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大泉洋「僕は唯一の特技を仕事にした男」『ザ・マスクド・シンガー』シーズン2 インタビュー

2022.08.04

CMを見ると続きが読めます。CMを見ますか?

はい

マスクと個性的なコスチュームで正体を隠したシンガーたちが見事な歌声を披露する。果たして歌っているのは誰か……? その推測が楽し過ぎることから大人気を博しているAmazonプライム・ビデオの『ザ・マスクド・シンガー』。韓国、アメリカをはじめ世界中でヒットし、昨年遂に日本版が登場。司会を俳優の大泉洋さんが務めたことでも話題になりました。そして今年再び、『ザ・マスクド・シンガー』のシーズン2が放送されます! さらにスケールアップした番組の模様について、大泉洋さん自ら語ってくれました!

仕事といえどもマスクドシンガーは楽しい(笑)。

――シーズン1で司会のオファーが来たときは受けるべきか迷っていたけど、奥さんのススメで引き受けられたとのこと。シーズン1を見られたご家族や周りの反応はいかがでしたか?

単純に面白かった、という感じでしたかね。マスクの中の人が誰かを当てるのがとても楽しくて。あとは豪華だね、という感想もありました。ステージングもお金がかかっているのは分かるし、出てくるマスクドシンガーもすごい人たちばかりだし。やっぱり家族で楽しめる番組なので、みんな喜んで見ていました。

――シーズン2の製作が決まったときの心境はいかがでしたか?

僕は司会者ではありましたけど、僕自身も番組を楽しんでいたんですよね。なぜなら僕も本当に、マスクの中に誰が入っているのか全く分かりませんから、普通に推測して楽しめているといいますか。
たとえば僕は同じ音楽をテーマにしたNHK番組『SONGS』でも司会をやっているわけですけど、こちらの場合ですともう少し、お出になられるゲストのお話をいろいろと聞き出すという役割があるわけです。でも『ザ・マスクド・シンガー』の場合、僕も誰が入っているか知らないですから。もうちょっと気楽に楽しめちゃうんですよね。だからシーズン2が製作されると聞いたときは、「またあの楽しさを体感できるんだ」という喜びのほうが大きかったですね。仕事といえどもマスクドシンガーは楽しい(笑)。
あとやっぱり、パネリストがみんな楽しいじゃないですか。シーズン1ですとMIYAVIさんとかPerfumeとか水原希子さんとか。彼らとのトークも楽しかったので、とにかくずっと楽しかったんですよね。本当に、ショーを観に行ってるような感覚に近かったと思います。

――シーズン2だからこそ、司会の仕方を変えていこうと思った部分などはありましたか?

僕のほうで何かを変えようと思ったことはなかったんですけど、今思えば会場が変わっていましたからね。今回は、前回の決勝で使っていた大きな会場で最初からスタートしたので、セットも含めてスケールアップしていたんです。だから僕の登場とかもより派手になっていますね。
他にも、マスクドシンガーを当てるヒントの出し方にも新しい要素が入ってきていて。たとえばマスクド・アーティストという人が出てくるんですけど、その人は似顔絵を描いてくれるんですよ。そんな仕掛けも単純に面白かったりします。まあ番組を見ていただいたら、マスクド・アーティストが誰なのかは一目瞭然なんですけど(苦笑)。でもその人が参加することによって、一気に面白さがアップしましたね。

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――シーズン1のときは、もし自分がマスクドシンガーとして登場するなら『また会う日まで』を歌いたい、とおっしゃっていました。今回登場するならどういうコスチュームで何を歌いたいですか?

やっぱり司会として横で見ていると、歌いやすい格好、歌いにくい格好があるのが分かるんですね。だからなるたけ動きやすい格好で歌わないと自分の首を絞めるな、と思って。シーズン1で言うと、尾上右近さんのドラゴン3のマスク。ドラゴンが頭に3つ乗っているんですけど、あんなのになっちゃうと全然動けないんですよね(笑)。あと、那須川天心さんとの試合が大変話題になりましたけど、格闘家の武尊さんのウルフ。菅笠をかぶっていたので何も見えなかったらしくて。見えないって最悪じゃないですか。そう思うと、なるべく動きやすい、見えやすいマスクで挑みたいなと思いますね。

――『ザ・マスクド・シンガー』は、大泉さんもマスクの中のパフォーマーが誰か知らないまま司会をされているとのこと。今回、予想ってどれくらい当たりましたか?

今シーズンは正直全然分かりませんでした。シーズン1はたしかに、少し分かった人もいたんですよ。ものすごーく分かる方が一人いらっしゃったので()
でも今回はとにかく分からない、当たらない。だからシーズン1よりも圧倒的に、中の人を当てるのが楽しいと思います。それが、シーズン2の面白くなったところで一番分かりやすいところかもしれません。それでもパネリストの方たちはけっこう当ててくるから、すごいなあと思いましたけどね。

――今回の、大泉さんの推しのマスクドシンガーを教えていただけますか。

ヴィーナスとアンブレラは歌声に驚きましたね。あとヴィーナスはですね、ちょっと小悪魔的でしたね。審査のときとか、ふとした瞬間に僕を見てくるんですよ。あれ? 僕のこと好きなのかなって。いますよね、そういう勘違いをさせる方。まあ私、基本的にそういう勘違いが多いタイプではありますけど(笑)。
あとは単純にスパイダーは、僕が昔からファンだった人が入っていたのでびっくりしました。全然当たりませんでしたけど。だからマスクを取ってからのパフォーマンスは、本当に痺れましたね。

――大泉さんは多くの番組で司会をされていますが、とくに『ザ・マスクド・シンガー』の司会で難しいところって何でしょうか?

もともとマスクドシンガーたちのパフォーマンスは素晴らしいので、僕にできることは、マスクドシンガーたちとのやり取り、そしてパネリストとのやり取りをどれだけ面白いものにできるか、というところだと思うんですね。そこはやってみないと分からないところでもあるんですけど、常に僕の勝負になるのかなあと思いますね。

――『紅白歌合戦』や『SONGS』の司会とはまた違うんでしょうか?

それぞれ違いますね。紅白の場合はそもそも、自分のやりたいことが何かできるような尺がないですから(笑)。秒の世界なので、いかに時間を押さないようにお話を聞いて進めていくかが大事ですし、『SONGS』の場合だとアーティストのお話をしっかり引き出して聞いていくことが大事ですし。そう思うと、『ザ・マスクド・シンガー』が一番バラエティ度が高いといいますか。誰が歌っているか分からない中で面白いやり取りをしていかなきゃならないので、バラエティ的な楽しさもあるけど難しさもありますよね。情報が少ない中で、何かしら面白いやり取りを見つけていかなければならないですから。

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喋る、人を笑わせる、それしか興味のない人間

――この番組は、本業が歌ではない人も多数登場し、見事な歌声を披露しています。大泉さんが本業以外で何かパフォーマンスするなら、才能を発揮できると思うことって何でしょうか?

本当に私はこの仕事をしていなかったら今頃何してたんだろうかと思うぐらい、世の中を見まわしてみてもできる仕事というのがないんですよ。唯一得意なことを仕事にした男って感じですね。喋る、人を笑わせる、という。それしか興味のない人間でしたから。それを仕事にしちゃっているので、本当にいよいよ他の選択肢はないんですけど。まあ、好きなのは料理ぐらい。それも私の場合、ジワジワとネタになってきちゃっているぐらいですからね。なぜか私が料理するだけで人々が笑っちゃうところもあるので。
だけど私も歌うのは好きですから。最近仕事で歌うことは増えていますよね。CMでもちょっと歌わせてもらったり、『SONGS』でも山崎育三郎さんが出るとなぜか私も一緒に歌ったり。紅白歌合戦でも一緒に歌っちゃいましたけど。そんなふうに歌の仕事もたまにありますけど、基本はこれ以外に取り柄はない人間です。

――大泉さんの歌の上手さは有名ですけど、音楽を聴くのはお好きなんでしょうか? 日常的に音楽から影響を受けられているんですか?

僕はおそらく、普通の人の中では音楽を聴かないほうだと思いますね。歌が僕のお芝居に影響したということも、ないなあ。ただたまにランニングなんかしますけど、そういうときは絶対に音楽を聴きますし、車の中でも聴きますね。車って乗っていて楽しいから、音楽でさらに気分をアゲるというのは日常的にありますね。

――どういう音楽を聴かれるんですか?

僕は、圧倒的に国内の音楽ですね。洋楽っていうのはあんまり聴かないかな。あと、友人に小曾根真さんという世界的に有名なジャズピアニストの方がいらっしゃって、車で小曽根さんのジャズを聴くのも心が落ち着くので好きですね。……何なんでしょうね、ジャズの魅力って。おそらくジャズって、セッションと言うけど、どう展開していくのか決まっていない気がするんですよね。それが何か僕の頭を刺激するのか。
よく小曽根さんのライブに行くんですけど、演奏されるのは基本、僕なんぞが知らない曲なわけです。ほぼ全部、初めて聴く曲。アーティストのライブを観に行ったとき、知らない曲が続くとちょっと眠くなるじゃないですか。これ分かんないもんなって。ところが何でか知らないけど、ジャズって聴けちゃう。それは多分、スリルだからかなあと思うんですよね。だから小曽根さんのジャズは、ついつい聴いちゃうし、何度聴いても飽きないですね。

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演じたいのではなく、楽しませたい

――大泉さんの、お仕事をするうえでの原動力って何なのでしょう?

僕はやっぱり、単純に人を楽しませたいんですね。何でか分からないけど子供の頃からそうでしたね。もっと言うと、一番は笑わせたいんだと思います。子供の頃からとにかく人を笑わせたい。もちろん役者のお仕事は、作品によっては「笑わせたい」だけではなくて、他にもいろいろありますけど。……ざっくり言えば、人に楽しんでほしいんだろうと思います。面白かったと言ってもらいたいんだと思います。
ですから僕の場合は、ある意味、演じたくてやっているわけではないのかもしれません。たとえば誰もお客の入らない舞台に出るかと言われたら出ないですし、映画は撮りますけどこの映画は公開されませんと言われたら、お金をもらってもやらないでしょうし。そこに見てくれる人がいて、その人たちを楽しませたいからやっているんでしょうね。僕の原動力はそこしかないと思います。

――じゃあ作品の評価って気にされるんでしょうか?

そうですね、結果はそういうことになりますね。今の時代ですとネットで感想を見られるのでチェックしますし、僕の場合はファンの方が直接僕にメールを送れるシステムもありますし、僕のまわりの人たちの感想なども嬉しいですし。人々がどういうふうに受け止めてくれたのかなということは、僕にとってはすごい大事なことかもしれないですね。

――でもネガティブなコメントがあると落ち込んだりしませんか?

もちろん認めてもらえたら嬉しいし、認めてもらえなければ悔しいし。ただ人々の評価がある一方で、ある程度自分でも作品の出来不出来っていうのは分かりますから。僕がある程度いい作品だと思うものが理解してもらえなかった……、それはしょうがないかなと思いますね。

――あまり一喜一憂はし過ぎないのですね。

そうですね、とくに今はネットの時代なので、極端な誹謗中傷みたいなものは全く相手にしていないですね。見ないということはないけど、見ても僕は全然気にしないです。
僕は、それはそれで笑えるといいますか。ひどすぎるのは相手にしないんですけど、厳しいけど面白い指摘はよく笑っちゃいますね。昔、『SONGS』に沖縄出身のアーティストのBEGINが出てくれたんですよ。そのときなぜか、BEGINが沖縄に行くんじゃなくて僕が沖縄に行って。しかも僕が沖縄の居酒屋で、『島人ぬ宝』を歌ったという。そしたらネット上に「お前の『島人ぬ宝』はどうでもいいんだよ、何でBEGINに歌わせないんだよ」という文句が溢れ返ったんですけど、私もその通りだと思って、見て笑っちゃいましたね。そんなふうに、もっともな書き込みはわりと楽しめちゃうところがあります。

――ネットコメントと理想的な付き合い方されているんですね。今日はいろいろとお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

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大泉 洋
197343日北海道出身。俳優、声優、司会として幅広く活躍中。12月に主演映画『月の満ち欠け』が公開予定。また『SONGS』(NHK総合)の司会の他、2020年から2年連続で『NHK紅白歌合戦』の司会も努めている。また『1×8いこうよ!』(札幌テレビ放送)、『おにぎりあたためますか』(北海道テレビ)など、地元・北海道の番組にも多数レギュラー出演中。

『ザ・マスクド・シンガー』シーズン2
昨年話題となった新感覚音楽バラエティ番組のシーズン2が遂に始動! 今回もマスクをかぶり正体を隠したパフォーマーたちが、見事な歌声とパフォーマンスを披露します。シーズン1ではモデルで歌手、女優の土屋アンナさんが覇者となりましたが、シーズン2で勝利するのは誰か!?
84よりPrime Videoにて独占配信スタート。

Camera:Tohru Daimon
Styling:Kyu(Yolken)
Hair&Make-up:Yoshito SHiraishi(ima.)
Interview&Text:Naoko Yamamoto