ViVi初登場から5年。少年らしいあどけなさの残る表情で、役を通して次々と新しい顔を見せてくれた彼も今年で26歳。10年目のキャリアを迎える彼が選んだ作品『アルキメデスの大戦』では天才数学者を演じ、共演するベテランの俳優陣をも魅了する。今までとはまた違う、大人へと進化し続ける彼の今に迫った。
数式を完璧に覚え理解した上で挑んだ見せ場
数字のこのわかりあえない感じがロマンチックで好きですね
今回演じるのは映画『アルキメデスの大戦 』で帝国海軍に挑む天才数学者、櫂直。元々数学好きでもあり、見せ場となる会議室でのシーンでは、 数式を完璧に覚え理解した上で挑んだ。「何かを書きながら別のことを話すって意図的にやろうとするとまあ難しいんですよ。でも、数式という説得力は櫂を演じる上では大事な要素なので最初の試練でした。映画ではカットを割っているんですが、 現場では5~6分ぐらいの尺を一連で全部撮っている。あのシーンは映画のなかでもクライマックスですし、ただの暗記でもダメなので、 数式を理解して本当にプレゼンしてやろうと挑みました」

悲しすぎるけど納得せざるをえない
もともと原作となるマンガが好きで読み込んでいた菅田さん。
「マンガはまだ続いているので、2時間ちょっとの映画での落とし所がなるほどなと思いましたね。史実をもとにしたフィクションなので、 悲しすぎるけど納得せざるをえないというか。この切なさはぜひ映画を見ていただきたいです」
戦争というものを知るきっかけになればいい
この映画は過去の戦争を舞台にしながらも今に通ずる人間関係が描かれ、「今やらなければならない作品だった 」と話す。
「『戦艦大和』って聞くとファンタジーなイメージが先行するけど、実際は違うんですよね。 この時代は僕が生まれるたった60年前の話 で、じつはそんなに前じ ゃない。戦争を経験した方もまだ生きている今こそ、ライトな触れ方で若い世代にも戦争というものを知るきっかけになればいいなと思っています。 あと今回の事の発端となる軍の構造は時代に関係なくよくあることで。戦争というのは砲柴戦だと頑なに船にこだわる人たちに対して、いやちょっと待て、効率も悪いしもう空の時代なんだと先を見据えた反対派がでてくる。この組織というなかでの力関係は、どんな仕事をしている人も 経験があるんじゃないかな」

数学とか戦争だけでなく人間味があって面白い
そして最後に一番の見所を教えてもらった。
「天才数学者という人間が、さながら若手サラリーマンのように軍という組織の中で―つの大きなプレゼンをする。 数学とか戦争っていう大きいものだけではなく、自分の目で見て手で触って汗かいて行動していく様がすごく人間味があって、ちゃんとヒューマンなところが面白い。ぜひ映画館に足を運んでみてください」

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天才だけに見えている景色
数学ってゲームみたいな感覚
「今回はめちゃめちゃ頭を使いましたね。 僕も思考はもともと理系ですが、櫂ほどの天オは羨ましい。何かに没頭できる人はかっこいいなと思います。数学は昔から好きで、ゲームみたいな感覚。なんかRPGみたいですよね。自分の経験値や武器みたいなものが知識や方程式だったりで、敵となる問題が現れてそれを自分の知識と発想カで解いていく。 その作業が好きですね」
天才だけど孤独な人
「櫂はずっと孤独な人だったと思うんです。計算能力の高さや視野の広さで未来を見通す力があるがゆえに、なかなか同世代では理解しあえる人がいなくて、上の世代でも難しい。でも、そこで初めて共感してもらえたのが敵のボスで。敵ながらも出会えた喜びはあったんだろうなと思います。だからこそ、ラストの天才だけに見えている景色は切ないなと思いました」

芝居の仕方、呼吸の仕方。みんな違うんです
「柄本(佑)くんとは趣味のことを話したり。先樅たちにはゴルフとか乗馬とか、昔のことを聞いたりしましたね。 ここには書ききれないほど面白いエピソードをたくさんお伺いしました。 男では最年少での参加でしたが、意外とそういった面での緊張はなくて。 大先輩がたそれぞれの個性がとにかくすごいんですよ。 みんな芝居の仕方も違うし、呼吸のタイミングも違うし。それは見ていて面白かったですね」
人間味を大事にしています
「僕、普段マンガばっかり読んでいるんですよ。マンガってコマとコマの間は読者がかってに想像できるし、行間で読めるからそれが楽しい。でも僕たちはその行問も含めて一個の答えを提示しなければならない。そこがマンガ原作がある作品の、他とは違う難しさであり面白さですね。心がけているのは、人間の持っているそのエネルギーを表現することかな。人間味がなくなっちゃうとアニメでよくなっちゃうんでね。キャラクターの心理みたいなものは大事にしたいですね」

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Model:Masaki Suda Photographer:Mai Kise Hair&Make-up:AZUMA(M-rep by MONDO-artist) Styling:Shogo Ito(sitor) Composition:Nirai lkeshiro