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9番街レトロ・京極風斗の連載【0か100かで生きてゆく】#30「近づけば近づくほど遠い。」

2022.11.09

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神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんには、ずっと追い続けている夢があり、それを達成するために必死にもがいている。近づいたかと思ったら、やっぱり遠くて……。いま、叶えたい夢がある人は、きっと共感できるはず。

9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #30】

ー 近づけば近づくほど遠い。

Illustration: Kazato Kyogoku 

今はまだ「夢」

皆さんには何か目標はありますか。

「目標」です。

「夢」とも言えますが、僕の中で目標と夢の違いがありまして

「具体的に何をすれば掴めるか」を分かっているか否かです。

分かっているのなら、それは夢ではなく目標と言うべきです。

そして目標は、現実味を増せば増すほど、遠くなるものです。

 

M-1グランプリという大きな大会があります。

結成15年以内の漫才師の中で番を決める大会です。

一応説明しましたが、その必要もないぐらい、「M-1グランプリ」は皆さんも認知している大会だと思います。

「お笑い」のような感覚のものに順位をつけるのはそもそも野暮な気もしますが、昨今では、やはりほとんどの芸人にとって、自分たちの面白さを証明するために是が非でも欲しいタイトルになっています。

我々9番街レトロも例に漏れず、M-1グランプリで結果を残したいと考えるコンビなのですが、当然そう簡単な話ではありません。

 

回戦

回戦

回戦

準々決勝

準決勝

決勝

これだけの戦いを勝ち抜かなければならず、仮に準決勝で負けた場合、敗者復活戦でも漫才を披露。更に決勝では本の漫才を披露。

つまり、最も遠回りなルートを想定した場合、回勝たなければ優勝できないことになっています。

 

今年、2022年大会でいうと、エントリー組数7261組。

7261組の中で一番面白い漫才

これだけでも無理難題のように思えますが、その上で、「運の良い漫才師」でなければいけません。

出番順、客層、審査員、時代、etc.挙げればキリがない数の、才能や努力ではどうしようもない要素を味方につけて、やっと掴み取れるのが「M-1王者」の称号です。

僕は現在芸歴年目の芸人です。

コンビの解散と結成の都合で1回少ないのですが、一応芸歴分M-1グランプリにエントリーしています。

その結果、準々決勝までは辿り着くことができましたが、準決勝には行けたことがありません。

なので、今年は準決勝が「目標」であり、優勝はまだ「夢」と言わざるを得ません

漫才師である以上はやはり、胸を張って「絶対にM-1優勝します!」と、そう宣言するべきなのですが、そんなものは虚勢以外の何者でもなく、「10年目までに決勝に行けたらいいなぁ」が正直な気持ちです。

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夢への関門

吉本の養成所(NSC)に入所する前。

17歳の京極くんは、「NSC在学中にM-1で優勝する」と心の底から思っていました。

迎えた初めてのM-1グランプリは、やはり1回戦で散りました。

 

年目か年目の頃、前のコンビで3回戦まで進むことができました。

「このペースで行けば年目ぐらいで決勝もありえるな」

そう思っていました。

 

そして現在年目。

「今年こそは準決勝に」

そう思っています。

今のほうが確実に漫才のレベルが上がっているはずなのですが、不思議なことに、感覚的に最も優勝に近かったのは、現実的に最も優勝から遠い、NSC入所前なんですよね。

これが、「夢が目標に変わっていく」ということなのだと思います。

決勝に近づけば近づくほど、現実味を帯びて、それぞれの関門が、どれだけ分厚い壁なのかを実感します。

 

今、準々決勝の壁を壊そうと必死にもがいていますが、その壁を破った後はきっと、準決勝の壁を目の当たりにして、「こんなに分厚いんかい」と叫ぶことになるんだと思います。

これは全てのことに当てはまりますよね。

皆さんが今頑張っていること。

勉強なり、仕事なり、趣味なり、なんでも結構です。

やり始めて、一通り覚えて、慣れた頃に、改めて、その道の一流と呼ばれる人を見た時に、始める前より遠く感じたことはありませんか?

始める前の方が、一流になった自分を想像しやすくなかったですか?

これは別にネガティブな話ではありません。

 

それがただの「夢」だった頃は、背中も見えないほど遠いから、勝手に想像できたのです。

遠さを知ったということは、どこに向かって走れば辿り着くのかを知ったということ、つまり「目標」になったということです。

後は必死に追いかけて距離を詰めるだけです。

思ったより近いかもしれません。一生追いかけることになるかもしれません。それは走ってみないと分かりません。

 

間違いないのは、「夢」だった頃よりも確実に成長しているということです。

夢は誰にだって見れます。

目標は挑戦しないと見えません。

何か夢があるなら、まずはそれを「目標」にしてみてください。

photo by: Ryo (Kotora)

連載『9番街レトロ・京極風斗の0か100かで生きてゆく』は第2・4水曜日に更新!

#京極風斗
『0か100かで生きてゆく』

PROFILE
京極風斗(きょうごく・かざと)
1995年8月9日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ。2019年4月1日に9番街レトロを結成。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。
個人チャンネル「京極風斗の道楽ちゃんねる。」ではアートとインテリアを軸に、好きなことを配信。
コンビのYouTubeチャンネルでは日々の出来事やネタの動画を配信。
そのほか、絵が得意で自らデザインしたオリジナルグッズをSUZURIで販売している。
Twitter @9th_kyogoku
Instagram @9th.kyogoku
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Photo: Ryo (Kotora) Text & Illustration: Kazato Kyogoku