人には聞きづらい“女子の保健室的なお悩み”について、専門家にしっかり取材をして信頼できるアドバイスをもらおう! という企画「ViVi保健室」。今回は、「生理が来ないなんて楽そう」「避妊しなくていいってホント?」など何かと気になるピルについて。正しい知識があれば、力強い味方になってくれるだけに、きちんと学びましょっ!
Q.生理痛がひどくて、ピルが気になっています。でも、ピルを飲み始めて太った、気持ち悪くなるなどの話も聞くから、迷い中。まわりは誰もきちんと知らないから、正しい情報を教えて!

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A-1:避妊用のピル=低用量ピル。性感染症の予防はできません!
A-2:月経トラブルの薬=避妊用ピルとは限らない。つまり、避妊できるとは限らない!
A-3:ピルを飲んだからといって、不妊にはなりません。
A-4:ほとんどの副作用は、体が慣れればおさまります。
A-5:ただし、2〜3kg太る場合もあるけど誤差の範囲内!
A-1:避妊用のピル=低用量ピル。性感染症の予防はできません!
一般的にピルといってもいろいろありますが、避妊のために使われるのが、ピルの中でも「低用量ピル」(低用量経口避妊薬、OC)です。卵胞ホルモンと黄体ホルモンという、2つの女性ホルモンを含み、脳に働きかけて排卵をストップさせます。
その効果は高く、きちんと正しく服用した場合の避妊成功率は約99%!
体内に避妊具を埋め込む方法と同じぐらい高い成功率で、コンドームよりもかなり高い避妊率を誇ります。
ただし、避妊はできますが、エイズやクラミジアなど性感染症の予防はできないため、コンドームとの併用がマスト。また、毎日飲み忘れないのが基本。飲み忘れたら、避妊効果が下がることもお忘れなく!
A-2:月経トラブルの薬=避妊用ピルとは限らない。つまり、避妊できるとは限らない!
低用量ピルは、避妊のほか、腰痛や腹痛などつらい月経痛やPMSの軽減に効果があるため、月経トラブルを抱える人にも使われます。ただし、覚えておいてほしいのが、月経不順に使われるお薬が、必ずしも避妊効果のある低用量ピルだけとは限らないということ!
月経を順調にさせるホルモン剤を使う場合、自然排卵していることもあるので妊娠の可能性があります。つまり月経痛や月経不順のために飲んでいる薬で、ついでに避妊ができていると思っていると、望まない妊娠をしてしまうこともあるんです。
そのため、必ず、自分がどのような薬を飲んでいて、避妊効果があるかないかをしっかりと把握することが大切です!
A-3:ピルを飲んだからといって、不妊にはなりません。
そして、皆さんが心配されるのが、副作用などのデメリット。よく「低用量ピルを飲んでいると不妊になりますか?」と聞かれますが、もともと不妊の要因がある人(生理不順だったり、無排卵だったり)以外は、ゼロです。
低用量ピルの服用をやめて3〜4カ月ぐらいで、服用前のホルモンバランスに戻って月経が復活するため、自然妊娠が可能になりますし、赤ちゃんにも影響はないと考えられています。
ちなみに低用量ピルは排卵を止めることで月経トラブルを抑えていただけで、月経トラブルが治っているとは限りません。
A-4:ほとんどの副作用は、体が慣れればおさまります。
また、飲み始めに「吐き気」「頭痛」「胸のはり」「不正出血」「下腹部痛」などを訴える方もいますが、これらはよくあるもの。早い人で1〜2週間で、低用量ピルによるホルモンバランスに体が慣れて、おそくとも3カ月以内には大部分の人がおさまります。
それでもひどい場合、我慢できない場合は、早めにドクターに相談するといいでしょう。
そして、非常にまれですが、血栓症が起こることもあります。これは卵胞ホルモンに血を固まりやすくする作用があるため。放置すると心筋梗塞や脳梗塞、肺塞栓症など命にかかわる病気を引き起こすこともあります。
タバコを吸っている、高血圧などの持病がある、太っているといった人は若くてもそのリスクが高くなるため、低用量ピルの処方ができない場合もあります。逆にこれらの条件にあてはまらなければ、非常にリスクは低いと考えてください。
A-5:ただし、2〜3kg太る場合もあるけど誤差の範囲内!
もうひとつ、皆さんが気にされるのが、「太る」かどうかというところ。実際、医学的には問題ないとされていますが、2〜3kgぐらいの体重増加がある場合も。その増加が許せないというのであれば、飲まない方がいいかもしれませんが、第一線で活躍しているモデルさんでも服用している人はたくさんいることから考えても、そこまで心配する必要はないと思います。
先生のアドバイス
まず、自分がなぜピルを飲みたいのかを明確に。避妊目的か月経トラブルの緩和かによっても、処方される薬は変わってきます。また、飲んでいる薬が本当に避妊効果のある薬なのかもきちんと把握しましょう。それらを押さえたうえで、うまく付き合えば、毎月の苦痛を軽減できたり、望まない妊娠の不安がなくなったりと、味方になってくれるはずです!

命は尊いもの。
illustration/Pantovisco