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Z世代は大変?SNSネイティブが周囲に惑わされず自分らしく生きていく方法(後編)

2022.07.29

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Z世代が、どんなふうに自分と向き合っていけばよいのか、アイドルでアクティビストの和田彩花さんと、高校在学中に多様な女性の生き方を発信する有志コミュニティ「Women’s Innovation」を立ち上げた大山友理さんにお話しいただいたこの対談。前編ではキャリアや結婚について盛り上がりましたが、後編ではコンプレックスとの向き合い方や自分らしさの見つけ方について話す。

美白神話に悩まされた時期がありました。(和田)

ーーSNS上の華やかな世界と自分とのギャップを感じたり、世間の価値観に囚われてしまう人も多いと思うのですが、おふたりはどうですか? 

大山 私はあまり流される方ではないと思います。SNSで好きなインフルエンサーさんを芋づる式にフォローしていくと雰囲気の似た人が集まってくるから、その結果自分の「好き」が確立してきますよね。そこから自分にしっくりくるものだけを取り入れていくと、周りの目とかを意識しないでいけるんじゃないかと思います。

和田 いいですね。

大山 一方で、SNSを見ているといろんな人がいるんだっていうことも日々感じます。実生活で自分に見えているものって狭かったんだ、世界はもっと大きいんだっていう気持ちが強まったと思います。

和田 自分の好きなものだけフォローして、そこだけを見ていると良くも悪くも狭くなっちゃうけど、その中でヴァリエーションを見つけるっていうのは大切ですよね。私は外見的なことで言うと、以前は「美白神話」に悩まされていましたね。社会一般に「美白がいい」っていう価値観が強くて、日焼け止めを塗ったり日傘を持ったりするのが当然とされているじゃないですか。でも私はもともと白くないので色白を求められることが心地よくなかった。生まれ持った肌とか髪の色のままで暮らしていくのが難しいな、と。

大山 確かにベースになる美の基準っていうのは狭いかも。

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正直、ファッション誌を見ていても自分の居場所がなくて。(和田)

ーー和田さんは女の子らしいファッションへの違和感というものもアイドル時代から感じられていたようですが。

和田 日本にもいろんなタイプの服が売っているように見えても、私にとってはどれも「女の子らしさ」という前提があってそこから派生しているだけという気がして。このインタビューで言うのもアレですけど(笑)、女性誌を見ていても自分の居場所がないなって常に感じていました。一番悩んでいた10代〜20代前半の頃は、ロールモデルにできる「女の子の像」のヴァリエーションが少ないと感じていましたね。

大山 その悩みからどうやって脱出したんですか?

和田 海外の雑誌のモデルやスナップの女の子たちが、そばかすもくまも隠さないナチュラルなスタイルで写っているのを見て「生まれ持ったままの自分でいいんだ」って受け入れられたような気持ちになりましたね。味方になってくれた感じ。私の場合は生まれ持ったものを肯定することが必要でしたし、清楚・純粋などに回収されないナチュラルな在り方を身につけることで自分を見つけられた気がします。それに、今私はフランスにいるんですがこれは西洋美術が好きでたまらないという気持ちもあり、「いつか自分はフランスに行く」という夢に支えられていたと思います。

大山 海外に味方を見つけたんですね。

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価値観を共有できる人は必ずどこかにいる。(和田)

ーー自分がありのままでいられる環境を見つけるのは解決策のひとつかもしれないですね。

和田 私はもともとアートが好きだったということもあって、ヨーロッパの方が過ごしやすいんです。それは私のたまたまの性格とか好みの問題であって、日本が合っている人もいると思うしどっちが素晴らしいとか優れているとかではないんですけど。例えば男女平等とかそういう政策面で個別にどちらかが優れているということはあると思うので、それはいい方を真似ていけばいいと思いますね。

大山 同意です。私の場合は最初にお話したように、今の会社(オイシックス・ラ・大地)に出会ったお陰で新しい選択肢を手に入れられて、価値観を共有できる場を発掘したという感覚が大きいかもしれないです。

和田 価値観を共有できる人はどこかに必ずいるっていうことですよね。だから周りを気にせず、自分の好きなものを着たり好きなことを話したりし続けていれば、それを聞いて面白いと言ってくれる人達が集まってくる。自分がこれいいよねって思うものを選んで、それを見て「いいね」って思ってくれる人が近くにいて、そのコミュニケーションが平和だったらそれでOK。もしそこに外野の意見が届いたとしても、もうほっとけばいいって思いますね(笑)。

大山 潔いですね!

和田 今でもくまやそばかすを隠さずに写真をアップすると、それが私の選択だとは認めてもらえなくて「自分に興味がないのはわかるけど、さすがにスキンケアしないのはどうかと思う。フェミニストだし、ビーガンになったのかな」なんて書き込まれたりするんですよ。でも正直言って、自分の美の基準の中で人に意見するのはすごく狭いなって思う。

大山 本当にそうですね。

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なんで好きな髪色にするだけでわがままって言われちゃうんだろう。(和田)

ーーその一方で、誰かから何か言われたわけではなくても、周囲からの見られ方を気にして好きな格好ができないということもありますよね。

和田 友人が私の爪を見て「ネイル可愛いね」って言ったんです。それで彼女の手を見たらネイルをしてなくて。彼女は「これはママの手だから」って言ったんだけど、私はその言葉を聞いたときになんだかちょっと悲しくなっちゃったんです。子供を持つと一人称が私という個人ではなく、ママになるのかといろいろ考えさせられました。

大山 私は学生時代、大人のところへ取材に行くときには肌を露出しすぎない服とか派手すぎない髪色とかを意識していましたね。信頼していただいて取材をしているということもあって、外見だけで生意気だと思われないように。私にとっては礼儀というかTPOのつもりだったんですが、今思えばそんなふうに考える必要もなかったのかなって思います。勝手に自分で役割を決めてバイヤスをかけていた気がしてきました。もうちょっと好きにしても良かったのかなって。

和田 若い女の子が好きなものを着ていたら年上の人にわがままに見られちゃうかもっていう感覚、私もわかります。私は実際グループで活動していたということもあって、自分の好きな髪色とかリップとか選んでいるだけで周りからわがままだって言われてきたのですが、「なんで好きな髪色にするだけでわがままって言われちゃうんだろう」って疑問でした。

大山 え、やっぱり実際にわがままだって思われちゃうんですね。難しいですね。

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みんな、就活って髪黒くしなきゃって思ってるんです。(大山)

ーーそういうことって就活にも当てはまりますよね。

和田 私自身は就活はしていないけれど、大学のキャリアプランの授業で「就活ではこういう髪型にしましょう」って提示されたんです。「え? マジ? 全員この髪型するの?」ってびっくりしました。

大山 私は就活といえば髪を黒くしてスーツを着ていくのがテンプレだと思っていたので、その点は疑っていなかったのですが、なるべくそれを短期間で終わらせようって思っていました。自分が鏡を見たときに「今日も髪も洋服も自分のお気に入りで過ごせた」って思いたくて、自分が受けたい会社に出会うまではギリギリまで髪を黒に戻したりはしませんでした。幸い4年の4月に内定をいただけて、2ヵ月くらいで黒髪から明るい色に戻したのですが、その時期人に会うとみんな髪を見て「就活終わったの?」って聞くんですよ。みんな、就活って髪黒くしなきゃいけないって思ってるんですよね。髪色なんて何だっていいじゃん!って思ってたんですけど。インターンの面接とかならいつもの髪色で好きな服着ていたりしてたのに、本面接となるとみんな黒髪にスーツになって。

和田 でも大山さん自身もそれを選んだんですよね。それって着ないといけないルールなんですか?

大山 暗黙のルールですね。怖いというか、生意気だと思われて採用されないかもっていう忖度です。私もパンテーンの「#就活をもっと自由に」の駅広告とかを見ていたけれど、影響されることなく結局髪色を暗くしたし、自由な服装で来てくださいって言われてもスーツで面接に行っちゃう。あとで、ああスーツじゃなくても良かったんだなって。

和田 待って、それ以前に「自由でいいですよ」って言われないと自由にしちゃいけないんですか? 驚きです(笑)。

大山 そうですよね。何でしょうね、この思い込み。そのもやもやを解決しないまま過ぎてしまいました。

和田 ViVi読者の皆さんもそういうことで悩んでいるのかな。

大山 ずっと自分のことばっかり話しちゃいました(笑)。読者の皆さんに伝えたいのは、私が大学3年のときに「20代はバラエティ」っていう言葉をいただいたんですが、20代はいろんな挑戦や失敗を繰り返しながら自分の好きを明確にする時期だっていうお話だったんです。つい正解を探しがちですが、そういう心持ちでもう少し楽に過ごしてもいいんだなって肩の力が抜けました。

和田 本当にそうですよ。

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もやもやする気持ちを持っていること自体が素晴らしい。(和田)

ーー若いうちは、悩んだり失敗をすることも、ある意味必要な過程なのかもしれないですね。

大山 心理学に「ネガティブケイパピリティ」という用語があって、不確実なものに耐える能力っていうような意味なんです。この年代だけじゃなくて何歳になっても人はある程度もやもやが溜まったままだから、それを抱えたままでいられることも大事だ、って。だからすぐに答えが見つからなくても、とりあえずちょっと選択肢を広げるための行動をしてみたりしながら「様子を見る」のもアリなんじゃないかなと思います。やりたいことはあるんだけど、自信がなくて踏み出せないという同世代の悩みも聞くのですが、そういうときってたいてい自分の一歩をすごく大きく感じているんですよね。そうなると自分でゼロから進もうとするのはしんどいから、例えば何か感度の高い人達が集まっているコミュニティに入って仲間を見つけるのとかもいいのかもしれません。

和田 めちゃくちゃわかります。20代でやりたいことの一歩を踏み出せないっていう声はすごく多い。そんなに大きく捉える必要ないじゃんって思うんですけど、本人は動けない。でもそういう人に私が言うのは、とにかくやってみないと分からないよっていうこと。結果がどうであっても、一歩踏み出すことそれ自体があなたの経験になるよってよく友達にも言ってます。

大山 外に向けて動くのが怖かったら、まずは自分が気になるトピックをひたすら検索して調べ続けるっていうのでもいいかも。その分野に詳しい人のSNSを追いかけているだけでも十分行動していることになると思います。

和田 あと私は、もやもやする気持ちを持っていること自体が素晴らしいと思うんです。生きてる中で「これちょっと違うな」っていうことに気づく力があるってことだから。そういう自分に気づいて大切にしてあげることも大事。私も10代後半から20代前半はもやもやの中にいるのがきつかったけれど、そこから抜け出すために読書をしたり考えたりしたことはいい経験になったと思う。だから、そのもやもや自体も経験にしてしまえばいいんじゃないかな。身近で手軽な経験だと思います。

大山 そうですね。そう考えると動く方法はいろいろある。いろんな形で一緒に迷いながら、20代の読者の皆さんとともに満足できる人生を歩いていけたらいいなと思います!

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PROFILE

アイドル 和田彩花1994年群馬県生まれ。2009年アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出、リーダーに就任。2019年アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、執筆や登壇、美術の発信も行う。現在はパリに留学中。
Instagram▶︎@ayaka.wada.official
Twitter▶︎@ayakawada

有志コミュニティ「Women’s Innovation 」代表
大山友理
2000年生まれ。2017年4月、高校3年生のときに有志コミュニティ「Women’s Innovation」を立ち上げ、全国各地に多様な女性のロールモデルを取材し発信。2022年に津田塾大学総合政策学部を卒業し、4月よりオイシックス・ラ・大地に入社。現在は経営企画本部新規事業開発準備室チームに所属。
Twitter▶︎@Yuri20009

前編はコチラ

Z世代の仕事、結婚観って?元アイドルと女性活躍アクティビストが語る女性のリアル(前編)

取材・文/吉野ユリ子