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マルボロメンソール、バニラの香水。宇垣美里がその匂いで思い出す切ない記憶

2019.08.01

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「自分らしく生きる」ということは、かんたんなようで難しい。フリーアナウンサーとなり、次のステップへと歩みはじめた宇垣美里から見えている世界は、もしかしたら私たちとは少しだけ違うのかも。8月のテーマは「香り」について。香りから広がっていく世界や思い出、ライフスタイルなどを綴ります。宇垣美里のエッセイ【私から見えている景色】

第二章 『香りから蘇るもの』

(一)

プルースト現象、という言葉をご存知だろうか。

マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』の冒頭で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りをきっかけに幼少時代を思い出すことから、味覚や嗅覚をきっかけとして記憶が甦る現象のことをそのように呼ぶのだそう。

たしかに香りから思い出す記憶はあまりにも鮮明で、時に心の奥底で鍵をかけていた思い出さえも呼び起こしてしまう。

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例えば、墨の深い香りには、もう会うこともない、仲違いした友人のこと。
プラダの甘いバニラの香水は、最後まで苦手で会うたびに全身の毛が逆立つような気持ちが収まらなかった友人の彼氏。

そして、煙草は、ずっとずっと遠いところにいってしまった年上の友人のことを。
マルボロのメンソールを、マニキュアで彩られた白魚のような指で挟んで、紫煙をくゆらせる姿は惚れ惚れするほど美しかった。
しょっちゅうせがんでは、煙草の煙を吹き込んだシャボン玉を作ってもらっていたから、もちろん棺にはシャボン玉セットと煙草のどちらも、こっそり入れた。

未だに、街であの匂いとすれ違うと、雷に打たれたように立ち止まってしまうけれど、不思議なことに香りそのものを思い出すことはできない。

それは救いではあるけれど、時々たまらなく切なくなる。

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宇垣美里にQ&A

Q. たくさん日にあたってしまったり日焼けした時のケアはどうしていますか?(18歳・女性)

日に焼けた後よりもその前の対策のほうが楽だし効果的! 常にミルクタイプ、スプレータイプ、スティックタイプと三種類の日焼け止めを持ち歩いています。どうしても日焼けするって分かってる時はその日の二日前くらいから日焼けした日から二日後くらいまで、すごく効く美白美容液を使用。あともうひたすらパックしたり冷やしたり、できる限りのケアをしてどうにかする(笑)。

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宇垣 美里(うがき みさと)
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。

宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg

宇垣美里『私から見えている景色』 連載一覧

※衣装は全てスタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kota Shouji Styling:Mana Kogiso(io) Hair&Make-up:Sayoko Yoshizaki(io) Composition Mayuko Kobayashi