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日本人初のchuu専属モデルを務めたAsakiが語るハードな韓国のモデル撮影の裏側

2022.05.27

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韓国の人気アパレルブランドchuuで日本人初の専属モデルを務め、圧倒的なスタイルと飾らない人柄から日本のみならず韓国にも多数のファンを持つAsakiさん。学生時代に韓国を舞台にモデルデビューを果たした彼女はどのようにしてその業界へ足を踏み入れたのか。またモデルとしての努力や苦悩は? 本連載では、韓国モデル業界の裏側から体型維持の方法、モデル視点でのコーデの組み方までをたっぷりと教えていただきます。記念すべき第一回は、「韓国でモデル活動を始めた経緯とその仕事内容」について。

普通の高校生がいきなり
chuuモデルとして韓国デビュー

chuuの服が好きでInstagramを毎日チェックしていたら、たまたま日本人のモデルを募集しますという投稿を見つけて。高校卒業のタイミングに何か新しいことをできたらいいな、くらいの気持ちで応募したんです。そしたら、すぐにDMがきて日本のchuuのシェアオフィスに呼ばれて、顔合わせみたいなものをさせていただきました。それで後日、届いたLINEに「おめでとうございます」という内容が書かれていたんです! こんなあっという間に、ただの高校生がモデルになれちゃうんだって、びっくりしました。最初の撮影は日本で行ったので、韓国のチームが来てくださったのですが、その撮影が始まる前に、実は衝撃的な話をされたんです。「今日良かったら次があるかもしれないけど、良くなかったらこれっきりだよ」って、これはヤバいなと(笑)。ただ、モデルのお仕事はそれまで一度もやったことがなかったので一生懸命やるのみ(笑)。

その撮影では、どうやら気に入っていただけたみたいで、次の撮影は韓国に呼んでもらえて、そこで契約をして、そのまま次の撮影地のタイへ行くことになりました。その撮影で一緒だったモデルさんがなんと、みんなもご存知のテリちゃんだったんです! 今思い返しても、ほんの1カ月ぐらいで人生がガラッと変わったなという感じの、いきなりの展開でした。

もともと目立ちたがり屋ではなかった

chuuの日本人モデルとして採用されたのは私1人でした。超緊張した初撮影は、その慣れていない感じが逆に良かったらしいです(笑)。当時chuuは少女感のあるテイストの写真が多かったから、「何もわからない!どうしよう!」という感じが合っていたんでしょうね(笑)。ただ、受かった途端、急に私にちゃんと務まるのか?っていう思いが強くなってきて。そもそも自分から何かに応募したりするタイプじゃなかったんです。だから家族も、「自分から行くなんて珍しいから頑張れ!」「どんどん行け行け!」と背中を押してくれました。不安もたくさんあるけど、それ以上にいい経験ができるんじゃないか、やるっきゃない!って感じでしたね。嬉しい気持ちと同じぐらい、やるぞ!という覚悟もしていました。

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日本で大学に通いながら
月5日は韓国でモデルのお仕事

大学に進学することのほうが先に決まっていたので、将来は、普通に大学を出て、就職して、結婚して……なんてことをぼんやりと考えていました。モデルというお仕事に憧れはあったのですが、それが昔からの夢とかではなくて。だから、本当に今ここにいることも信じられないです。想像すらしていませんでしたね。chuuとの契約はちょうどコロナまでの2年間でした。その2年間は、月に5日間ぐらい韓国に行って撮影をしていて、たまにタイやバリにも行くといった日々を送っていました。学業との両立は大変でしたが、やっぱりモデルを続けたい!という気持ちが一番にあって。カメラで撮られているときが、いい意味で頭を空っぽにできて、どんなに悩み事があっても忘れちゃうくらい楽しかったですね。

韓国の撮影はとにかく厳しくて超ストイック!

chuuの撮影は結構ハードで、四六時中撮られているんです。というのも、当時のchuuの撮影コンセプトが“友達と遊んでいるときの写真”みたいな感じだったので、ご飯を食べているときも、部屋でくつろいでいるときも、移動中以外は朝から夜まで、みっちり撮影を行なっていました。それが体力的には正直しんどくて、投げ出して帰りたいと思うこともあったのですが、韓国だからすぐには帰れないじゃないですか。「ああ、飛行機に乗らなきゃ家に帰れないんだなぁ」って(笑)。

アパレルブランドの専属モデルはスタッフと同じで特別扱いみたいなものはあまりないんですね。たまにベッドが人数分用意されていなくて、同じベッドで寝ることもあるくらいだったので、仕事が終わっても心は休まらず、よく一生懸命韓国語を聴き取ろうとする夢を見ていました(笑)。韓国語は大学で講義をとっていたくらいで、ハングルは読めるようになりましたが、全然ペラペラではないです。その場のノリと翻訳機を使ったりして、「オッケー、オッケー、ケンチャナヨー」みたいな感じ(笑)。コミュ力と根性は相当つきましたね。

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あとは撮影中、ポージングのことを結構厳しく注意されました。日本よりもスタッフさんの撮影イメージがしっかりとあって、「ここではこういうポージングをして」と細かく要求されることが多かったのですが、当時は素人すぎたこともありロボットみたいになってしまって。「いろんなサイトや雑誌を見て、自分でどんどんポーズを試して研究しなさい!」と怒られたりもして、ホテルの鏡の前で必死に練習をしていました。友達と写真を撮り合ったりすることもありましたね。こうすると綺麗に見えるとか、こうすると猫背になっちゃうとか、段々とベストな角度とかもわかってきて。今もまだまだ完璧じゃないんですけどね。

そしてもう一つ! 韓国ではスタッフの方から「太ったね」ってスパンッと、ストレートに言われます(笑)。ある意味ビジネスライクでいいのかもしれませんが、やっぱり身体のことに関しては傷つくこともあるから……。痩せなきゃとは思うんですけど、厳しいなぁと思っていました。
当時の韓国女子たちの憧れが“ベーグル女子”だったんです。今はもう使われていないかもしれないけど、ベイビーフェイスのグラマラスボディで“ベーグル”。それが女の子のなりたい理想像だったので、モデルにもそれが求められていましたね。

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ここだけの
韓国モデル裏バナシ♡

モデルとして仕事をすること自体、初めてだったのでお金のことはよく分からなかったのですが、お給料に関してはテリさんいわく、「いきなりのど素人にしては貰えている。ただ、ランジェリーなど露出がある撮影をしているわりには少ない」と言われていました(笑)。だから次の契約のときは交渉しなさいとアドバイスをもらうこともありました。テリさんとは今でも繋がっていて、私が事務所に入るかフリーのままでいるかで迷っていたときに連絡したら、すごく丁寧に返事をくれて。私にとってはお姉さんみたいな存在です。Instagramで、テリさんにいいね!をしてもらうと、この写真は本当に良かったんだぁって思ったり(笑)。頼りになる優しいお姉さんです。

また相部屋で過ごしていて気づいたんですが、韓国モデルさんたちはパックをとにかくよく使う! 移動中の飛行機の中でもパック。夜に私が何もしないでいたら、テリさんがパックをくださいました。乾燥は美肌の大敵。確かに韓国って日本よりも乾燥している気がしました。また、韓国ならではの“撮影現場あるある”といえば、お昼を食べるときに、みんなで床にあぐらをかいて座って、ご飯をつまむのが多いこと! コロナ前だったので、家族みたいに真ん中に料理を広げて、みんなで突っついて食べるスタイルはすごく新鮮でしたね。

整形については、気になる人も多いと思うんですが、最初に「勝手に整形はしないで」と言われました(笑)。でも、もし私がしたいと言ったら「全然いいよ」と言ってもらえる雰囲気でした。ここのお肉が気になるみたいな相談をすると、「韓国ではこういう方法があるよ」とchuuのスタッフが教えてくれたり。私は踏み出せはしなかったんですけど、日本よりハードルは低いのかなって感じました。

コロナでchuuとの契約が終了
日本でモデルとして再始動

chuuと契約更新しようと思っていたタイミングでコロナ禍に。毎月行っていた韓国にもコロナで行けなくなり、契約を終了することになりました。専属モデルをしていた時は、chuuが許可したものだけに出演できるという感じだったので、日本でのお仕事のつながりはほぼゼロ状態。契約終了と同時に外に放り出されちゃったという感じでした。当時は15万人くらいのフォロワーがいたInstagramも、chuuの管理下だったということで使えなくなってしまって、本当にただの大学生になっちゃいました(笑)。

でもそんな状況が不思議と半分嬉しくもあったんです。久しぶりにただの学生に戻れたのも気分が良くて、「この先どうしよう」と悩みながらも、とりあえず残りの学生生活の2年間は、フリーとしてInstagramでお仕事をいただきながらモデル活動していました。周りが大学4年生になって進路が決まってきて頃、このまま不安定なフリーのモデルでいいのだろうかと思っていたら、今の事務所から声を掛けいただいて、事務所に入ったからにはモデル一本で頑張るしかないと覚悟を決めました。就職という道もあったんですけど、今じゃなくてもいいかなと思って、本当にやりたいことを優先することにしました。家族も大学を出たんだから企業に就職しなさいという考えではなくて、今までや築いてきたモデルのキャリアの方がもったいないからとモデル業を後押ししてくれたんです。それがすごく励みになりました。

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PROFILE

あさき Asaki ファッションモデル。2017年、韓国の大人気ファッションブランド「chuu」の日本人初の専属モデルとなる。ブランドモデルとして圧倒的な人気を誇り、日本と韓国でファンが多数。韓国トレンドをMIXしたスタイルがチェックできるInstagramとYouTubeもフォロワーが急増中。

Photos: Ittetsu Matsuoka Styling: Rina Uchida Hair&Make-up: Yuki Takahashi Model: Asaki Text&Composition: Orie Nakamura