「非常食ってどれくらい買っておけばいいの?」「防災グッズっで何を揃えておけばいい?」いつか大きな災害が起きると言われても、よほど危機意識が高くない限り、十分な対策ができていないのが非常時の備え。家族で暮らしている人はまだしも、一人暮らしをしているZ世代できちんと備えられている人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、危機管理のプロに備蓄におすすめの食料品や災害時の情報収集の方法、バッグの中に入れておくといいアイテムなどについて詳しく教えていただきました。今まで備えるのが億劫だったという人こそ必見です。
Z世代の防災意識は?
そもそも、Z世代の防災についての意識ってどの程度? 周りのみんながどれくらい備えているのか気になる人も少なくないはず。実態を調査をするべくViViのInstagramでアンケートを実施! 一人暮らしや同棲・ルームシェアなど家族と同居していない人を対象に自宅に防災グッズや非常時の食料品の備えがあるのかどうかを聞いてみました。

1494人の回答結果は、Dの「どちらも備えていない」が圧倒的に多く、その他の回答の倍以上という結果に。やはり10・20代の防災意識は意識はあまり高くない模様。
今すぐ始められる防災その1
非常食ではなく好きなものを多めにストックする
災害時の食料=非常食と思いがちですが、国崎先生自身は少量しか購入していないそう。実際、思い立って非常食を買ってみたものの、ずっと防災バッグの中に入れていて、気づいたら期限が切れているなんて経験をしている人も多いのではないでしょうか? そんな人たちにおすすめするのが、普段から食べるものをストックしておくという方法です。

先生
自分なりの備え方があるので、「自分は非常食がいいんだ!」っていう方はそれで構わないのですが、いくら保存期間が長くて災害の備蓄に向いているとはいえ、忘れて無駄にしてしまってはもったいないですよね。
だから私は、無理して非常食を買い揃えなくても、普段から食べているものを多めに買っておけばいいという提案をしています。
常温で保存しておけるインスタント食品や缶詰、ドライフルーツやクッキーなど、その時の気分で食べたいものを多めにストックする、”ハッピー備蓄”をおすすめしています。
なくなりそうになったら補充を繰り返すことで常に新しいものを保管しておくことができるので消費期限を気にする手間も省けるうえ、災害時にも好きなものを食べることができるので、利点だらけです
ストックしておくべき食料品


先生
災害用の飲み物=水と思いがちですよね。
確かに水は必要ですが、必ずしも水だけを備えておく必要はありません。
我が家では、トマトジュースや豆乳、ジンジャエールなど家族の好きな飲み物を備えるようにしてから、これまで災害用に備えていた水の入った段ボールは邪魔に感じていたのに、それが自分の好きな飲み物になった途端、急に邪魔じゃなくなるという心理的な変化を実感しました。
また、常温で保存がきく食品の他に、日頃からフルーツやヨーグルト、シリアルや納豆、豆腐など、火や水を使わずに食べられる食材を常備しておくということもおすすめしています。
特に、皮を剥くだけですぐに食べられるフルーツは、水分もビタミンも繊維質もとれるので災害時に適している食べ物だと思っていて、我が家では一年中流通しているバナナやキウイのほか、そのシーズンの旬のものを365日欠かさないようにしています
今すぐ始められる防災その2
災害時の情報収集のために防災アプリをダウンロードしておく
災害時、重要なのが正確な情報を得ること。ニュースメディアやテレビ・ラジオ、SNSなどが一般的な情報収集手段ですが、それらに加えて今の時代、特におすすめなのが防災アプリなんだそう。
国崎先生オススメの防災アプリ


先生
未だに防災の世界では近所の人とのネットワークが重要と言われがちです。確かに共助は大事なんですが、今の若い世代の人に「日頃から地域の人と関わりましょう」というのは現実的ではないですよね。
私は今の時代、災害が起きてから繋がる方法があってもいいと思っています。
例えばMy SOSという救援アプリの場合、SOSボタンを押すとそのアプリを使用している近くの人が応答してくれる機能があります。
その他にも、災害情報をプッシュ機能でお知らせしてくれるYahoo!防災情報や、警視庁が作っている110番アプリ、近くの避難所を教えてくれる全国避難所ガイドなどもダウンロードしておくと便利ですね。
さらに、東京都防災アプリのような住んでいる地域の自治体のアプリもチェックしておきましょう。
特に東京都防災アプリは、必要な機能をほとんどカバーしているので東京に住んでいない方にもダウンロードをおすすめしているほど優秀なアプリです。
ただ、機能が充実しているアプリはとても役に立つ反面、全ての機能を把握しれていない可能性も。
避難所ガイドや救援を呼べるものなど、何かに特化しているアプリの方が緊急時にはアクセスしやすいこともあります。
無料なので3つか4つほどダウンロードしておくことをおすすめします
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今すぐ始められる防災その3
部屋の中を柔らかい素材のもので揃えてみる
家の中でできる防災の一つとして、部屋の中のものをなるべく尖ったものや重いもの、割れたり倒れてケガをするようなものは避け、柔らかい素材のものを選ぶようにするという方法もあるそう。


先生
我が家では、紙でできた掛け時計を使用しているんですが、他にも針と数字を壁に貼るものもありますよね。
他にも、絵画は額縁やガラスが重いのでウォールステッカーを飾っています。
花瓶もゴム製やアクリル製のものを選んだり、照明も和紙でできているものにするなど、新しいものを買うときに「ケガをしないような柔らかいものを選ぶ」ということを意識するだけでも家の中のケガのリスクがだいぶ軽減されると思います
今すぐ始められる防災その4
避難所へ行かないという選択肢も考えておく
自宅が安全ではなくなった際に避難する場合、真っ先に頭に浮かぶのが避難所ですが、実情を知っている国崎先生からすると特に単身の女性は、なるべく避難所へ行かないという選択肢を考えておいてほしいそう。避難所以外の選択肢というのは一体どんなものなのでしょうか?

先生
避難所は水や食料が不足していて、電気やガスも通っていなかったり魑魅魍魎としていてます。窃盗の不安や、女性が身の危険を感じることも少なくありません。
また、常に周囲の視線を感じて相当なストレスを感じる環境にあります。
単身者の利点は家族がいる人と違って一人で身軽に動けるところなので、真っ先に避難所へ行くことを考えず、勤めている会社が安全な場合は一時的に職場に避難させてもらったり、「徒歩でここまでは行けるから車で迎えにきて欲しい」と親戚や知人など身近な人を頼るなど、被災地に留まらずに安全な地域へ避難する方法を考えてみてください。
災害時、大抵の場合1〜2時間車を走らせば被災していない地域に行くことができます。
数千円で宿泊できるビジネスホテルなどもあらかじめ候補に入れておくのもおすすめです。
ホテルは、大浴場があるところやアメニティが充実しているところなど、自分の好きなホテルの目星をつけておくと良いです。
どうしても避難所に行かざるを得ない場合は、同じような状況の人がいたら話しかけて一緒にトイレに行くなど、一人で行動しないようにしましょう
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今すぐ始められる防災その5
バッグの中にも最低限の防災アイテムを常備
自宅にどれだけ防災グッズを備えていても、外出時に防災アイテムを持ち歩いていなければ意味がありません。閉じ込められてしまったり、すぐに自宅に戻れない場合に備えて、”最低限これだけは持っておいた方がいい”というアイテムとは一体何なんでしょうか? 国崎先生が実際に毎日持ち歩いているバッグの中身を教えていただきました。
危機管理のプロ・国崎先生のバッグの中身

・マイボトル・・・飲み終わったあとに給水することも可能
・ゼリー飲料・・・栄養があり水分補給ができるうえに、水や、カフェインを含むお茶やコーヒーと比べて利尿作用が低いので、トイレに行けない状況の時にも◎
・栄養補助食品・・・空腹が満たせるものを一つはカバンに入れておく(お菓子でも可)
・ヘッドランプ・・・登山用のコンパクトなもの。手が塞がらないので懐中電灯より便利
・モバイルバッテリー・・・二回以上フル充電できるものが良い
・カイロ・・・冬場は未開封のものをカバンに入れておくのがおすすめ
・携帯トイレ・・・手のひらサイズで厚さも数ミリのコンパクトなものが売っているので一つ入れておくと安心
・止血パッド・・・ケガをして血が出ても慌てないように、専門的な技術がなくても傷口に貼るだけで止血できるアイテム
※止血パッドを購入したい方はこちらから

先生
マイボトルやモバイルバッテリー、おやつなどは日頃から持ち歩いている人も多いでしょうし、ヘッドランプや携帯用トイレ、止血パッドも、とてもコンパクトなのでかさばりません。
普段の持ち物にほんの少しプラスするだけで災害時の備えになります
自分に負担をかけない方が防災は継続できる
国崎先生の提案する災害対策は大掛かりなものではなく、好きな食べ物をストックしてみたり、アプリをダウンロードしたり、日常生活の延長で無理なく行えるものばかり。これまでわざわざ非常用に買い揃えることに負担を感じていた人も、これを機に始めてみてはいかがでしょうか。