神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんは常に自分の気持ちを大事にしている。もしあなたの好きなファッションが世間に認められづらいものであったとしても、「人は見かけによらぬもの」。見た目なんて関係ないんです。が、しかし……「傲慢」になってはいませんか? うっかり大切なことを見落としていないか、ぜひこの機会に自分を見つめなおしてみて。
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #45】
ー 人は見かけによらないが… ー

Illustration: Kazato Kyogoku
責任は自分で取れ
「人は見かけによらない」
一度は聞いたことがありますよね。
どんなに可愛らしい見た目でも、どんなにイカつい見た目でも、話してみるまではどんな人間か分からないという意味です。
これはホントにそうで、特に最近ではファッションも多様性に満ちていますので、見た目からは想像もできない性格の人も多いなと思います。
ある人間と関わる中で、サプライズ的に思ってもみなかったもう1人が出現する感じがして、僕個人的には楽しいことではあるのですが。
この「人は見かけによらない」という言葉、「自分のため」に使うのは違うよ。というお話です。
「人は見かけによらぬもの」は諺なんです。
諺とは、”訓戒”なんです。
この言葉がわざわざ言い伝えられている意味を考えてみてください。
人は、もとい生物は、基本的に、他者を「見かけで判断する」ものなのです。
そうなりがちだから、言葉にして「違うんだよ」を伝えているのです。
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ここからが本当に大事。
正座して聞いてほしい。
「人を見かけで判断してはいけない」と思うのは素晴らしいことですが、「私を見かけで判断するな」というのは傲慢です。
「お客様は神様」が、これに近いです。
店側が思っている分には最高の心構えですが、客側が主張してきたらキモス極まりないですよね。
そういうことです。
あなたには好きなファッションを楽しむ権利があります。しかし、他人に受け入れを強要する権利はありません。
あなた自身が好きでやっているファッションなら、他人に同意を求めないでほしいのです。そもそも同意などいらないじゃないですか。
共感できる人だけで仲良くやっていればいいのです。
僕はね、“僕は”ね? 奇抜なスタイルで、世間に認められないことを嘆いている人を見ると腹が立つんですね。
矛盾してるんですよ。
世間に認められることが目的なら、無難な格好をすればいいんです。世間は「マナー」や「モラル」という形でそれの説明書を提示してくれています。
それでも着たい服がある、したい髪型がある、彫りたいタトゥーがあると、自分の意志で逸脱したくせに、その上同調まで得ようなんてのはワガママが過ぎると思うのです。
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よくある例で言うと、「タトゥーが入っているから、プールに入れてもらえなかった」という話。
ここから少し乱暴な言葉を使いますね。
お前、公共なんか差し置いてでもタトゥー入れたかったんちゃうんかえ。なんでその上でプールも入りたいねん。
彫る前に分かってたやろが。
「多様性がーー」じゃないのよ。
「多様性」ってそんなお前だけに都合のいい言葉じゃないから。
「タトゥーが怖い」って考えも多様性の中に入ってんねん。
全部天秤にかけて店側がそういう「ルール」にしてんねん。
お前の一億倍考えた結果やねん。
店に文句言うな。世間に文句言うな。悪いのはお前の頭だけや。
追加で「不良品」ってタトゥー入れろ。
失礼致しました。
まるでタトゥーアンチみたいになりましたが、全くもってそんなことはありません。
実際、僕の弟にもタトゥーが入っていますが、僕は変わらず弟を愛しています。タトゥーの有無など、全くもって関係ありません。
タトゥーに限らず、どんな服を着ようが、どんな髪型にしようが、人様に迷惑をかけていないのなら、僕はどんな姿の家族でも愛します。
なんなら「自分が好きな格好をする」のはとっっっても良いことです。
その上で、ファッションに限らず、自分がやりたいことをするからには、「誰かに嫌われる覚悟を持て」と思うし、何かあった時は、「自分で責任を取れ」と思います。
とにかく僕は、本当の意味で、自分の気持ちを大事にしてほしいなと思います。

photo by: Ryo (Kotora)
連載『9番街レトロ・京極風斗の0か100かで生きてゆく』は第2・4水曜日に更新!
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2023年9月に東京・大阪で主催ライブが決定!
●9番街フェス2023in東京
9/15(金)18:30開場/19:00開演/20:30終演
場所:銀座ブロッサム(中央会館)ホール
料金:前売り¥3000/当日¥3500/配信¥2000
●9番街フェス2023in大阪
9/30(土)18:30開場/19:00開演/20:30終演
場所:大阪市中央公会堂 大集会室
料金:前売り¥3000/当日¥3500/配信¥2000
●即興60分漫才
9/9(土)17:30開場/18:00開演/19:00終演
場所:神保町よしもと漫才劇場
料金:前売り¥2500/当日¥2800/配信¥1500
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1995年8月9日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ。2019年4月1日に9番街レトロを結成。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。
個人チャンネル「京極風斗の道楽ちゃんねる。」ではアートとインテリアを軸に、好きなことを配信。
コンビのYouTubeチャンネルでは日々の出来事やネタの動画を配信。
そのほか、絵が得意で自らデザインしたオリジナルグッズをSUZURIで販売している。
Twitter @9th_kyogoku
Instagram @9th.kyogoku
9番街レトロってどんなコンビ?
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Photo: Ryo (Kotora) Text & Illustration: Kazato Kyogoku