて。だからこそ、オタクからヒップホップ好きまで、幅広い層に響いているんだと思います。
個性豊かな4つのディビジョン!あなたの好みは?
━━━ヒプマイは現在4つのディビジョン(チーム)があって、それぞれがラップバトルで領土争いをしている……というストーリーなんですよね。ここからはひとつひとつのディビジョンの魅力について伺いたいのですが……。

じゃあ、まずはディビジョンの一つ、シンジュクから。シンジュクの魅力は、3人の危ういバランスにあると思っています。


というと?

それぞれのディビジョンや人物にストーリーがあるんです。シンジュク・ディビジョンの場合、小学校からの幼馴染である独歩と(伊弉冉)一二三は昔からの繋がりがあるんですけど、もうひとりのメンバーの(神宮寺)寂雷先生は独歩の会社の取引先……っていう、微妙にビジネスな関係性があって。
━━━ディビジョンのメンバーは全員が幼馴染! 昔から仲良し! ってわけじゃないと。

そうそう。そんな人たちが、なんとなく成り行きでチーム組んじゃったみたいな危うさがあって、そこが魅力だと思ってます。

ちょっと宗教っぽさがあるような気もしますね。寂雷先生が神様で、他の2人が崇拝してるみたいな。

そうかもしれないです。独歩も一二三も、ちょっと病んでるところがあるんですよね。独歩くんは悲観主義者で、一二三くんはホストなんだけど女性恐怖症っていう(笑)。で、寂雷先生は奇人変人に興味があるお医者さんだから、そんな2人に興味があって見守ってる……みたいな図式です。
━━━寂雷先生を頂点にした三角形みたいなイメージでしょうか。ちなみに、ふとんさんが一番好きなキャラは独歩だそうですが、どんなところが魅力ですか?

そうですね。独歩って社会で磨耗しながら生きているキャラクターなので、そんな彼の様子に共感したり、守ってあげたい!と思ったりするファンが多いんじゃないかなと思っています。なんかその危うさがセクシーなんですよね。
━━━現実に疲れたオタクが感情移入しながらもセクシーさを感じるキャラ……! 確かに人気が出そうです。では、続いてヨコハマの魅力はなんですか?


そうですね、ヨコハマ・ディビジョンの3人は、それぞれ職業がヤクザと警官と元軍人なんですけど……。

なんかコワモテですよね、3人とも(笑)。

そう(笑)、一見すると怖いんですけど、でも実は「俺たち仲間だぜ」感がすごく強いチームなんです。3人とも社会に対する不満を持っているという点で共通していて、「この腐った世界をぶっ壊す!」みたいな仲間意識が強い。チームやソロ曲のリリックにも「俺たちは3人で一蓮托生だぜ!」みたいなフレーズとか、地元愛を歌ったようなものがあって。そこが魅力なんじゃないかと思っています。
━━━そういう関係性や性格っていうのは、みなさんそれぞれの曲の歌詞から読み取っているんでしょうか?

歌詞にも歌われていますし、あとドラマCDでキャラクターたちの会話や仲間になっていく過程が描かれていますね。ヨコハマに関しては、まだ明らかになっていない過去が一部あったりもするんですが……。

今後、明らかになるといいですよね。シンジュクはもう結構、それぞれの過去が明らかになっているので。
━━━では続いて、イケブクロ・ディビジョンの魅力は何でしょうか?


血の繋がった兄弟ってところですかね。家族ならではの安心感みたいなものを感じるチームです。イケブクロも、もうドラマCDやコミカライズで結成時のエピソードが明らかになっているんですが、もともと長男の一郎が昔有名なラッパーで、一時期ラップを辞めてたんだけど、弟2人が「俺たちもお兄ちゃんと一緒にラップがしたい!」と志願するという話で。
━━━お兄ちゃん、憧れの存在なんですね。

そうなんですよ。2人ともお兄ちゃんをすごく尊敬していて……そういうところを見ていると、家族っていいなあ……って思うんですよね。

すごくしみじみ言いますね(笑)。

(笑)。あ、あとイケブクロの特徴といえば、声優さんが3人とも結構前に出てきているところですね。ニコニコ生放送の番組を顔出しでやっていたりとか、声優さんとして表に立つ機会が多くて、また3人ともすごく真剣にラップをしているんです。そういうところも好きですね。
キャラを好きになると、声優さんも好きになる!
━━━キャラクターだけではなく、声優さん自身のことも好きになっていくと。

ヒプマイの声優さんたちって、若手の方が多いんですよ。寂雷先生役の速水奨さんは大ベテランですけど。なので、もともと声優さんのファンでヒプマイを知りましたという人よりも、ヒプマイを好きになって声優さんにも興味を持ちましたという人が多いと思います。

そんな声優さんたちが、ラップもどんどん上手くなっていくから感動しますよね。

アンセムソングのMVには、声優さんがラップをしている様子もがっつり映っているので、他のアニメ作品よりも声優さんとキャラクターの結びつきを強く感じる、というのはあるかもしれません。
●ヒプノシスマイク Division All Stars
「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-」
https://youtu.be/kJ-SE6dhjAg

一兄(一郎)のソロ曲の歌詞は、一兄の声を担当している声優の木村昴さんが好良瓶太郎という名前で作詞しているんですよ。そうすると、もう木村昴さんが一兄にしか見えなくなってくるんですよね……!
━━━みなさんすごい熱量ですね‼!!
次回は、シブヤ・ディビジョンの魅力と、お気に入りグッズや人生を変えるほどのヒプマイパワーに迫ります!
Text:ユッケ(劇団雌猫)