神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんは愛だって“100”注ぎ込むタイプ! 愛すべきものたちでいっぱいの部屋の様子とともに、京極さんの愛し方を聞いてみました。
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #42】
ー 動物愛 ー

Illustration: Kazato Kyogoku
超可愛いものたち
僕は動物が好きです。
結構好きです。
部屋にも動物を模したアイテムが沢山あります。

気付いたらこんなに集まってました。これはかなり好きですよね。
しかしながら、生きている動物は1匹もいません。植物ですら全てフェイクです。
これは好き故になんです。
好き故に、「動物を飼う」ということにかなりのためらいがあります。
この27年間、何度も何度も、ペットを飼いたいと思いました。
一番現実的なところまで考えたのは文鳥です。
文鳥って超可愛いんですよ。
鳥類ってのは孵化して初めに見たものを「親」と認識することが多いらしいんですが、その習性のおかげで、生まれた時からしっかり育てると、手に乗ってくれるぐらい懐くんですよ。
超可愛いでしょ。
文鳥についてネットで調べまくって、文鳥についての本も3冊読んで、その上で迎え入れるかどうかをかなり検討して、やっぱりやめておきました。
トイレの場所を覚えないから?
どこでやってもらっても構いません。
医療費が高いから?
お金で解決するなら安いもんです。
毎日帰らないといけないから?
毎日帰ればいいだけです。
全くもってデメリットではありません。
ありませんが、
それは実際には飼っていない僕の想像でしかないですよね。
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例えばフンを、パソコンのキーボードの隙間にされたら「イラッ」とするかもしれません。
医療費も今は払えるから「安いもんだ」と言えるだけで、とんでもなく困窮しているタイミングで病気になったら、すぐに対応するのは難しいかもしれません。
飼いたいと思っているだけの今の自分では分からないことが、たくさんあるはずです。
一番の不安は、「毎日帰らないといけない」です。
僕は芸人ですので、泊まり込みの仕事が多いです。
しかし、飼い主に懐いた文鳥は、飼い主に毎日会えないとストレスを溜めてしまうんですね。
なので、自腹を切ってでも新幹線で一旦帰らないといけないんです。
迎え入れたということは、僕の中でそれぐらいの覚悟は決めているはずなので、帰ること自体はいいのですが、それを「帰らないと”いけない”」と思ってしまう時点で、僕には生き物を飼う資格が無いなと思いました。
「帰らないといけない」ではなく、絶対に、絶対に、「帰りたい」じゃないといけないんです。
一秒たりとも、「やってあげている」なんて思ってはいけないんです。
動物にそんな感情があるのか分かりませんが、「この人に引き取られて良かった」と思われないといけないんです。
ペットが飼い主を選べない以上、飼い主側が「絶対」と言える愛を持たないといけないんです。
命を飼うってそういうことじゃないですか。
それをなすには、僕はまだまだ未熟者です。
別に皆さんに強要するつもりはありませんが、もしペットを飼おうと思っている方がいるなら、それぐらいの覚悟を持ってほしいなと思います。
将来、人生に相当な余裕ができたら、その時にまた検討します。
今はぬいぐるみでええ。

photo by: Ryo (Kotora)
連載『9番街レトロ・京極風斗の0か100かで生きてゆく』は第2・4水曜日に更新!
1995年8月9日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ。2019年4月1日に9番街レトロを結成。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。
個人チャンネル「京極風斗の道楽ちゃんねる。」ではアートとインテリアを軸に、好きなことを配信。
コンビのYouTubeチャンネルでは日々の出来事やネタの動画を配信。
そのほか、絵が得意で自らデザインしたオリジナルグッズをSUZURIで販売している。
Twitter @9th_kyogoku
Instagram @9th.kyogoku
9番街レトロってどんなコンビ?
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Photo: Ryo (Kotora) Text & Illustration: Kazato Kyogoku