ワールドカップ・カタール大会に出場し、決勝トーナメントでクロアチアとのPKを迎えた日本代表は、ベスト16という結果に終わった。今回は三笘選手を高校生の時から見ていたという、元ゲキサカのプロデューサー・石井健太さんに裏話を聞いた。
「三笘薫は試行錯誤をしてプレーするタイプ」

――ゲキサカにいた石井さんだからこそ知っている選手のエピソードを教えてください!
今大会でもスターになった三笘選手は、本当にライトファンが見ても分かりやすい派手なプレーヤーですよね。
それに彼は、僕が今まで取材してきた中で一番頭が良いと思った選手です。
以前、ゲキサカで10分くらいの尺の動画を作りたいなと思って取材に挑んだことがあります。ゲキサカ読者はサッカーをやっている子が多いので、彼の特徴的なドリブルについて、「あのドリブルはどうやっているのか?」「どういう思考をめぐらしているのか?」など事前に考えた質問を伺いました。
他の選手が時間をかけて考えながら喋る中、三笘選手は投げた質問1に対して平気で5~6個、答えを出してくれたんです。しかも内容もすごく端的にまとまっていて、あっという間に質問し終わってしまって(笑)。あまりそういう経験をしたことがなかったので、尺が余っちゃてどうしようと慌てて追加質問をすることになったことがありました。
普段からすごく色々なことを考えていて、尚且つ思考が整理されるから、投げた質問一つに対して何個も答えを返すことができたんだと思うんです。

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現地でも三笘選手に課せられている期待感をすごく感じた
もちろん彼には、フィジカル的なものやセンスといった才能もあるとは思うんですけど、相当考え抜いてあのプレーをしているんだろうなと。才能だけに頼らず、相当試行錯誤をしてあのドリブルまで辿り着いているし、これからは更に進化するんだろうなという印象が三笘選手にはありました。
実際にスペイン戦では、ディフェンスもすごかったんです。ディフェンスが出来る選手というイメージは意外と持たれていないと思うんですけど、その部分はベルギーに行って相当鍛えられたんだと思います。そこも頭を使って考えながら努力しているんだろうなと。
ドイツ戦は現地のカタールで試合を見ていたのですが、三笘選手と浅野選手が同時に選手交代になった時の歓声はすごかったです。日本サポーターのボルテージが一気に上がったなと感じましたし、それと同時に、三笘選手に課せられている期待感が高いんだなという印象を受けました。

Photos: Kaoru Watanabe、Koki Nagahama Text: Arisa Uchida