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実録!現役女子大生&ライター・佐々木チワワが見たリアルな“歌舞伎町”とは?

2022.02.24

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大人の歓楽街として知られる「歌舞伎町」の、ディープなスポットに足を踏み入れたことはある? 高校1年生から歌舞伎町に通い続けている佐々木チワワさんは現役女子大生ライター。同世代の子たちの間で増えている「ホス狂」や「ぴえん病」など……イマドキの実情を取材しているんだとか。そんな彼女が見た世界とは? 実体験も含めて聞いてみました!

PROFILE
現役女子大生ライター 佐々木チワワ 2000年生まれ。慶應義塾大学在学中。10代から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチをもとに「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』(扶桑社)が発売中。
@chiwawa_sasaki

“歌舞伎町”は居心地がいい

――チワワさんが歌舞伎町に足を踏み入れるようになったのは、いつごろ?

歌舞伎町に行くようになったのは高1のときですね。正月に親戚の家に家族で行くのがイヤすぎて、大晦日に女友達と家出をしたんです(笑)。ラブホ街をフラフラ歩くだけでも楽しかったし、気づいたら外国人とカラオケをしていたなんてことも。ナンパしてきた人にゴハンをおごってもらって、その後お持ち帰りされそうになったら逃げて……みたいなこともしていましたね。

私、高校時代からライターの仕事をしていたんですよ。「●●高校のチワワさん」と肩書付きで呼ばれることが多かったんだけど、歌舞伎町に行くと「ただの若い女の子」として扱われることに、居心地の良さを感じたんだと思います。

――そもそも歌舞伎町ってどんなエリア? どんなお店、モノがあるの?

歌舞伎町から一番近いのは、西武新宿線の西武新宿駅や、(東京メトロ)副都心線の東新宿駅。靖国通りに面した歌舞伎町入り口には、ドン・キホーテがあって、付近には大手チェーンの居酒屋がたくさんあります。

そして少し奥に行くとバーもたくさんあるんですけど、歌舞伎町のバーって世間一般の「夜景が見えて、お酒をゆっくり楽しめる」みたいなところじゃなくて。基本的に安いお酒の飲み放題で、飲んで歌って騒ぐ場所なんです。お店の種類もさまざまで、カウンターで男の人が接客する「ボーイズバー」とか、悪魔や侍とかいろんなコンセプトのインテリアや衣装で接客してくれる「コンカフェ(コンセプトカフェ)」がありますね。

歌舞伎町のセントラルロード中央には、TOHOシネマズ新宿があります。最近は、そこに集まっている若者は「トー横キッズ」とも呼ばれていますね。彼らは、ただ友達と話したいだけの子や、興味本位で行ってみた子、SNS用に自撮りをするために来た子……など、目的はさまざま。でも中には犯罪を犯してしまう子もいて、イメージがどんどん悪くなっているのが残念ですね。

――最近よく「ぴえん系女子」って言葉を聞くけど、いったいどんな子たちを指すの?

「ぴえん」って、一昔前に流行った「卍(まんじ)」とよく似ていると思っていて。「今日ぴえんに会った」(意味:今日メンヘラに会った)とか、「好きピに会えなくて、まじぴえんだった」(意味:好きな人に会えなくて悲しかった)とか、文脈によってさまざまな使われ方をしています。これを読んでいる人も、なんとなく雰囲気で使うこともあると思います。

そして「ぴえん系女子」は、ぴえんな(病んだ)言動をしてそうな女子を指します。俗に言うメンヘラに近いですね。リュックを背負って、地雷系のメイクをして、歌舞伎町でスト缶(ストロング缶)やエナジードリンクをストローでチューチューしながら、「推ししか勝たん」と言っているのがこのタイプです。

ただし一部のぴえん系女子には、病んでるわけじゃないけど「病んでる風」を演出してる「ファッションメンヘラ」っぽい子も。信じられない人もいるかと思いますが、彼女たちにとってリストカットすら、ファッションやSNS映えのひとつになっているんです。

最近では歌舞伎町以外にもこういう格好をした女の子が増えているので、ぴえん系女子の定義は広くなっていると思います。「ぴえん」はこうしたファッションや行動様式、発言のすべてをひっくるめたイメージですね。

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“ホストクラブ”という世界

――歌舞伎町というとホストクラブのイメージもありますが、チワワさんの体験談を教えて!

18歳になったらホストクラブに行こう」と思っていました。今もよく行きます(笑)。

昔、入店したばかりのホストに出会ってめちゃハマったことがあります。その人は、とにかく顔が好きで、昼間にデートをしてくれたりして、めっちゃ浮かれていたんです。

でもお店自体は、接客はよくないし、あまり楽しくなくて、ただ彼に会うためだけにお金を払っていましたね。ホストクラブは初回3000円で行けるところもあるし、2回目以降も安いと万円くらいで収まる。飲み放題の日もあるので時間いて万円とか。ラストまでいても万円ぐらいかな?

――とはいえ、学生には安くないお金ですよね?

そうですね。ちなみにお客さんにお店でお金を使ってもらうため、店の外での食事代やデート代はホストが負担することが多いんですよね。ホストの世界では「2割返し」と言われていて、もしも女の子が100万円をお店で使ったら、20万円はホスト側がタクシー代やアフターの食事代とかでお返ししてくれる。羽振りはいいし、お金のない同世代の男の子たちより、キラキラしているのは否めなかったです。

大学生になったばかりの頃って、「とりあえず彼氏がほしい」って言う子も多いですよね。別にその男の子が好きなわけじゃないけど「彼氏がいる」というステータスがほしいから、付き合ってみる……みたいな(苦笑)。

でも「とりあえず付き合って」みても、同級生だとデートは割り勘でファミレスとかじゃない? そんな恋をするなら、ホストに行ってお金を払って、お返しに高級ディナーをイケメンと食べに行きたいなと。

――ホストにハマっちゃうのはどんな子?

まずは、「これだけ彼がしてくれたから、私もお返ししなきゃ」と思う義理堅い子はハマる危険性が大アリ。

一昔前は、ホストとの疑似恋愛にハマっていく人も多かったけど、今はまたちょっと違うんです。

今って「ホストクラブで、めちゃめちゃ推しにお金をいっぱい使っちゃった!」みたいなツイートがバズるんですよ。推し活の延長ですよね。そして他の人がどれぐらい使ったかも、SNSでまるっと見えちゃう。これは「見せびらかし消費(誇示的消費)」と呼ばれているものです。

女の子自身も「自分はホストにハマれるだけのお金を稼げる=能力がある」と自負する風潮が一部ではあるので、見栄を張るために使っちゃう子もいるみたい。

ホストもホストで「お前ならこのシャンパンおろせるよね?」と煽ってくるから(苦笑)。人によっては「お前のこと好きだよ、大切な彼女だよ♡」って甘い言葉を投げかけられるよりも、「稼げるじゃん、お前なら。だからシャンパン入れてよ」と言われた方が、「自分は認めてもらえている」という気がするみたい。

でも「稼げるための秘密を教えます!」みたいなツイッターやインスタアカウントはかなり危険! キラキラしたアカウントだと思って見ていたら、スカウトマンに誘導する悪質なインフルエンサーもいるから注意が必要。

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――他にも注意することってある?

出会い系アプリにも要注意。よくあるのが、マッチングアプリでイケメンと出会ったら実はホストだった……というパターン。「このあと同伴してお店に行かない?」「初回3000円だから」って言われて強引にお店に連れて行かれたり、しばらくしてホストだって明かされて「でも好きになっちゃったから、彼に会ってもらうために店でお金を使わないと」ってハマっていく子をたくさん見てきた。

今は、ホストもSNSをやらなきゃ生き残れない時代。私もうっかりSNSで「病んでる。死にたい」とつぶやいたら、「うちのお店来ませんか?」と営業のDMが届いたことも(苦笑)。

――ホストでお金を使うのってどんな感覚なの?

楽しいときもあれば、その逆もしかり(笑)。万円のお会計で「高い!」と思うこともあれば、30万円で安いと思うことも。私がこれだけ使ったんだから、今度は●●君はアフターしてくれるはず、みたいな期待をしてお金を使うと、それが外れたときにもっとお金を出して取り返そうとしちゃう。ある意味、ギャンブルみたいな側面もありますね。

あと、最近は女性用風俗のキャストにハマる話もよく聞きますね。女性用風俗では、時間万円ちょっとで若いイケメンセラピストがマッサージをしてくれるのですが(もちろんHはナシ)、ホストへのハマり方とは違うんですよね。

ホストにハマるタイプは、その場でワイワイ盛り上がってパーッとお金を使いたい子。対して女性用風俗にハマるのは、どちらかというと「自分を受け入れてほしい」という承認欲求が強い子。若いイケメンが自分をマッサージしていて、もし彼が興奮していたら「私のことかわいいって思ってくれているんだな」と自分の魅力や女らしさを確かめているケースが多いですね。

またホストクラブと違って女性用風俗は、基本は1対1で会うから、ホストではガチ恋しない子がガチ恋する場合も。彼を束縛したくて他のお客さんからの予約が入らないように、ネットの掲示板であえて推しのセラピストの悪口を書くとか、泥沼化するパターンも耳にします。

――ホストや女性用風俗に行くためにパパ活をしている子もいるって聞くけど実際どうなの?

いますね。私も「パパ活しようと思うんだけど、どう思いますか?」と年下の子から相談されたこともあります。

ただやはりパパ活関連のトラブルは多いですよね。偽札を渡されたとか、「月20万円、払うよ」って言われて、最初はタダでエッチしたら、そのまま連絡が取れなくなったとか。あとは盗撮をされたり、お金を盗まれたなんて話もよく聞きます。

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お金を稼ぐために必要なこと

――パパ活についてチワワさんが思うことは?

人によっては、大学に入ると「経済格差」を目の当たりにすると思うんです。実家通いで親からいっぱいお小遣いをもらっている子もいれば、地方から出てきて奨学金でカツカツの生活をしている子もいる。そんな中では簡単に稼ぎたいと思ってしまうのも仕方ないかもしれないけど、パパ活をはじめる前によく考えてほしい。

パパ活や夜のお仕事って、自分の顔やスタイルの良さで他人から評価されたり、どれだけセクシーか(性的価値)を他人から値踏みされてしまうものです。

そしてそのモノサシって一度、自分の中に入り込むと、なかなか抜けない。さらに今度は自分も、そのモノサシで他人を見るようになってしまうんです。

以前パパ活をしている子が「電車でおじさんが隣に座ると不快! お金を取りたい!」って言っていて。その子は、常に自分が性的に価値があるかどうかを値踏みされつづけてきたから、今度は自分も「オジサン=お金を稼ぐために会う人」と考えるような価値観ができあがっちゃったんですよね。

当たり前だけど世の中には、自分がお金を払ってでもお話ししたいスゴい大人がたくさんいるわけじゃないですか。それなのに、そういう人たちと出会う前に、「オジサン=お金」という極端に狭い価値観のまま大人になっちゃうって、すごくもったいないことだと思うんです。

ごく少数ですが、パパ活でも、パパをひとりの人間として接して、話を聞き教養を深めて、いい人間関係を築いている人もいるんですよね。パパに対して、楽しい時間を提供して、その対価としてお金をもらうという関係性。

覚悟もなくて、努力もせずにただ「座っていればお金もらえるでしょ?」と信じている子には、「自分の若い時間に価値がある」なんて安易に思わない方が良いよ、それは減るだけの一時的な価値だよ〜って言いたいです。

――最後に読者へのメッセージをお願いします!

歌舞伎町は色々なニュースもあるけど、多様性のある街だと思うんです。大学院卒から、少年院上がりまで、肩書や属性を気にせずにワイワイお酒を飲める場所。恵まれた環境にいる大学生としか接していないと、どうしても「困窮している人に寄り添いたい」みたいな上から目線の発言をしがち(苦笑)。私は普段の大学生活では知り得ない価値観や色々な背景の人と出会ったことを、執筆や研究に活かしています。もし「ホストクラブに行きたい、でもこわい……」というときは、ぜひ私を誘ってくださいね(笑)。

INFORMATION
佐々木チワワ
『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』(扶桑社)
2021年12月22日発売
価格:902円(税込)

Text: Akemin