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【藤田ニコルインタビュー】コロナ感染で気づいた仕事への思い 連載「ニコ論」第12回 

2022.02.21

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こんにちは! 藤田ニコルです。この連載では、私が23年の人生で感じてきたこと、学んできたことを通じて、どうやって今の藤田ニコルが出来上がったのかを考えてみることになりました。あまり過去は振り返るタイプじゃないけど、良い機会をもらったから、思い出して話してみようかなって。私の経験が、みんなの仕事や勉強、友達付き合いの参考になったら嬉しいです。第12回目の今回は、改めて気づいた仕事への思いについて。

自宅療養をしていた
10日間で改めて気づいたこと

前回の最後に、「次回は炎上の対処について」と予告していたんだけど、今回は予定を変更。
というのも、みんなもう知っているかもしれないけど、新型コロナウイルスに感染しちゃって……。
約10日間の療養期間で学んだこと、感じたことがたくさんあったので、今回はそれについて話すね。

コロナの症状は人によって違いがあるみたいだけど、私の場合は最高で39度の熱が出て、全身の関節がものすごく痛くなって。
これまでに感じたことがないくらいの痛みで、「交通事故にあったんじゃない⁉」って思うぐらいの激痛だった。
でも、2日たったら、ウソみたいに熱も痛みもひいて。
ただ、その後もメンタル的にはしばらくつらかったなぁ。
むしろ、体調面よりも精神面のほうがずっとキツかったかもしれない

その一番の理由は、仕事をドタキャンしてしまったこと
この仕事を始めてから13年くらい、スケジュールに穴を開けたことなんて一度もなかったから。
私の場合、自分が現場に行かないと成り立たない仕事もたくさんあるし、休んだらみんなに迷惑をかけてしまう。
たとえば雑誌の撮影だったら、私だけじゃなくて、ヘアメイクさん、スタイリストさん、カメラマンさん、ライターさん、編集者さんという感じで、たくさんの人が撮影のためにスケジュールを調整してくれてる。
私が休めば、もう一度みんなのスケジュールを組み直さないといけない。それってすごく大変なこと。
だから、仕事をドタキャンするっていうのは、自分の中ではありえないことだったの。
もともと身体が丈夫で風邪をあまりひかないっていうのもあったけど、少しくらい体調が悪くても、仕事は休まないで気合いで乗り切ってたんだ。
(もちろん、これはコロナ前の話だよ。今は、体調が悪かったら絶対に休まないとダメ!)

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だから、コロナで仕事を休むことになっちゃって、もう罪悪感でいっぱいだった。
「かなり気を付けて感染対策していたのに、どうしてかかっちゃったんだろう」って落ち込んだし、「私のせいで周りの人が感染してたらどうしよう」とか考えると、つらくて仕方なくて……。

もうね、3時間おきにずっと泣いてたもん。
身体の水分が全部なくなるんじゃないかっていうぐらい泣きまくってた。

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オフにやりたかったことも
やってみたけど……

仕事で忙しい時は「休みが欲しいな~」とか「時間があったら、映画を見たりマンガの一気読みをしたい!」って思ってた。
だから体調が落ち着いて、でも自宅から出られない待機期間に「休んでいる間に、やりたいこと全部やっちゃおう」って思ったんだけど、いざやってみると、どれも全然楽しくないんだよね。
映画を見ても10分でギブアップ。マンガを開いても、一気読みどころか1冊も読み終えられない。
何をしていても、ずっとソワソワしている感じで、全然落ち着かなかったの。
SNSで他の人が「今日、〇〇の仕事でした~」ってアップしているのを見て、焦りがつのったり……。
「本当は休みじゃないのに休んでいる」って、全然楽しくないんだなって

それで、気づけば、プロデュースしているブランド「CALNAMUR」のPRをSNSでしてた(笑)。
ちょうど春夏物の売り出し時期だったから、SNSに新作の写真をアップしたりして。
映画やマンガより、仕事にかかわることをやっているほうが、ずっと落ち着けたの。
「せっかくの休みなんだから、のんびりしなよ」って周囲には呆れられたけど、私、つくづく仕事が好きなんだなって、あらためて感じたんだ。
休日が充実するのは、仕事があるからこそなのかもしれないね

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周りからの優しさで
一人っきりの辛さを乗り越えられた

「孤独」というつらさとの闘いもあったなぁ。
普通の風邪と違って、誰かに看病に来てもらうこともできないから、ずっと一人きりで……。
お母さんは、食事を作って玄関の前に置いていってくれたりしたんだけど、顔を合わせて話すこともできない。
1日中ひとりで部屋に閉じこもってると、どんどん落ち込んできちゃうんだよね。

このつらい療養期間を支えてくれたのが、お母さんや友達、そしてファンの人たちの励まし。
「#にこるんにはにこちゅうがいる」って、ハッシュタグつきのツイートをしてくれたファンの人たちがたくさんいて、思わずじーんとしちゃった。
こういうハッシュタグつきのツイートって誕生日だけかと思っていたんだけど、病気の時もあるんだね(笑)。
すごく元気をもらえたし、励ましのツイートを読んで、今度は嬉し涙が出たよ。
それに、ファンではない人からも「私はこんな症状でした」とか「つらいと思うけど頑張って」って、リプがきたり、みんなの優しさがすごく心にしみたな。

今もまだ嗅覚が戻ってなくて、食べものの味がぼんやりしていたりするけど、もう現場に復帰して、仕事できる楽しさを実感してるよ。

収録の時はマスクを外さざるを得ないこともあって、コロナの感染対策には人一倍気を使っていたし、しばらく友達とも遊んでいなかった。でも、感染してしまった。
「本当に誰でもかかるリスクがあるんだな」って痛感したよ。
さんざん自己嫌悪に陥った私がいうのも何だけど、今、感染してつらい思いをしている人は、あまり自分を責めないで、早く良くなるように療養に専念してほしいな

次回は、前回に引き続き、SNSとの向き合い方や、炎上への対処法について話すね。

次回更新は3月7日(月)お楽しみに!

 

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Text&Composition:Miho Otobe Photo:Mayuko Kobayashi Stylist:Hitomi Imamura Hair&Make:Rei Fukuoka(TRON)