実はめちゃくちゃ気になるけど、人には聞けないことってありますよね……。例えば、「セルフプレジャー」に関することは、聞くのも話すのも恥ずかしい。もしかして、気持ちいいと思っているのはわたしだけ? やりすぎると体によくないってホント?……など、疑問は尽きない! そこで、今回は性のプロフェッショナルで、YouTubeでも人気の女医・富永喜代先生に「セルフプレジャー」について気になることを、こっそり聞いてみました。正しく行えば、リラックス効果も期待できて、むしろ健康的になる可能性もあるんだとか!?

富永ペインクリニック院長 富永喜代先生 富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。全国から患者が集まり、のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人以上のセックスの悩みをオンライン診断する。
YouTube:女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室
著書:『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)
読者100人に聞いた!
\ セルフプレジャー事情 /
Q. ひとりHなんて恥ずかしい……
罪悪感を感じる

半数の人が「恥ずかしいこと」「罪悪感を感じる」と回答。
“他の子たちも自分と同じようにしているのかな……?”
“ひとりHをする彼女のことを、彼氏はどう思うんだろう?”
など、まわりの意見を気にする声が多く見られました。
Q. ひとりHをしたことはありますか?

約8割の人がひとりHの経験ありと回答。
“中に指を入れたことはないけど、クリトリスを触ったことはあります”というソフトな意見から、“ひとりHをし過ぎて、以前より感じにくくなっている気がする……”という意見まで!
CHAPTER❶
セルフプレジャーのルール
「何歳になったら始めてよい」
「何歳まではダメ」
という決まりもルールもありません。
何歳からセルフプレジャーをしてもいいし、1日に何度しても大丈夫です。
ただセルフプレジャーをするときは、清潔を心がけることが大切です。手や指は洗う、グッズはキレイにお手入れしましょう。
異物を挿入するような危ないセルフプレジャーは厳禁!
思わぬ事故に繋がることも。
昔、救急外来に勤務していたときに、「シャンプーのボトルが腟から抜けなくなった」という方がいらしたこともありました。また硬い異物で、長時間クリトリスを刺激していると、通常の性行為で感じづらくなることもあります。
「指で触っていると、デリケートゾーンが黒ずむのでは?」
「アソコが黒いのは遊んでいると思われるんじゃないか?」という話も聞きます。
結論から言えば、デリケートゾーンの黒ずみは遊んでいる証拠ではありません。色素沈着は、「摩擦」と「女性ホルモンの低下」の2つが主な原因だと言われています。
「女性ホルモンの低下」は中高年以降の話なのでまだ皆さんには遠い話かもしれませんが、「摩擦」に関しては、今から気をつけても早すぎることはありません。布面積が小さい下着をはいたり、カミソリでアンダーヘアを剃ることでデリケートゾーンに摩擦が起き、場合によっては、黒ずみの原因になる可能性もあります。
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CHAPTER❷
気持ちよさの発見
私の病院の「性交痛外来」には、“イケない”というお悩みを抱えた成人女性も多く訪れます。中でも多いのが「中イキできない」という話です。「中イキができたほうがいい」というイメージを持たれている方が多いようなのですが、実はそれ、男性が気持ちよくなりたいがために作られた「神話」のようなものなんです。どこを気持ちいいと感じるかは個人差も大きいんです。だから私は、「クリトリスでイケたらそれでいい」と伝えています。それよりも、気持ちがいいときに「気持ちがいい」と相手に伝えられることのほうが大切です。
自分の気持ちいいところがどこなのかは、セルフプレジャーをしているとわかってくる部分もたくさんありますから、気持ちよさに繋がるとも言えます。
パートナーがオルガズムに導いてくれる、つまり他人が気持ちよくしてくれるという幻想を捨てることも大切です。
また女性は、周期によってホルモンバランスが変化して、セックスでの感じ方も変わります。若いときはクリトリスをはじめとする性感帯も敏感なので、愛撫で痛みを覚えることもあるでしょう。その場合も、すぐに「痛い」と伝えることが大切です。いい経験を積み重ねてください。
CHAPTER❸
デリケートゾーンを見て
デリケートゾーンを見てはダメ、触ってはいけない!と言われて育ってきた女性も昔は大勢いました。もしかしたら、この記事を読んでいる方のご両親の中には、まだそんな考えを持っている方もいるかもしれませんね。
しかし、腟をはじめとする女性器は妊娠や出産といった命に関わることの「核」となる部分です。ここをパートナーなど他人には見られているのに、自分ではきちんと見たことがない、というのはちょっと変だと思いませんか?
健康状態も変化も、デリケートゾーンの見た目に表れます。
健康なときは顔色がよかったり、寝不足なら目の下にクマができるように、デリケートゾーンにも変化が表れるのです。そのため常日頃、丁寧に観察をして、健康な状態を把握しておくことが大切なのです。
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CHAPTER❹
グッズの選び方
今は女性向けのグッズもたくさん販売されていますが、まずは自分が使いやすいと思うデザインを手にとってみればOKです。
またご家族と同居されている方だと、なかなかグッズを持てない人もいるかもしれませんが、「万一、他の人に見られてもストレスにならないもの」を探してみるのもいいでしょう。浴室で使えるものや、コンパクトサイズのものなど……様々なものがあるので、まずはどんなものがあるのか検索してみてください。
ただし、グッズを使う際には、必ず説明書にしたがってこまめにお手入れをして、清潔に保つことを忘れないでくださいね。
CHAPTER❺
ストレス解消&癒し効果
女性にとってセルフプレジャーは、快楽を得るほかストレス解消の側面も大きいものです。
これは、少し専門的な話になりますが、マスターベーションでオルガズムを得ると、脳からは大量の「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。このオキシトシンによって不安な気持ちが低下し、緊張が緩和され、ストレス解消に直結します。さらにオキシトシンはセロトニンの分泌を促します。このセロトニンの働きによって、眠気と覚醒のリズムを整えるメラトニンも分泌されるのです。
また、βエンドルフィンという神経伝達物質も分泌されます。βエンドルフィンには、鎮痛鎮静作用があり、その鎮静作用はモルヒネの6.5倍というのだから驚きです。βエンドルフィンも眠りに誘うには非常に効果的なものです。

出典元:『女医が教える性のトリセツ』
つまり寝る前にセルフプレジャーをすることで、ぐっすり眠れる、リラックス効果も期待できるというわけです。このことから私は、「セルフプレジャー健康法」と呼んでいます。
セルフプレジャーをすることは「恥ずかしいこと」とネガティブなイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、自分で自分を癒してあげることができる行為です。罪悪感を抱く必要はまったくありません! 自分の心と身体を満たしてあげるためにも積極的に行ってみて。

『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)
2021年2月25日発売
価格:1430円(税込)
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Text: Akemin