キレイな女性がしていること。それは自分の内側へと目を向けること。自分の本能に耳を傾け「こうしたい、こうありたい」という理想や願望を持つことで、その人のキレイは育てていける。そう、美とは=心の健やかさ。いつも自然体でありながら、その美しさを進化させている長谷川潤ちゃんが実践してきたメソッドをご紹介します!

凛としたブラックで引き出す、逆説的な女性らしさ。ニットボディースーツ¥24000/エディット フォー ルル(メドモアゼル) ピアス¥30000/ステディ スタディ(トムウッド)
人生でたどるプロセス、そのすべては“美しい”
ViVi卒業後もますます輝き続け、モデルからも読者からも「なれるものなら、長谷川潤ちゃん♡」という声が上がるほど、世代を超えて絶大な人気を誇る潤ちゃん。ViViの現場に再び姿を見せてくれたのは、なんと7年ぶりのこと。
「正直、最初にこのオファーを聞いたときはビックリしたの。だって私ももう30歳を過ぎたし、今ViViを読んでるコたちは私のこと知ってるのかな?って(笑)。でも、そんな疑問を感じたときに思ったの。あ、私もいつのまにか先輩の立場になったんだ、って。思わぬ形でそう気づかされたわけだけど、これはきっと私に与えられた使命。
モデルとしてのキャリアをスタートさせたこの場所で、私が自分のジャーニーを通して学んだこと・ためになったことを、今このタイミングでシェアすることは、何か特別な意味があることのような気がして。卒業から9年、再びViViの読者のコたちと繋がれるなんて、すごくありがたいこと」
ViViモデルとなった当時は16歳で最年少。持ち前のストイックな性格もあり、先輩たちから多くのことを吸収しながら瞬く間にトップモデルへと駆け上がった。デビューから数ヵ月後には単独カバーも飾り、その後はテレビにも活躍の場を広げ、仕事に没頭する日々が続いた。
ただ、仕事が充実していく一方で自分自身のことについては、やりたいこと・好きなものすらわからず、ロストな気持ちを抱えながら悶々としていた、と20代前半を振り返る。
「ほんとにね、インタビューのたびに何も答えられなくて、いつも泣きそうになってたの。『趣味?なんだろう? わかんない』みたいな。普段着る洋服のこだわりも特になかったし、とにかく自分の輪郭が曖昧で、どうやったら“自分のスタイル”って見つかるの?って思ってた。
そして同時に、自分をしっかり持った『私はこういうことがしたいの』と、ちゃんと声に出せるモデルのコにジェラシーを感じたりもしていた」
そんな潤ちゃんに少しずつ変化が現れたのは、ヨガを始めてからだった。それまで忙しすぎて“自分のために何かをする”なんて発想もなかったのが、自分と向き合うようになり、考え方や食生活を見直すように。そして、さらに迎えた最大のターニングポイントが……。
「やっぱり自分が母親になったことは、何もかもを一変させた。全ての仕事を一回お休みすることになって、初めて心と頭に余白が生まれて、それまでのことを色々と整理できるいいリセット期に! まず私がしたのは、ムードボード作り。インスタグラムやピンタレストから、ひたすら好きな写真や言葉を集めて、自分の理想を探していった。
『こんな格好がしたい。こういうクローゼットにしたい。こんなお部屋に住みたい。こういう女性になりたい……』と、妄想や自分の世界観を広げることは、セラピーのような効果を持つの。憧れを思い描くだけでワクワクしてきてすごく前向きな気持ちになれるから。で、これが本当に不思議なんだけど、手に入れたい物やことを日頃から意識していると、欲しいと思っていたものがパッと目についたり、セール品になっていたり、少しずつ自分の元に引き寄せられてくるんだよね」

ストイックな美しさを誇る、オールホワイト。タンクトップ¥5400/ミラ オーウェン ルミネ新宿2店(ミラオーウェン) ピアス¥33000/ステディ スタディ(トムウッド) デニムパンツ/本人私物 シューズ/スタイリスト私物
Page 2
自分の好きなものを知り、イメージを膨らませていくことは、その人のクリエイティビティも高めていく。そして、ある一冊の本との出会いがさらにその後の人生を大きく変えた。それは、こんまり(近藤麻理恵)さんの著書『人生がときめく片づけの魔法』
「何をしたいのか、どこへ向かいたいのか、わからない。だけど、なんか自分が今いる場所がピンとこない。とにかくそんな人に読んでほしい! 本が苦手という人は、ぜひマンガバージョンを。部屋やおうちは、その人の基盤であって、その人自身を映し出す鏡のようなもの。一から十までこの本に書かれていることすべてを実践したら、本当に人生が変わるから、騙されたと思って一度やってほしいの(笑)。
この本に書かれているすべての工程を終えたとき、部屋だけじゃなくて頭の中までクリアになって『私、こういうものが好きだったんだ!?』『こういうことがしたかったんだ!?』と、自分の目指すべき方向がはっきりと見えてくるから。
というのも、この本は単なる片づけ方法をレクチャーするものじゃなくて、直感力を鍛えることこそが真の目的。直感力が鍛えられてくると、その人にとっての正しい選択がちゃんとできるようになって、自分の進むべき道がおのずと拓けてくるの。
“心がトキめくか、トキめかないか”の直感で必要なものと不要なものを分けていくそのメソッドは、身の周りの物の整理だけじゃなく、人間関係を含め、すべての選択において有効に。頭で考えるのではなく、心にしっくりくる選択を重ねていくことで“自分の道”を後悔なく歩いて行けるように。
私もこれは経験からわかってきたことなんだけど、最初の直感で選んだものがだいたい正解で、心はAを選んでいるのに『私には出来ないかも』とか『みんなもこう言ってるし』と頭で考え、何かと言いワケや理屈をつけて選んだBは失敗が多かった」

Page 3
Power of YES、Power of NO
そして、その直感を後押しするために、座右の銘のごとくいつも心に持っているキーワードも教えてくれた。
「Power of YESとPower of NOというキーワードなんだけど、何か新しいことを始めるとき、心が最初にYESと思ったなら、勇気を持って一歩踏み出してみる。もちろん新しい何かを始めるときってすごく不安。でも、恐怖心というものはチャレンジに必ずついてくるものなんだ、とそこはもう諦めて(笑)、頭でブレーキをかけないようにしたい。
少しでも心がYESのサインを出したなら、挑戦あるのみ。たとえ失敗したとしても、チャレンジすることでそれまでの自分の器の形も大きさも変えていけるから。
そして、同時にPower of NOというのもすごく大事で、イエスマンの私には、どちらかというとこっちのほうが難しい訓練だったんだけど、NOと言う勇気は自分を大切にすることに繋がる。
直感でNOと思っているのに『こう思われるんじゃないか』『断ったら嫌われるかも』と、人のことを気にし始めるとNOがなかなか言えなくなってしまうんだけど、NOにも気持ちいい断り方・伝え方というのがちゃんとあって、そこを気をつけていけば、NOも上手に扱えるようになってくる。せっかく直感力が鍛えられても、その直感どおりに動けなかったら、結局心を苦しめてしまうから」
日常的に体を動かし、健康的な食生活を心がけ、数々の本やSNSなどのメディアからインスピレーションを得て、試行錯誤しながら内なる美しさを磨いてきたことがわかる。そう、多くの人たちが潤ちゃんに惹かれるのは、決して造形的な部分だけじゃなく、そういう努力による美しさなのだ。潤ちゃんが発する言葉一つ一つから、ポジティブな未来が広がっていく。
「ハタチから30代にさしかかる十数年って、自分も周りもめまぐるしく変わっていくし、楽しいこともいっぱいあるけど、悩みも多くて、本当に大変。あっちに行ったり、こっちに行ったり……、それが20代の仕事なのかもしれないけど、進路や恋愛、大きな選択もいっぱいあって、毎日が本当に闘いだよね。
みんな必死に頑張ってる。そして今20代のみんながいずれ30代、40代になって、今度は自分たちの姿を後輩に見せる番が来たとき、誰かを勇気づけたり励みになる存在であったら、それってすごく素晴らしいことだと思うの。
自分が輝いていれば周囲の人たちにもいいエネルギーを送りこめるし、世界がキラキラしてくる。特に日本の女のコには大人になることをネガティブに思う傾向があるけど、ちゃんと“自分を生きる”ことができれば5年後10年後の自分にワクワクできるし、希望がどんどん湧いてくる。
私自身、紆余曲折あったけど、この10年間で起こった変化は自分の“進化”として誇りに思える。今改めて振り返ると、アップダウンを含め、たどってきたそのプロセスすべてが美しかった。失敗も沢山してきたけど、だからこそ成長できたと思うし、今の私がある。いいことも悪いことも、頑張ってきたことも苦しかったことも全部、その人の身になるんだよね。
私は今33歳。ViViを読んでいる20代のコたちからしたら少しお姉さんで『私はこうだったよ。こんなことを学んだよ』と話してるけど、私は私でまだまだベイビー。こんな女性になりたい、こんな風に成長していきたい、って40代、50代の女性たちを見て今も学んでいるところ。
それって多分おばあちゃんになるまでずっと続くことだと思うし、いくつになっても『今が一番♡』と思えるほど進化はその人を輝かせてくれるはず」
その他記事もCHECK♥
model:Jun Hasegawa photography:Bungo Tsuchiya(TRON) styling:Chiharu Dodo hair&make-up:Mifune(SIGNO) composition:Yuri Sugiyama