現在公開中の映画『ONE PIECE FILM RED』にゲスト出演している俳優の山田裕貴さん。7歳から熱狂的なファンだという『ONE PIECE』愛は、語り出したら止まらず……!
ルフィみたいに“にいっ”と笑って人生を終えるのが夢
――今作で山田さんはゲストとして、クラゲ海賊団の船長・エボシの声を務めています。もともと『ONE PIECE』の大ファンとのこと。出演が決まったときの気持ちを教えてください。
「いやもう言葉にならないですよ。7歳で『ONE PIECE』に出会ってから、本当に僕の人生、一つ一つ主人公のルフィと重ねながら乗り越えてきたので。野球で一度夢破れて“俺はもう一生勝てない”と思ったときも、俳優になるなんて無理だろうなあと思ったときも、愛知から上京して間もない頃、“俺って一人だよなあ”と孤独を感じたときも、常にルフィの言葉を思い出して一つずつ頑張ってきたんです。今回は少ない出番ですけど、ご褒美をいただいた気持ち。この場で伝えようとしたら多すぎて伝えきれないくらい、いろんな思いが溢れています」
――そんなに大好きな作品に出演してしまって、燃え尽きたりしていませんか? 大丈夫ですか?
「これがゴールじゃないですから。作品の中でルフィが“わりぃ おれ死んだ”と言って、全く後悔のない顔で“にいっ”と笑うシーンがあるんです。僕もおじいちゃんになったときに、こう言って人生を終えるのが夢なんです。だからいつも、何ならこれで終わってもいいというぐらい一つ一つ燃え尽くしています」
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――ルフィは「海賊王になる」と言っていますが、山田さんは何王になるのが目標でしょうか?
「僕は18歳の頃から“俳優王になる”と言っているんですけど、ルフィの言う海賊王というのは、決して強いヤツという意味じゃないんですよ。ルフィは“支配なんかしねェよ この海で一番自由な奴が海賊王だ!!!”と言っていて。それまでの僕は何も考えず、ただ成り上がりたいと思っていたんですけど、それじゃダメだと気づいて。そうしたらあるとき、僕の誕生日に番組内で明石家さんまさんが、こんなお祝いメッセージをくださったんです。“俺もお笑い王になると言っていたけど、今は人間王になりたいと思っている”と。それを聞いて僕は、俳優って一番人間を知っていて、許せて、愛せていないとダメだと気づいたんです。だって、演じているキャラクターに対して“こんなヤツいねぇよ”と思ったら、もう自由ではないじゃないですか。だから僕はどんな人間も否定しないし、肯定すらしないでおこうと思った。僕の言う“俳優王”の本当の意味は、そこにあるんです」
――それは今作のメッセージとも通ずるものがありますね。
「まさにそうです。今回登場するウタという少女は、自分の信じているものを信じすぎて人を否定するようになるんですけど、これって今の世の中へ向けた強烈なメッセージだと思っていて。でもルフィは何も否定しないんですよ。全部受け止めようとしている。僕はそんなルフィみたいな男になりたいと思います!」

ジャケット¥105600、パンツ¥77000/ヨウジヤマモト プレスルーム その他/スタイリスト私物 ●商品情報はViVi2022年10月号のものです。

1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年、俳優デビュー。高い演技力で着実に実績を積み、今ではその姿を見ない日がないほど引っ張りだこの俳優に。現在、NHK朝ドラ『ちむどんどん』で、石川博夫役を好演している。また10月には出演映画『耳をすませば』が公開予定。23年大河ドラマ『どうする家康』への出演も決定している。
Photo:Yuzo Touge Styiling:Akiyoshi Morita Hair&Make-up:Junko Kobayashi Composition&Text:Naoko Yamamoto