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可愛すぎる男の娘!?ジェンダーレスアイドル『MM』の2人が感じた性の特別扱いに対する違和感

2022.05.30

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LGBTQなどあらゆるセクシュアリティが浸透し、個人の性自認を尊重する価値観としてジェンダーレス化の動きが目立ちはじめました。そこで今回は、“ジェンダーレスアイドル宣言”を掲げ活動するアイドルユニット『MM(メイメイ)』の、ぎんしゃむさんとぷうたんさんにインタビュー! 可愛すぎる2人のショットも盛り沢山でお届けします♡

上)ぷうたん 下)ぎんしゃむ

2人の原点は趣味ではじめたSNS

―今やInstagramのフォロワー数が10万人超えのお二人ですが、SNSをはじめた当初はどんな写真を載せていましたか?

ぎんしゃむSNSを使い始めたのは中学生の頃だったので、短髪だったし学ランを着て普通に男の子の格好で写真を投稿していました。

ぷうたん私も同じで、SNSに自分の歴史をすべて載せてきました。これこそまさにデジタルタトゥー。載せなきゃよかったって今になって思います。

ぎんしゃむ当時は自撮りを載せたら「ナルシスト」とか「自意識過剰」と言われていたので、周りの友だちで自撮りを載せている人はほぼいなかったです。だけど正直、自分はナルシストだったから普通に「自分は可愛い」と思っていたので(笑)。友達と繋がっているプライベートアカウントとは別にアカウントを作って自撮りを載せるようになりました。そのアカウントで本当に0からスタートをして、高一の頃には1万人くらいまでフォロワーが増えていきました。ある時そこから、一週間で7、8万人ぐらいまでぐっとフォロワーが増えた出来事があって。その当時、意図して髪を伸ばしていたわけじゃなかったんですが、ボブくらいの髪の長さだった時に、友達に撮ってもらった写真をSNSにアップしたところ、「女の子に見える」とバズったんです。その後、中国や韓国のメディアにも取り上げていただいて、それがSNSでさらに拡散されて……という感じで大バズりしたんです。

―でもそんなに話題になったら友達にバレたりはしなかった?

ぎんしゃむいや、普通にバレました(笑)。友達から「ツイート回ってきたで(笑)」みたいなことを言われて。だけど、それをきっかけに友達にもオープンにするようになりましたね。

―ぷうたんさんはどのような経緯で?

ぷうたん高校には女子高校生としてリボンとかをつけて通学していたんですけど、高3の時にその姿で「卒業しました!」っていう写真をSNSに載せたら、ぎんしゃむと同じように「これが本当に男の子?」と話題になって、その後、台湾や中国でも拡散されてバズって、また日本に逆輸入されてバズって……同じ写真が3回もバズったんです。その時にフォロワー数がぐんぐん増えていきました。

―女の子として写真を載せたのはその投稿がはじめて?

ぷうたんいえ、化粧をした自撮り写真は中学生の時から載せていました! でも中学生くらいの時って恥ずかしさよりも勢いが勝ったりするじゃないですか。それで投稿していたら、いつの間にか写真を載せることが習慣化してしまっていました。それに、当時はすでにジェンダーレスという考え方が世の中に浸透しつつあって、自分たちよりも年上の男の子が“ジェンダーレス男子”として普通に活動していたので、メイクをした写真を投稿することには、あまり抵抗を感じなかったです。

ぎんしゃむ

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―お二人とも当時バズった投稿が、自ら“男の子に見えない女の子”として発信するきっかけになったということ?

ぎんしゃむ実は、自分は「男の娘です」と発信したことって一度もないんです。海外のメディアに取り上げられた時にはじめて、“男の子に見えない女の子”、“女の子に見える男の子”という意味で「男の娘」というレッテルが貼られたので、自らというよりも世間が勝手にぎんしゃむをそのジャンルに確立させたという感じですね。

ぷうたん私は自ら発信しました。高二の頃「女の子になるために女の子の格好をしよう!」と決意したのですが、その時は、まだ見た目は男の子なのに気持ちは女の子という葛藤があったり、同じ境遇の人を見つけることができずに孤独を感じたりして、毎日泣いていた一番辛い時期で。
その当時もし同じ境遇の人を見つけることができたら、どんなに気持ちが楽だっただろうと思って、ある時ふと自分と同じような悩みで苦しんでいる人の力に少しでもなりたい、自分自身が誰かのレールになれたらいいなという思いから、辛い気持ちや自分は男の子だけど女の子として生きていることなどをSNSで赤裸々に発信するようになりました。

ぎんしゃむぷうたんって意外とナイーブだよね。

ぷうたんめちゃめちゃナイーブ。どちらかというとメンタルが弱い方なんですけど、自分のことを言われていても「あれって自分のことだったんだ!」って後から気づくパターンが多いから、ハッピーバカですね(笑)。

ぎんしゃむ天然でちょっと抜けている部分があって逆に良かったよね(笑)。

ぷうたん

アイドルデビューまでの軌跡

―それぞれ個別で注目されていたお二人がユニットを組んでアイドル活動をすることになったきっかけは?

ぎんしゃむ自分はもともとグループYouTuberをしていて、その活動休止をきっかけに個人の夢を叶えようと、昔から憧れだったアイドルを本気で目指すようになりました。そこで声をかけたのが仲良しだったアイドルの逸材・ぷうたん! ぷうたんとは中学生の頃にSNSで知り合ったのですが、当時はお互いに「なんか合わないかも」と思って疎遠になってしまって。その後、高校生のときに再会したらお互い性格も丸くなっていたからか意気投合。仲良しになりました。

―ぷうたんさんは「アイドルをやろう!」と誘われて、どう思いましたか?

ぷうたん実は高校を卒業したら就職しようと思っていたんです。「就職して安定したい」そう考えていた矢先、さっき話した高校卒業の投稿が大バズりして「このまま辞めるのはもったいなかも」と思うようになっていって。元々アイドルが好きだったし、誘ってくれたタイミングもちょうど良かったので、ぎんしゃむに「もう一回ラストチャンスかけてみるわ!」と言って、一緒に活動を始めることになりました。

―今日のお二人の様子から本当に仲の良さが伝わってくるのですが、喧嘩することはありますか?

ぷうたん最近はより仲が深まって喧嘩とかは一切しないんですけど、アイドルを始めたての頃は意見がぶつかることも多かったです。それこそ二人の考え方とか性格が真逆だから、お互いを知って理解しないと!という気持ちが常にあって、そこでバランスが取れて今の関係性が成り立っているのかなと最近は思います。

―人前に立つ仕事をしたいという夢はお二人とも昔からありましたか?

ぎんしゃむ自分はありましたね。ナルシストなので(笑)。冒頭からこのはじめ方はヤバい(笑)。だけど小さい時とか、人生に一度は自分が特別だと思った瞬間、皆さんもありませんでしたか? 自分は昔から自信があって、「自分は可愛い」「自分は特別だ」と思っていたから、人前に出る仕事は向いているなと思っていました。目立つことが好きだった訳ではないんですけど、やっぱり可愛いから必然的に目立っちゃって?(笑) 中学生の時には、すでに中二病を拗らせて自撮りもたくさん載せていたし、この道を進むしかないなと自然に思うようになりました。

ぷうたん私は幼稚園の年少くらいの時、まだ実家のテレビがブラウン管?の時代だったんですけど、「いつか自分はこの中に入るんだ」ってなぜか思っていたんです。自覚はしていなかったんですけど、多分その時から人前に立ちたいとか見られたい願望があったんだと思います。応援団長もやっていたし、もともと目立ちたがり屋だったのかもしれません。

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世間の反応と社会の変化

SNSで注目されはじめた当初と今とで、周りの反応に変化はありますか?

ぷうたん高校生の時とかは、周りの人に恵まれていたので、がやがやと何かを言われる機会はあまりなかったのですが、SNSでは自分のあり方を認めてくれない人が一定数はいました。そこで反骨精神というか色々な人に認めてもらいたいという気持ちが芽生えてきて、可愛くなる努力をするようになりました。その結果、当時は認めてくれなかった人が「可愛くなったね」と言ってくれるようになったりしたので、自分の努力が認められてよかったなと思います。

ぎんしゃむ自分も当初は、「きもい」と言ってくるアンチがいたとは思うんですけど、正直「まあそういう人もいるでしょ」くらいの気持ちで、全然気にしていなかったです。今はぎんしゃむというキャラが浸透してきたし、世の中的にも女男とか性差を主張する人の方が恥ずかしい風潮になりつつあるので、以前よりもアンチが減ってきたなという印象があります。

―社会の変化についてはどのように感じていますか?

ぷうたん以前よりは生きやすくなったかなと思います。それこそ病院で性別の欄に、LGBTQが入っていたり、LGBTフレンドリーを掲げる企業が増えたりしているので、少しずつ変わってきているなと感じています。

ぎんしゃむその LGBTフレンドリーというは、個人のアイデンティティをみんなで認めようみたいな取り組みなんですけど、何だろう……個人的には、特別扱いしている感じが違うんじゃない?と思っていて。例えば、オールジェンダートイレってあるじゃないですか、どんな性別の人でも使えるとされているけど、実際はLGBT専用みたいなトイレ。むしろそこに入ることって勇気がいるし、誰が使うんだろうと思っていて、世間が性の多様性を認めようと善かれと思ってやっていることが、逆効果になっているような気がするんです。
だから自分が世の中に求める最終形態は、個人の性自認を認める制度ができることです。区役所などに性自認の届け出を提出して証明書とかを貰えて「性自認は女性だから女子トイレに入ります」とか、そういうことができるようになればより生きやすい世の中になるんじゃないかなって。

ぷうたんあと思うのは、やっぱり男女の区別って、学生の時は当たり前だったじゃないですか。そういう今当たり前になっている根本的な部分がいつか変わればいいなと思います。“男は男らしく”とか“男の子は女の子が好きなのは当たり前”とか、そういった性別に焦点を置くのではなく、人柄とかその人の個性にもっと着目してほしい。学生時代ってそれじゃなくても思春期で悩みの多い時期だから、学校のあり方が変わるだけで悩みは確実に減るはず。その入り口としても、LGBTフレンドリーが世の中に浸透して後々制度に変化があるといいな。いつかはそうなる!と信じています。

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ファンとの繋がり。今後の目標について

―アイドル活動をはじめてから、ファンの方の声援がお二人により届きやすくなったと思うのですが、実際にどんな声が届いていますか?

ぎんしゃむ自分は人間味をSNSで全面に出していて、そういった親近感なのかな? そこが好きとよく言ってもらえます。とはいえ思ったことを悪気なく言ってしまう癖がなかなか直らなくて……。

ぷうたん前にぎんしゃむが、Instagramのストーリーズでアンチの人と直接対決みたいなことをよくやっていて、普通に「この人何やっているんだろう」と思ってました(笑)。もはやそれ目的で質問箱をやっていたレベルだよね(笑)。

ぎんしゃむそうそう(笑)。アンチコメントを受けて、ストーリーで大喧嘩を繰り広げて戦争みたいになったことがあって。それを見て「スッキリするアゲ↑」みたいな反応をくれるファンの方もいれば「尖りすぎでしょ」と指摘して下さる方もいて、事務所からも「MM(メイメイ)を心の支えにしてくれているファンもいるから、必要以上のことは言わなくてもいいんじゃない?」と注意されて。
アンチへの対応であれ誰かを傷つける可能性のある発言をするのは良くないなと思って、最近はより気をつけるようになりました。

ぷうたん偉いよっ!!

―最後に、MMのコンセプトとして、“性別のあり方”や“自分自身に関する悩みで苦しんでいる人”に寄り添う活動を掲げられていますが、今後その目標をどのように実現したいですか?

ぷうたん難しいですよね。だけど一番実現しようと頑張っているのは、等身大の自分達を知ってもらうことです。ありのままの姿を見せることで、ファンの方たちにとって親近感のある存在になれると思っていて。自分自身、過去に同じ境遇の人を見つけられずに辛い思いをしたので、アイドルとして活動している今、ありのままの自分の姿を発信して、自分と同じような悩みや別の悩みで苦しんでいる人の心の支えに少しでもなれたらいいなと思っています。

ぎんしゃむやっぱり自分自身が“ジェンダーレス文化”に助けられたと思っているので、次は誰かに、それを象徴する存在になりたいと思っています。自分が「やりたいことをやろう!」という気持ちになれたのは、その文化があったおかげだし、何か新しい一歩を踏み出すときって、前例があるのとないのとでは挑戦する時の壁の高さが全然違うじゃないですか。だからそういう「存在」って本当に大切。今後は歌詞やパフォーマンスを通して自分がそれを伝える存在になりたいです。

PROFILE

ぎんしゃむ2001年12月7日生まれ。大阪出身。見た目とは裏腹な毒舌キャラ。


ぷうたん
2002年3月18日生まれ。静岡県出身。美肌の秘訣はトマト(大)を1日2個食べること。

Photo: Kim YJu