「自分らしく生きる」ということは、かんたんなようで難しい。フリーアナウンサーとなり、次のステップへと歩みはじめた宇垣美里から見えている世界は、もしかしたら私たちとは少しだけ違うのかも。8月のテーマは「香り」について。先週に引き続き、香りから広がっていく世界や思い出、ライフスタイルなどを綴ります。宇垣美里のエッセイ【私から見えている景色】

第二章 『香りから蘇るもの』
(四)
旅に出て、空港で一番最初にすることは、大きな大きな深呼吸。
その土地の空気を存分に味わうと、なんとなくイメージ通りの香りがしてくるのがおもしろくって、ずっと続けている習慣だ。
例えば、イタリアはコーヒーと柑橘系が混ざった香り、フィンランドは雪のような冷たく清潔な香りがしたし、タイはごちゃごちゃとした中にパクチーの香りがほんのりあって。アメリカは着いた瞬間、本当にハンバーガーの匂いが漂ってきてちょっと笑ってしまった。
あんなことがあったな、こんなところにも行ったな……そんな記憶は必ず何かしらの香りと紐付いていて、ふとした瞬間に花開くように蘇る。

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最近は旅先でお香やキャンドルといったフレグランスを自分へのお土産として買うようにしているのだけど、これがなかなかのライフハックなのだ。
日常の積み重ねに疲れ切ってしまった時、楽しかった思い出の地の香りに火を灯せば、家に居ながらにして短い旅に出ることができる。
タイで買ってきたお香の名前は“シャドウムーン”。
その名の通り、汗ばむ気候の中、見上げた夜空にひとつ、涼やかでどこまでも清らかだった月の光を思い出す。
フランス土産のハンドクリームはパウダリーでコケティッシュ。
手に塗り込めば気分は一気にパリジェンヌ、日本の忙しない雑踏もバレリーナのように軽やかに駆け抜けることができる。
ああ、次の旅はどこに行こう。お土産にはどんな香りを買おうかな。

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宇垣美里にQ&A

Q. どうしても頑張れない時、
宇垣さんならどうやってモチベーションをあげますか?(28歳・ 女性)
これが終わったらケーキ食べてよし!とか、全部できたら友達と旅行に行くぞ!とか何かしら自分にご褒美を用意して乗り越えます。どうせやらなきゃいけないことならさっさと終わらせたいタイプです。
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。
宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg
※衣装は全てスタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kota Shouji Styling:Mana Kogiso(io) Hair&Make-up:Sayoko Yoshizaki(io) Composition Mayuko Kobayashi