「自分らしく生きる」ということは、かんたんなようで難しい。フリーアナウンサーとなり、次のステップへと歩みはじめた宇垣美里から見えている世界は、もしかしたら私たちとは少しだけ違うのかも。10月のテーマは「メタモールフォーゼ」。宇垣さんが大好きなメイキャップや、時々公開しているコスプレについて、胸の内にはどんな想いがあるのか。自身の言葉で綴っていただきました。宇垣美里のエッセイ【私から見えている景色】

第四章 『メタモルフォーゼ』
(一)
人は、きっと何かになりたくてメイクをするのだと思う。
誰かのたったひとりになりたくて、淡いピンクチークで優しい愛されメイクを。誰にも揺るがされない強い自分でいるためには、黒いアイラインでがっつり囲み目メイク。ここぞというプレゼンの現場には知的に見えるブラウンリップをチョイス。
なりたい自分になるべく、朝の鏡の前では常に試行錯誤。
時間の限りもあいまって、ドレッサーは戦場そのものだ。色を纏って魔法のように、なりたい私になることができるメイクが、私は大好き。

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だからだろうか、雑誌などで「宇垣さんの普段のメイクを教えてください」と言われると毎回困惑してしまうのだ。「私、普段のメイク、なんてない……」毎日アイシャドウだってアイラインだってチークだって、同じものは選ばない。
その日の天候や、化粧をして歩く時間によってファンデーションだって違うものを使うし、口紅なんてその時の気分によってころころ変えちゃう。
多分私は何か同じものを使い続けて“私らしさ”が固まっちゃうのが怖いのだと思う。
何にもなりたくないし、何にでもなりたい。天邪鬼なのか、ただの遅れてきた反抗期なのか。でも、いつもの一色、いつものメイクを持たないということは、虹色のベールを纏っているようで、なんだか自由ですがすがしい。今日は何色を選んで、どんな自分になろうかな。

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宇垣美里にQ&A

Q. 宇垣さんの生き方、考え方が憧れです。
そんな宇垣さんが思うかっこいい女像を教えてください!(30歳・女性)
いくつになっても軽やかに、新しいことに挑戦しつづけることのできる女性がかっこいいなって 思います。
私も自分で期限を決めず、いくつになったって、興味を持ってたくさんのことを学びたいし、 色々な国に行ってみたいし、まだ見ぬ景色に出会いたいなあ。あとそういう人はきっと人に思い込みを押し付けたりしないと思う ので、色んな考え方を柔軟に受け入れていきたいです。
兵庫県出身。2019年3月にTBSテレビを退社し、4月からフリーのアナウンサーとして活躍中。無類のコスメ好きとしても有名で、コラムやエッセイなど執筆活動も行っている。
宇垣美里マネージャーアカウント
▶︎@ugakimisato.mg
※衣装は全てスタイリスト私物
Text:Misato Ugaki Photo:Kota Shouji Styling:Mana Kogiso(io) Hair&Make-up:Sayoko Yoshizaki(io) Composition Mayuko Kobayashi