「整形の失敗って目でも起きるの?」「二重にもすらっとした鼻にもしたいけどデメリットも気になる…」鼻ヒアルロン酸も切らない整形も目頭切開も小鼻縮小もエラボトックスも人中短縮も全部気になるけど整形の失敗は絶対したくない!そんなみなさんのために医学博士・慶田朋子先生に手術のリスクや信頼できるクリニックの見極め方を聞いてきました。【こっそり相談。ViVi保健室】
Q.典型的な“平たい顔”の私。二重にして目をぱっちりさせたい!という願望が昔からあるのですが、整形に失敗するとかあるんでしょうか? がっつり変える大手術じゃない、プチな整形なら平気? 気になって夜も眠れません!

A-1:“100%失敗しない”はありえません
A-2:ポピュラーなプチ整形でもこんな失敗が起こることも!
A-3:“迷うならやめとく”がベスト。やるならよい医師を見極めて
A-1:“100%失敗しない”はありえません

この写真を見てください。
よく「鼻ヒアル」と呼ばれる、鼻の付け根にヒアルロン酸を注入して鼻筋を通すことを目的とした施術なのですが、この女性はとあるクリニックでこの施術を受けたところ、おそらく量が多すぎたこと、種類がかなり豊富にあるヒアルロン製剤のチョイスミスなどが重なり、このように“アバター”みたいに腫れあがってしまいました。この施術はヒアルロン酸を注入するだけと手軽なので、若い世代の方にも人気ですが、一歩間違えると大変なことになるのです。この方はうちのクリニックでヒアルロン酸を溶解する薬剤を注射し、無事に元に戻りましたが、一時は外出もためらわれるほど顔が変わってしまったのです。
美容医療がポピュラーになるにつれて、失敗例も数多く報告されています。つい先日も、大阪にあるクリニックが整形失敗で訴えられたケースをニュースで見ました。うちのクリニックにも、他院で失敗されてしまい「なんとかしてほしい」と駆け込んでくる患者さんがいらっしゃいます。
整形は手術などの医療行為とほとんど同じ。たとえ医師側に落ち度がなかったとしても、異物を体内に入れるので過敏反応が出ることもありますし、リスクはゼロとは言えないのです。
A-2:ポピュラーなプチ整形でもこんな失敗が起こることも!
・目頭切開
日本人に多い蒙古ひだ(目頭にかぶさった皮膚)を取り除いて目を大きく見せる、若い世代に人気の手術。技術とセンスがない医師に担当されると、左右が非対称になったり、傷が目立つことがあります。切開するため、失敗しても完全に元に戻すことは不可能ですし、キレイに直すこともかなり難しい。
・小鼻修整
小鼻の脇を切って縫い、鼻の穴を小さくする手術。失敗すると、小鼻脇の傷跡が異様に目立ったり、鼻の穴が小さくなりすぎる危険があります。これも、リカバリーの難しい施術。
・人中短縮
リップリフト、鼻下短縮などと表記するクリニックもあります。鼻と唇の間の距離を縮める手術。大抵は鼻の下を切って皮膚を切除し、幅を短く修整します。傷跡が目立ったり、短くしすぎてかえって顎が長く見えるなど、顔全体のバランスが崩れたりという失敗例が。これもやり直しはまず、不可能。
・ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸注入自体はそこまでリスクの高い施術ではありません。大事なのは、製剤が適材適所であること。先日、駆け込んできた患者さんは、とあるクリニックでほうれい線を消すヒアルロン酸注入を受けたところ、本来ならば顔には使わない硬い製剤を使われた上、皮膚内で炎症を起こして膿が溜まって腫れあがってしまいました。当院で注入箇所を確認して、ヒアルロン酸の溶解注射と、しこりを小さくする注射と、抗生剤の点滴で処置し、腫れとしこりは2週間ほどでかなり消えましたが、皮膚の黒ずみや萎縮などの回復には半年以上は必要でした。また、当院を受診する前に他のクリニックで膿を絞り出す切開手術を受けたため、1センチほどの傷が残ってしまいました。
・ボトックス注射
筋肉を弛緩させてシワを薄くしたり、輪郭を整える効果を持つボトックス注射。なかでも小顔になると、某お笑い芸人も定期的に受けているという「エラボトックス」は最近人気の施術です。ただ、咬筋と呼ばれる歯の食いしばりに関連する筋肉に打つべきところを、えくぼを作る笑筋に打ってしまい、口が下がり人相が変わってしまった人も!
・非吸収性注入製剤によるトラブル
「エンドプラスト」や「アクアミド」のように体内で吸収されずに半永久的に残る製剤は危険! 未だにこれを使っているクリニックもあるようですが、これらは体内で異物反応を起こしやすく、しこりになることも。さらに薬液などで溶解することもできないため、しこりになった場合には手術で除去するしかありません。
A-3:“迷うならやめとく”がベスト。やるならよい医師を見極めて
実は注入などによる異物反応は、若ければ若いほど起こりやすいもの。さらに若いうちは治そうとする力が強いぶん、異物に反応して炎症などを起こしやすいので、手術の傷跡なども目立ちやすいのです。
また、自分自身の価値観や美意識が定まらないうちに顔のデザインを変えるのは危険! 今、キレイと思っているものを10年後もキレイと思うとは限らないのですから。だから個人的には、“迷うならやるな”と言いたいですね。それでも受けたい場合には、きちんと技術と知識を持った医師を見つけること。
見極めのポイント
・日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医であること(レーザーやヒアルロン酸などの注入を受ける場合)
・日本形成外科学会専門医、または指導医であること(目頭切開、二重手術といった手術の場合)
・大学病院などできちんと研修を受けていること
・論文を5本以上執筆していること(1本の論文を書くためには30~50本ほどの参考論文を読破する必要があり、知識の裏付けになります。これは、クリニックのホームページを見ればチェックできます)
・技術を安売りしていないこと(名医ほど、技術の安売りはしません。あまりにも安価なところは要注意)
・強引に施術を勧めてこないこと(高額な手術をその日のうちに決断させるところは要注意)
上記が参考になります。クリニックのホームページで医師のプロフィールを見ればチェックできますよ。
若いうちは、大がかりな施術をしなくても十分にキレイ。そこを理解して欲しいですね。
先生からのアドバイス
ホームページの「失敗ゼロ」はあまりアテになりません。なぜなら、失敗した患者さんは、そこのクリニックには二度と行かないのだから。

整形するしないは人の自由だけど『あの子絶対整形してるよねーwww』って小ばかにする子は普通にキライ☆
illustration/ Pantovisco