フォーマルなレストランに行ったとき、目上の人と食事をすることになったとき……。「これでマナーは合ってるの?」と不安で、食事を味わうことができなかった、という人は多いのでは? そこで、鬼のマナー講師として知られる平林都先生に「これさえ覚えておけば大丈夫」という基本のテーブルマナーを教えてもらいました。アナタも、そしてまわりも幸せになるマナー術をこの機会に是非、習得しましょう! 今回は服装とナプキンの使い方についてレクチャー。「残り少ないスープの飲み方に困ってしまう」「乾杯のマナーがわからない」「グラスにリップが付いてしまったら?」そんな疑問や不安を解決します!
カトラリーの使い方編はこちら!
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丁寧なつもりの所作が、実はNGマナーになっているかも!?
スープの飲み方編
✔︎ どちら側からすくってもOK
スプーンを手前から奥にすくうのがイギリス式、奥から手前にすくうのがフランス式。どちらが正解・不正解というわけではないので、あまり気にしなくてかまいません。
✔︎ “フーフー”するのはマナー違反
スープが熱いとき、フーフーと吹いて冷ますのはダメ。スープの上澄みは冷めていますから、その部分から先にすくって飲むようにしましょう。

✔︎ もう一方の手はひざに
スプーンを持っていないほうの手は、ひざの上に置くのがマナー。スプーンを口に運ぶとき、もう一方の手をそえる人がいますが、これはスプーンからスープがポタポタこぼれる絵を連想させるのでNGです。
✔︎ スープボールは持ち上げず、傾けて使う
スープが残り少なくなって、スプーンで上手くすくえなくなったとき。スープボールを手前に傾けてすくうと良いでしょう。そして飲み終わったら、スプーンは受け皿の上に置いてください。

パンを使ってお皿をピカピカにするのはやめましょう!
美味しいスープやメインディッシュのソースは、パンに吸わせて食べるのが一般的。でも、全て吸わせてお皿をピカピカにするのはNGです。猫が舐めたようで、感心できるものではございません。
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乾杯で大事なのは「気持ちは敬っている」と示すこと
ドリンクの飲み方編
✔︎ グラスは片手で持つ
グラスを両手で持つのがおしとやかで良いと思っている人もいますが、両手で持っていいのはカクテルグラスと赤ワインのグラスのみ。この2つ以外のドリンクは冷たい状態で味わうもの。両手で持つと温度が上がってしまうのでNGなのです。親指、人差し指、中指の3本の指だけで持ち、冷たい状態を保ちましょう。

✔︎ 乾杯のときのグラスの位置は?
乾杯のときにグラスとグラスをぶつけて音を鳴らすのは、グラスが割れる恐れもあるのでおすすめはできません。軽く持ち上げるだけにしましょう。持ち上げる高さですが、目上の人より少し低くなるよう意識して。ただ身長が高い人の場合、低く掲げるのは難しいので、そのときは相手と同じぐらいの高さに掲げて、目線を低く保ちましょう。大事なのは、「気持ちは敬っている」と示すことなのです。

✔︎ グラスについたリップは指で拭く!
グラスにリップがべったりついていると、同席者は食欲を失うもの。すぐに指で拭くようにしましょう。拭き方は、まず人差し指でグラスの内側を右から左に拭き、続いて親指でグラスの外側を左から右に拭く、というのがマナー。そして最後に、その指をナプキンで拭きましょう。いちいち拭くと食事のペースが遅れてしまうので、うっすらとしかついていない場合はそのままで構いません。

「乾杯」で飲むのは一口だけ
誰かがスピーチをしているとき、「グラスを置いてもいいの?」と迷った人は多いはず。スピーチ中は、ずっとグラスを持っておくのがマナーです。そして「乾杯」で目の高さに掲げた後は、一口だけ飲んですぐにグラスを置き、拍手をしましょう。ググッと思いっきり飲んではいけません!

平林 都 著ビジネス社会で成功する人は、必ず他人から好かれる人。商談も人事査定も決め手は人間関係。ビジネスの場は舞台。相手が望むものを演じることで「夢」を売る。就活にも役立つ「面接」戦略、社会人としての基本ルール、相手の心をつかむ「話し方」やいまさら聞けない食事マナー……。ビジネスにおいて最強の武器になる「接遇」という「人に好かれる技術」を具体例を交えて解説。
2022年4月21日発売
価格:1650円(税込)
Text:Naoko Yamamoto Illustration:Ayaka Suzawa