実力派俳優として、そして良き夫・父として知られる松山ケンイチさん。声優を務めたアニメ映画『プロメア』のこと、今大切にしたいと思っていることについて熱く語ってくれました
目の前で起こっていること以外は、基本いらないんです。
俳優の松山ケンイチさんが主人公の声を務めていることで話題のアニメ映画『プロメア』。アニメ好きなら知らない人はいない、『天元突破グレンラガン』の監督、今石洋之氏と脚本、中島かずき氏による、初の完全オリジナル劇場作品だ。
「物語は、新人消防隊員のガロが、突然変異で誕生した人種・バーニッシュによる火災から人類を救おうと奮闘する、というもの。ガロはひと言で言うと、熱血バカです。でも実はバランスのいい奴で、子供の部分も大人の部分も持ち合わせている。
だからバーニッシュ側の正義も受け入れようとするんですけど、現代はそういう許容量が小さくなっているのかなという印象もあるので、この作品で、そういうガロのバランスみたいなものを見てもらっても面白いんじゃないかと思います」
松山さん自身、年齢を重ねるにつれ肩の力が抜け、どんどんバランスが良くなっている印象があるが、一体どうしたらそんなふうになれるのだろう?
「いらない情報を捨てたんです。目の前で起こっていること以外は、基本いらないんですよ。
住んでいる範囲にあるもの、今ここにいる人、など以外は。たとえば“この国のこのメシ”のために、必死に働いてお金を貯めて、飛行機に何時間も乗って食べに行く……、そういうのに僕はもう興味がないんです」
余計なものを削ぎ落としていった結果、今、松山さんが『何とかしなくてはいけないな』と思うことは、子供のことと、『幸せみたいなものってどこにあるのか』ということを考えることなのだそう。
「何やかんや、人間いつ死ぬか分からないわけじゃないですか。そんな中、ただ子供を学校に通わせているだけでいいのか、もう少し一人で生きていけるようにしていかないといけないなとか、そんなことを考えながら今を生きています。
……何を言っているのか全く意味が分からないと思いますけど!(笑)」

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『プロメア』
高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の熱血新人隊員・ガロ(松山ケンイチ)と、火を操る人種〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオ(早乙女太一)。二人の熱き魂がぶつかり合った結末は……? 他に堺雅人、劇団☆新感線の俳優陣など、豪華声優陣が集結した完全オリジナル劇場アニメーション。5/24より全国ロードショー。
撮影/tAiki スタイリスト/五十嵐堂寿 ヘアメイク/勇見勝彦(THYMON Inc.) 取材・文/山本奈緒子