1954年に創刊され、日本で現存する漫画雑誌の中でもっとも長い歴史を持つ『なかよし』。創刊65周年を記念して開催される夢のような展覧会を記念して、大の“なかよしっ子”である、ステレオテニスさんと、弥生美術館学芸員の外舘惠子さんに、『なかよし』の魅力について大いに語ってもらいました!
「リボンの騎士」から「美少女戦士セーラームーン」、「ミラクル☆ガールズ」、「カードキャプターさくら」まで!『なかよし』65周年を記念して原画展を開催

過去と最新の『なかよし』を持って、大盛り上がりの“なかよしっ子”! 右:ステレオテニスさん、左:外舘惠子さん
ぎょぴちゃん!別冊!豪華付録の魅力!
――おふたりは『なかよし』の愛読者だとお聞きしましたが、どの作品が一番思い出に残っていますか?
ステレオテニス 私は80年生まれなので、『きんぎょ注意報!』(猫部ねこ)や、あさぎり夕先生の作品が好きでよく読んでいました。あとは、絵がオシャレでスタイリッシュなひうらさとる先生の作品も大好きでした。

『なかよし』の思い出を語るステレオテニスさん。一番好きな作品は『きんぎょ注意報!』とのこと
外舘 たしかに『きんぎょ注意報!』はアニメ化もされるほど大人気でしたよね。
ステレオテニス そうなんですよね。とくに“ぎょぴちゃん”の付録がかわいかったですよね。“ぎょぴちゃん”以外でも、付録が格段に凝っていたこともあり、それ目当てにも買っていたような気がします。
外舘 付録も豪華になって、お店で売られている商品っぽい感じがありましたよね。
ステレオテニス そうそう! なかでも、いろんなキャラクターのシールが1枚の台紙にぎゅうぎゅうに貼ってあるものが大好きで、今でも家にあるんですよ。
外舘 シールはかわいかったですよね~。そういえば、付録に別冊がついているときもありましたよね。私は別冊のマンガ『ミンミン!』(あさぎり夕)が大好きなんです!
ステレオテニス ありましたね~。私もよく読んでいました。
外舘 『ミンミン!』は、魔法の国から修行のために人間界にやってくる落ちこぼれの“ミンミン”が主役なんですが、眠ると人形になってしまうんです。その姿もとってもかわいいんですよ。

別冊付録『ミンミン!』の各登場人物について熱く語る外舘さん。語りだしたら止まらない!
ステレオテニス ちょっとデフォルメされるんですよね。
外舘 はい! それに、イケメンもたくさんでてくるんです。ただカッコいいだけではなくて、ファンタジーオタクだったり、カッコいいのにお金が好きだったり……。ミンミンも大食いでとっても愛らしいんですよ。今読んでも楽しめると思うので、ぜひ読み直してもらいたいですね!

『きんぎょ注意報!』(猫部ねこ)、『ミンミン!』(あさぎり夕)など
『なかよし』にはアニメ化された作品も多く、放送翌日にはクラスで必ず話題に上りました。展覧会では、あさぎり夕先生の特別展示コーナーも!
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セーラームーン、レイアース、女子が闘う90年代
ステレオテニス そう考えると、『なかよし』はファンタジー色が強い作品が多かったですよね。
外舘 そうですね。『魔法騎士(マジックナイト)レイアース』(CLAMP)もそうですし、『美少女戦士セーラームーン』(武内直子)も大ヒットしましたね。
ステレオテニス 『美少女戦士セーラームーン』は本当にセクシーでしたよね。とにかくスカートが短い!(笑) 変身シーンもエロスを感じて印象的でした。
外舘 子どもだった私には『美少女戦士セーラームーン』は、少し刺激が強すぎたこともあり、『魔法騎士レイアース』のほうが、闘いに特化していて読みやすかったんです。そう考えると、90年代って、女の子が闘う作品が多いんですよ。80年代にも『魔法の天使クリィミーマミ』などの変身もののTVアニメはありましたが、変身してアイドルになるだけなので、闘うわけではないんですよね。

「今見てもすっごくかわいい!」片岡みちる先生の絵の可愛さにテンションが上がるステレオテニスさん
ステレオテニス たしかに、世代的に女の子が強くなっているのも、そこに反映されているのかもしれないですね。ちょうどギャルが出てきたころに重なりますしね。あとは、『さくらんぼねむり姫』(片岡みちる)は、他の連載マンガとはまったく異なるテイストで、すごく印象的でした。
外舘 絵のテイストも独特で、とってもかわいくて私も大好きでした!

『魔法騎士レイアース』(CLAMP)、『美少女戦士セーラームーン』(武内直子)、『さくらんぼねむり姫』(片岡みちる)など
90年代は、闘う魔法少女とファンタジーな女の子が大活躍! 少女にたくさんの勇気をくれました
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小学生の流行を生んだ『あずきちゃん』
ステレオテニス こうやって作品を見て思うのは、私自身、中学生の頃から本格的にマンガも描いていたので、すごく好みの絵が多く載っていたんだと思うんです。線の細さ、ホワイトの使い方などを中心によく見ていたのを覚えています。あとは、『なかよし』の読者投稿コーナーの「ちゃめっこクラブ」が大好きで、いまも仲の良い友達とのLINEグループの名前は「ちゃめっこクラブ」なんですよ(笑)。

ステレオテニスさんが15歳の時に描いたマンガ作品!『ラブリー』というタイトルで雑誌にも投稿したそう

今回特別にそのマンガの原画に『なかよし』公式ロゴをのせてコラボ! 20数年越しの夢がつまっています
外舘 あはは。すごくいいですね! 「ちゃめっこクラブ」のイラストも片岡先生でしたよね。あと、私の青春として語れるのは、秋元康先生が原作をつとめた『あずきちゃん』(原作・秋元康)です。
ステレオテニス ありましたね~! 少しリアルな恋愛観が描かれていましたよね。
外舘 そうなんです! クラス替えとか、片思いなど、小学生のリアルな恋心が描かれていてすごくドキドキしていたんです。消しゴム占いなどの当時の小学生の流行が描かれていて、私もやってみたりしていて……(笑)。

「一番好きなのは、セーラームーン、レイアース、あずきちゃん、ミンミン……全部好きすぎて絞れない!」と外舘さん
外舘 そんな『なかよし』を愛していた私たちの青春が詰まっている作品も【創刊65周年記念『なかよし』展~乙女には恋と夢(ファンタジー)が必要だ☆~】で展示されるので、ぜひ観に来てください!
ステレオテニス 楽しみで仕方がないです! 思い出して「わぁ!」ってなる作品がたくさんありそうですね。
外舘 童心に返るだけでなく、大人の目で見るとさらに新しい発見があると思いますよ!
そして対談の後編はさらなる作品の魅力と展覧会の見どころについて語ります!
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【創刊65周年記念『なかよし』展~乙女には恋と夢(ファンタジー)が必要だ☆~】
場所……弥生美術館【アクセス情報はコチラから】
期間……2019年(令和元年)10月4日(金)~12月25日(水)
開館時間……午前10:00~午後5:00(最終入館午後4時半まで)
入館料……一般900円/大・高生800円/中・小生400円
※竹久夢二美術館と二館併せてご覧頂けます ※高畠華宵の常設ルームもご覧いただけます
展示替え……作品保護のためカラー原画は1ヵ月で作品入れ替えをします。詳しくは弥生美術館公式HPよりご確認ください。
原画展のお問合せ……弥生美術館 03-3812-0012(10:00~17:00)
創刊65周年記念『なかよし』展公式図録
なかよしArt Book 9月28日(土)発売決定!
A4判 オールカラー 3000円(税別)
展示される原画の一部を収録した『なかよし』65年間のレジェンド作品が大集結した超豪華版!
展示会場と全国の書店さんで販売します。

講談社
ステレオテニスグラフィックアーティスト、デザイナー。音楽やファッションなどカルチャーシーンを中心に、広告表現や空間プロデュース、イベント企画に至るまで、ボーダレスに活躍の場を持つ。イラストやグラフィック表現、映像のディレクションからプロダクトまで、世界観を統一させたクリエイティブに根強いファンが多い。Instagram:@stereo.tennis
外舘惠子(とだて・けいこ)
弥生美術館学芸員。「樺島勝一展」「陸奥A子×少女ふろく展」「山岸凉子展」「『はいからさんが通る』展」「一条ゆかり展」などの企画を担当。編集に『陸奥A子』(河出書房新社)、『「はいからさんが通る」と大和和紀ワールド』(宝島社)などがある。
Text:Kana Yoshida Photos:Kanako Okada Composition:Mana Takemura、Aki Fujimoto
撮影協力:2DCafe 東京都新宿区百人町1-7-5 座ビル1階 tel:03-6457-3032