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安室奈美恵からの生きるヒント!時代のミューズが語る、人生で本当に大事なこととは?

2018.06.24

時代のミューズであり続ける安室奈美恵さんと、10代の頃から安室さんの大ファンだという、作家・LiLyさんがガールズトーク。すべての女のコたちに捧げる、生きるヒントを聞き出してもらいました。

安室ちゃんからすべての女のコたちへ

どんなふうに生きていこう?

人生の節目だけでなく、ふとした時にも頭をよぎる。これは誰もが決して避けては通れない、自分自身への大きな問い。正解はいつだってひとつじゃないし、考えているあいだに時代すら移り変わっていく。そんなふうに流れゆく私たちの人生と、時代のミューズ「安室奈美恵」。

彼女はいつだってその生き様で、私たちを魅了する。

アーティストという枠すら超えて、安室ちゃんが国民的スターとして愛され続ける理由はここにもあると常に感じてきた。とても極端なはなし、ヒトは言葉より何より、その生き方にだけはウソがつけない。そして、その根底の魅力はありとあらゆるすべてに漏れる。

運も波も味方につけることで時代に選ばれた、稀有なミューズ。
確かにそう。
だけど安室奈美恵はそれすら超えた。

時代の方が、安室奈美恵に常に影響を受けている。

1996年、安室奈美恵が『ViVi』のカバーガールに抜擢された年。
’ 90年代に社会現象を巻き起こしたアムラーファッションに身を包んだ22年前の『ViVi』のカバーを見て、「眉毛、こんなに細かったんですねぇ」と現在の安室さんが目の前でクスリと笑う。

たったそれだけで泣きそうになってしまうのは、私自身が10代の頃からの大ファンだという理由から、だけじゃない。

2018年。
安室奈美恵のラストの年。

今を生きる私たちは丸ごと、昨年の秋に突然発表された「安室奈美恵、25周年での引退」という衝撃ニュースの中にいる。

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渋谷109には昨年、安室ちゃんの巨大ポスターが飾られた。アムラー全盛期の彼女を起用した20年前のdocomoの広告なのかと思いきや、当時のヘアメイクやスタイルを現在の安室奈美恵が再現したものだ。白いブーツにミニスカートの安室ちゃんが手に持っているのは、当時まだ普及し始めたばかりだった「ケイタイ電話」。

街ゆく人々は足を止め、時代の節目を写そうと渋谷の空にスマホをかざした。その光景を丸ごと包み込むように、センター街のスピーカーは絶え間なく彼女の曲を流し続けた。

「Baby もうどのくらい一人でyou’ve been tryin’ Baby もう Don’t cry ♪」(Baby Don’t Cry)

涙でぼやけた視界の片隅には、私と同じように指で涙を拭う女性のシルエット。
他人同士の私たちが他人同士のまま共に泣く理由は、きっと同じ。
「安室奈美恵」と共に、自分のこれまでの人生のメモリーレーンが頭の中を駆け抜けてしまうから。

’81年生まれの私は、そんな大勢の中の一人。
安室奈美恵という存在そのものに、色濃く影響を受けて育ってきた。
青春時代に安室ちゃんを通して女の子の新しい生き方を学べたことが、その後の人生にくれたギフトは数え切れない。感謝してもしきれない。だからこそ今、現代を20代として生きる読者を持つ『ViVi』で、安室ちゃんに聞きたいと願うのは―――。

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「かわいい」よりも「カッコイイ」。安室奈美恵からの「生きるヒント」。

3月某日、都内某所。22年前の初カバーから最多の
――だけどこれが最後となる――
『ViVi』のカバーシュート。

最新アルバム『Finally』の曲がスタジオに次々と流れる中、安室奈美恵が最新ルックを自分のものにしていく様を目の当たりにして、私たちは息をのんだ。

どこを切り取っても一貫してクールだった彼女が、
撮影の終盤になって 初めてカメラの前で笑顔を見せると、
モニターの前にいるエディターたちから 「ワッ」と感嘆の声があがった。

無数に焚(た)かれたカメラのフラッシュ以上の光を放ち終えると、
スッとリラックスした表情に戻ってインタビューのために椅子に座る。

机には、ViVi編集部が22年間の彼女の登場ページを
一冊にまとめた分厚い本のプレゼント。

「わぁ、すごい。ありがとうございます」と頰をゆるめてから、
華奢な指先でページをめくる。
「眉毛、こんなに細かったんですねぇ。ビックリ!」
目の前には、クスリと笑う安室さん。

込み上げる涙をおし込みながら、最初にたずねたのは’90年代という時代について。

「すごく昔だなぁと感じます。だけど、あっという間はあっという間……!」。

安室さんは穏やかな表情でゆったりと話しだす。

「若い子は大人っぽく大人っぽく背伸びをする時代でしたよね。
子供には見られたくなくて、
当時はみんなものすごく背伸びをしていましたよね」

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自分よりオトナな人に憧れる姿勢。

’90年代後半。

当時流行っていたのは、〝キレイめ〞と呼ばれるオトナっぽすぎるほどに大人びた格好。

10代の女の子たちは、厚底ブーツで底上げした長身にマキシ丈のロングコートを着て、ハイブランドのバッグを手に持った。

今になって思えばその分不相応すぎる格好に笑ってもしまうけれど、
それでも当時は、
実年齢以上の大人っぽさがサマになること=イケてる条件。

例えばミュージックステーション出演時の
安室ちゃんの黒いパンツスーツ姿こそ、
背伸びの先の目標だった。
そんな彼女自身の中にも、背伸びをしている意識はあったのか。

「ものすごくありました。

とにかく周りの大人に(自分は)子供だと見られたくなくて。
ただ、あそこまで背伸びする必要はなかったのかなぁとも思います。
その時はその一瞬しかないから。
子供っぽいのも(人生の)一瞬。
大人には、年齢を重ねるたびに、
それはもうイヤでも自然となっていくものだから。
でもやっぱり、若い頃はそうは思えないですものね」

背伸びとセットでついてくる焦りについても、
「焦りは、もう」と深く頷く。

「ほぼ焦りという時代でしたね。
曲がヒットしなかった頃は特に強かったですし、
摑んだチャンスは絶対に逃してはいけない!
とか、常に何かをピンと張っている状態で。
でもずっとそうだと疲れてしまう部分もあるから、
意識して リラックスすることも大事。
ただ、それって難しいんですよね」

過去を振り返って今の大人としての目線で声をかけ、だけど最後には気持ちもきちんと当時まで戻して、安室さんは若い世代の焦りも背伸びも肯定する。

「若さって、その辺も全てパワーで持っていけちゃうから。羨ましいなって思うくらいです。だから若い方は、もっとガンガンにいけばいいのに!って」

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若さからくる焦りは、一番の原動力。

「だって、勢いもありますもんね!」
と安室さんは笑顔で若い世代の背中を押す。

「背伸びも焦りも力にしていろんなことにどんどんチャレンジしたらいいと思います。若いうちって、たとえ失敗しても立ち直るのも早いですし。周りの大人が笑って許してくれる時期というのも実は短いですから」

当時から完成形のように私たちの目には見えた安室さんの中にも、
思い返すと恥ずかしくなっちゃうような失敗はあるのだろうか。

「もちろん、いっぱいあります。デビュー当時は、自意識過剰でトゲトゲしかったですし、自分の意思を貫くことがカッコ良さだと思いすぎちゃっていたので。〝私は笑いません〞とか〝ピンクは着ないので〞とか、やたらと言い通していたという……(笑)。媚び、なんてものはもう絶対に(ムリ)……という感じで。生意気でした。でも、10代ですものね。ふふふ。もういろいろ、張り切っていましたね(笑)。熱かったですよね、気持ちも、いろいろなものが」

過去の自分をドライに客観視する安室さんが面白くて、一緒になって笑ってしまう。(続く)

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自分自身を客観視する力。

安室奈美恵の圧倒的な凄さのひとつに、
抜群のセルフプロデュース力がある。

自分はダンスと歌に集中し、
作詞作曲はその道のプロに託すことを徹底するスタイルに私はそれを強く見る。

「もし私が安室さんだったら、
ものすごい額になりそうな印税のことを想像すると、
自分で作詞しようかなっていう〝邪念〞がよぎる気がして……」

と正直に話してしまった私に、
「ふふふ。最初は少し、私もよぎったこともありますよ」
と安室さんはサラリと笑ってこう続けた。

「でも、無理をしてやっても、無理をしたものしかできないですから」

―――完璧なものしか作りたくないという徹底された美学が垣間見えて、
私は思わず息を飲んだ。
そして、完璧な自分を作りあげるために必要なものこそ、
自分自身を客観視する冷静な目線。

「今の自分には何が必要、などと冷静に考えられるようになったのは20代後半くらいからですが、産休をとった1年も私の中では大きなターニングポイントでした。

自分で休むと決めたものの1年は長かったんじゃないか、
と一時期焦りがピークに達してしまって。

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でも、もう自分で言ったのだから休むしかない。
その焦りと葛藤が収まったときに、
初めて、 しっかり一歩引いて『安室奈美恵』を見ることができたんですよ。
(産休の)後半の数ヵ月はテレビを見ながら冷静に、
〝私ってもしかしてこういう位置だったのかも〞とか考えていました。

あの期間は大きかったですね」

1年間の〝休み〞とはいえ、育児そのものが大変な時期でもある。
生まれて初めての経験とセットで味わう猛烈な焦りは、想像するだけで過酷そのもの。

「本当に、そうですね。あとはやっぱり、
そういう過酷な状況に追い込まれたからこそ
気づけたというのはあると思います。
自然と気づく、というのはなかなか難しいですよね。
ただ、客観視できるかどうか(の力)は応用がきくので、
それができるヒトは何をしてもうまくいきますよね。
10 代後半や20代半ばだと難しいですけどね。

それを20代のうちに身につけられるかどうか、
で、やはり30代が大きく変わってくるとは思います。
そこに気づける子と気づけない子ではだいぶ違うと思うので。
それができたらいい30代を過ごせますね(笑)」

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努力の積み重ねは、必ず身になる。

私自身が20代の頃には気づけなかったことの一つに、人生の長さがある。

早く欲しいものをできるだけ〝短距離〞で摑みたいと焦っていた半面、人生もキャリアも実は〝長距離マラソン〞だった事実に30代で気づいた時はハッとした。

25年もの間、トップを走り続ける安室さんの原動力はどこからくるのか。

「好きなことを仕事にさせていただいていた、というのは大きいですよね。歌もダンスも、そこはもう飽きることなく。ただ、もちろん〝好き〞と〝お仕事〞のバランスに葛藤した時期もあります」

好きなことを仕事にできたとして、
好きな気持ちを持続させることもまた簡単なことではない。

「好きを嫌いになる恐怖はありましたね。10代の頃はそれこそ〝好き〞だけでしたけど、やっぱり20 代は(好きとお仕事が混在して)いろいろとバランスに悩む時期なんでしょうね。

悔しくて泣いたことももちろんいっぱいありますし、でも切り替えは早くやっていかないと、気持ちの引きずりが遅れとなって(作品の)質がどんどん落ちてしまう。でも引きずる気持ちもあるし(笑)。焦りますよね。

もともと私は、とても悩むタイプなんです。

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何をするにも遅いスロースターターで。気持ちの切り替えも持っていき方も考え方も、全てに果てしなく時間がかかる。気づいてからどうしなきゃいけないか、にも悩んでしまうので ……」

若くしての成功と今に至る実績から、
誰よりも行動スピードの早い人だと思っていたことを伝えると

「いえいえ、ほんとうにそういうタイプではないんです」と首を横に振る。

「小室さんのプロデュースを離れた頃、

楽曲をリリースしても〝あれ? あまり気に入ってくれなかったのかな?〞

と 思う時期があって。
きっと私自身が、若さからくるトゲトゲしい勢いを失って、丸くなっていたんでしょうね、気持ちが。

そのときに〝みんなは強めの安室奈美恵が好きなのかな〞って思いました。(変化は)自然なことではあるんですけど、(内側の)熱いものはやはり意識して燃やしておかないといけないなって。

自分自身から醸し出すのが無理なところは、
詞の世界観とか楽曲のリズムやビートで出して、
音楽の力で自分を強い安室奈美恵、かっこいい安室奈美恵に持っていく、というのをやっていくようになったら、スムーズに〝好き〞と〝結果〞のバランスがとれはじめたんです。

セクシーとかきれいとか可愛いっていうカテゴリーが自分の中にはなくて、唯一、10代からやってきて、周りからも支持してもらえたのが〝かっこいい〞だったと思うので、初心は忘れちゃいけないな、それを忘れると私じゃないんじゃないかなと思うようになりました。

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ただそうやって20代にとことん悩んだことで、
不安をあえて捨てて
〝好きなことを自由に思いっきりやろう!
ジャンルを決めこまず、今歌いたい曲だけを歌おう!〞

という30代がきたというのはあると思います。
積み上げた努力というものだけは、必ず身になるんですよね。

気持ちを切り替えるスピードについても、
これは引きずっていいけどこれは ダメ、
というのが 30代でやっとわかるようになってきて。

だからやっぱり20代はとにかく経験!
いっぱい泣いてもシワなんてできないし、大丈夫(笑)!
その経験が30代に役に立つ。

そこで選んだものを30代で極めていって、
40代はその量よりも質をあげていく。
私はそういう感じでいこうかな、と思っています。
進化はしていかなきゃいけないので(笑)」

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現代のSNSとの付き合い方。

公式SNSを一切やらない安室さんが、
もし現代を〝普通の若い女の子〞として生きていたら?
インスタをやるんだろうか。
どんなアカウントになったのだろう。

「ふふふ。それは絶対にーー」やらない、と言うのかと思ったら、

「やっていたでしょうね!
ハマってると思いますね(笑)。
だって、現代のマストアイテム!じゃないですか(笑)」。

言葉をひとつずつ選びながら丁寧に話す安室さんが、
突然思い切りのいい意外なワードをポーンと明るく出してくる。

そのタイミングも絶妙で面白くって、場が笑いに包まれる。
「意外です(笑)。自撮りもするアカウントになったでしょうか?」
と問う私に、

「やはりそこはどうしても、私の自撮りが主体になってしまったでしょうねぇ」 とクスクス笑う。

「ただ、大変だろうなぁとは思います。
今の時代は人を焦らせてしまうストレス社会ですよね。
私の場合は(セルフプロデュースする)お仕事だからそういうストレスはないですけど。

その日だけ『いいね!』が少なかったりしたら、
今日は何がダメだったんだろうって気になってしまいますもんね。
他の人が自分を他人と比べるのではなくて、
自 分自身で自分を他人と比べてしまうし……」

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このSNS時代をうまく乗りこなすコツを聞くと、
安室さんはSNSを自分の仕事とも重ね合わせながら、
今の女の子たちに感情移入して考えてくれる。

「うーん。
ITデトックスも大事だとは思いますけど、
向いている人はもうドンドンやればいいと思います。
前に、出たいですもんね。
チャンスも摑めるし。
でも、向いていない人は、見る側にまわるとか。
今の私がまさにそうなんですけど。
人のを見て楽しむだけ、みた いな。
SNSを見て苦しくなっている時間が
一番もったいないですから……。

その時間の代わりに
自分に向いているものを探したほうがいいかなって」

ここでも大事なのはやはり自分のタイプを見極める力なのだと考えていたら、
「ん、たとえば……」と、
安室さんが〝S NSと理想的に関わるクールな女の子像〞をパッとひらめく。

「ツイッターもインスタも何もやっていないのに
トレンドを押さえてます、とか。
SNSでそれを自慢もしないけど、
実は毎晩こっそりSNS(でのトレンド)チェックだけはしていて(笑)、
サラーッと流行りものを持っている女の子って
一番クールじゃないですか?」

「最高です、そんなカッコイイ女の子!」

「ね? そうですよね(笑)」