イケメン

【高杉真宙インタビュー】人生は蟻地獄のよう。崩れても崩れても明日には直っていると信じて生きていくことが重要

2022.10.20

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13歳で俳優デビュー、早くからその実力を認められ様々な作品で活躍してきた高杉真宙さん。今年はバラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』内の『ゴチになります!23』コーナーにレギュラー出演するようになり、意外なポンコツぶりが判明! 「イケメンなだけじゃなく面白い」と、ますます注目度が高まっています。その高杉さん主演の映画『いつも、いつか……いつまでも。』が1014より公開中。これまであまり見せてこなかった、色気ある大人の男を演じています。現在26歳。仕事の幅も、演じる役柄もどんどん変わりつつある今。映画のお話とともに、変わることに対する思いを伺いました。

――高杉さんが演じられている医師の俊英は、あまり感情を見せないキャラクター。それが関水渚さん演じる亜子という女性と出会い、だんだんと変わっていきます。俊英の変化を演じるのは難しかったですか?

とくに意識したことはなくて。物語の最初に、職場の看護師さんたちから「あの人はロボットみたいだ」と言われている描写もあったので、そこまで意識して感情のなさを見せる必要はないかな、と思って演じていました。たしかに序盤は俊英の淡々とした性格を強く出していたんですけど、亜子ちゃんと出会ってからは、亜子ちゃんに引っ張ってもらうような形で感情が動いていく描写ばかりだったので、何か決めて感情表現したということはなかったですね。全体的には受けの多い役で、シーンを回すという役割は亜子ちゃんのほうにあったので、「大変そうだなあ、関水さん」と思いながら演じさせてもらっていました。

――亜子は、俊英の憧れていた女性にソックリ。でも内面を知ってみると強烈なこじらせ女子で、俊英の恋心は一瞬で冷めてしまいます。そこからの、俊英と亜子の関係性の変化が見どころ。それゆえ、演じる関水さんとの関係性の築き方でも何か意識されたことはあったんでしょうか?

8割ぐらいが関水さんと一緒のシーンだったので、「ここが違った」とか「ここが良かった」とか、気軽にああだこうだこうだ言えるような環境作りができたらいいなと思って。それで実際、こまめに相談をしていたんですけど、普段の僕は本当に人に相談しないんですよ。それって必要ないと思っているというか、昔はそう思っていたんです。でも今回、相談できるなら相談したほうがいいなとちょっと思いましたね。

一方で、相談しないで演じる、というのも僕は好きなんですよ。皆が自分の持ってきたものをその場でポンと出して、それが噛み合っていればいいし、噛み合ってなければ変えていく。その場でちょっとずつ変化を起こして作っていくというのも、また一つの作品作りの形だなと思うので。ただ今回、どっちの形でもいいんだなと分かったんです。僕はずっと監督にすら何も相談せず、とりあえずやってみようという感じでやってきていたので、今回は一つまた新鮮な気持ちでやらせていただけましたね。

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――感情のなかった俊英が、こじらせ女子の亜子に振り回されていくうちに、だんだんと自分の感情と向き合い変わっていく様が印象的でした。俊英の家族との関係性も丁寧に描かれていて、ほっこりさせられるシーンもいっぱい。高杉さんは、完成作品を見てどのような印象を抱かれましたか?

台本読んだときよりは見やすくポップな感じになっていた印象ですね。台本読んだときは、「何だこのドロドロ感は!」とちょっと思ったんです。ストーリーが、けっこういい感じだなあと思ったらぶっ壊して、の連続だったので。というのも、登場するキャラクターがみんなわりと自由なんですね。俊英と亜子もそうだし、他に登場する俊英の親戚たちも。でもそうやって一人一人の自由さがあるから、日常の中にもストーリーというものが生まれるんだろうなって、すごく感じる瞬間があって。良くも悪くも、“自由がこの作品の軸になっているなあという印象です。

――何てことないけれども考えさせられてしまう、という印象深いシーンがたくさんありました。高杉さんが好きなシーンを教えていただけますか?

僕が好きなのは、俊英の元恋人・まり子さんが、俊英を訪ねて来るところですね。俊英とまり子さんは気まずい別れ方をしていて、それゆえまり子さんが淡々と自分の気持ちを話していたんですけど、そのさ中に突然、俊英の叔母さんがバッと入ってくる。なぜか魚を持って、「魚食べなさい!」って。しかも「ちょっと太ったんじゃないの?」とまで言ったり、本当に最低だなって思いました()。で、言いたいだけ言ったらワァッて出て行く。勘弁してくれよ、こっちは大事な話してんのに……っていうあのシーンは、けっこう好きですね。おばちゃんがぶっ壊しにくるから、何だかすごく絶妙なバランスでストーリーが成り立っていると思うんですよ。現実だったら「何で来るんだよ」って感じなんですけど、ストーリー的にはけっこう重要なぶっ壊し。この映画は、そういった細かい組み立てがたくさんあって。台本を読んだときは気づかなかったんですけど、演じていて「そうか、そういうことだったのか」と分かる、ということがけっこうありましたね。

――さりげないけど一つ一つのシーンに全部意味がある感じでした。

たまに『何言ってんだ?』と思うシーンもあるんですけど、まあでも、人生意味のあることばかりじゃないですからね。そのリアルさが、作品として素晴らしいなあと思いますね。

――俊英の叔母さんみたいな人って、けっこう「いるいる」という印象なのですが、高杉さんのまわりにはいました?

実家にいたときは、ああいうシーンに遭遇することがけっこうありましたね。言うだけ言って帰って行ったな、みたいな。「あれは会話ではない、相手がぬいぐるみでもいいんじゃないか」っていつも思っていました()

――不思議とムカつかないんですよね。

そうですね。悪意がないって素晴らしいことだと思います()

――最後に、この映画のみどころをお伝えいただけますか?

映画の中で、俊英と亜子、俊英の祖母とお手伝いのキヨさんの皆で蟻地獄を眺めるという、象徴的なシーンが登場するんです。最初は「なんで蟻地獄なんだろう?」って思ったんですけど、人生って、本当にこのシーンが伝えようとしているとおりだなと思って。崩れても崩れても明日には直っていると信じて……というか。そう思わざるを得ないものだし、そう思って生きていくことが重要だなあと思いながら、僕はこの映画を見たんです。まあもちろん、そうもいかないのが世の中だったりもするので難しいんですけど……
何が言いたいかと言うと、そんなふうにいろんな人の感情、思いがごちゃ混ぜになった作品。見る人によって感じ方が全く違うと思うので、老若男女全ての人に楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

インタビュー後編はこちら

【高杉真宙インタビュー】デビューから13年、“大人の高杉”が違和感なければいいなと思う

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『いつか、いつも……いつまでも。』

海辺の小さな街で、医師として診療所で働く俊英(高杉真宙)。たまたま知り合いが持っていた写真に写っていた女性に憧れていたが、ある日、その女性にソックリな亜子(関水渚)という女性が現れる。しかし亜子は強烈なまでのこじらせ女子で、俊英のときめきは一瞬にして冷めてしまう。図らずも、祖父とともに亜子の面倒を見ることになった俊英。亜子に振り回されるうちに、淡々と生きてきた彼の中で何かが変わり始める。そして俊英たちと囲む温かい食卓に、亜子にも変化が生まれ始め……。二人の恋と家族のつながりを描くハートウォーミングな一作。大ヒット公開中。

配給:バンダイナムコフィルムワークス
©2022『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』製作委員会

PROFILE

高杉真宙199674日生まれ。福岡県出身。2009年に俳優デビュー。その演技力は高く評価されており、これまで多数の賞も受賞している。10月スタートのNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』に出演予定。また今年はバラエティ番組のレギュラーにも挑戦。『ぐるぐるナインティナイン』の「ゴチになります!23」コーナーに出演している。10月スタートのNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、CX月曜21時『PICU 小児集中治療室』に出演予定。

Photos:Tohru Daimon
Hair&Make-up:Sayaka Tsutsumi
Styling:Daisuke Araki
Interview&Text:Naoko Yamamoto