「初挿入って痛いの?」「処女膜の場所はどこ?入らないことはあるの?」「初体験はやはり痛いの?」「処女だと血が出るの?」「処女膜強靭症って一体なに?」初めてのSEXはわからないことだらけで不安ですよね。彼との初めての夜、エッチが不安でたまらないあなたに学校では教えてもらえない疑問を、医師・喜田直江先生とセクシー女優・戸田真琴さんにぶつけてみました。

喜田 直江先生 京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術を経験。その後、形成外科医としての技術を幅広く習得した後、美容外科・美容皮膚科全般に携わる。2011年、銀座で 「なおえビューティークリニック」を開院。美容婦人科治療専門クリニックとしては日本初。メディア出演多数。

Page 2
Q.セックスって気持ちいい? それとも痛い?
初体験は痛いかも。事前に自分の「気持ちいい」を知っておくのもおすすめ

はじめてのセックスでは、処女膜が切れる痛みだけではなくて、緊張などの精神的な影響によって膣が十分に潤わず、痛みを感じることがあります。初体験からセックスが気持ちよくなることは難しいかもしれません。
潤い不足を解決する方法
ローションで物理的に補う
オススメはタンポン型のジェル。ベッドでローションのボトルを出すのはちょっと……という人でも気軽に使えるので、選択肢のひとつとして知っておいてほしいですね。
事前にマスターべーションをしてみる
自分の気持ち良い場所を探すために、事前にマスターベーションをしてみるのもいいですね。男性も相手の気持ち良いところまではわからないもの。自分の体を知るために、無理のない範囲でやってみてください。
セックスが終わってもずっと痛みを感じる場合は、膣に異常がある可能性もあるので、早めに病院へ行きましょう。
戸田真琴の初体験

私は3年前にAVデビュー作の撮影で処女を卒業したのですが、正直、痛かったですね(笑)。「自分が思っている以上に奥まで入ってくる!」とビックリしたのを覚えています。1回目のセックスでは胸や体を触られている気持ち良さはあったけど、挿入そのもので「気持ちいい」と感じるまでにはならなかったです。
2回目は、それから1カ月後くらいだったけど、そのときも少し痛かったかな。
でもセックスに限らず、なにごとも緊張していると楽しめないものでしょ。最初はリラックスできなくて当然! 徐々に緊張しなくなるし、気持ち良く感じられるようになってくるはず。
体の相性についてもいろいろなことが言われていますが、一番影響してくるのは“自分の気持ち”だと思います。心のどこかで相手を信用していなかったり、「私、ヘンだったらどうしよう、嫌われたらどうしよう」って気にすれば気にするほどセックスに集中できなくなって、濡れにくくなっちゃうの。その結果、挿入されるときに痛みを感じてしまうことも……。
私の場合は普段からオナニーをしていたのですが、自分が「気持ちいい」と思う場所や感覚を知って慣れておくのは大切だと思います。今はirohaなど女性向けのグッズも売っているし、シャワーでこっそり……というのも手軽でいいかも。

Page 3
Q.初めてのとき、処女膜が破れて血が出るって本当?
出血しない場合もある!「もっと我慢すれば」なんて思わなくていいですよ

そもそも処女膜とは、膣口付近にあるリング状の粘膜のヒダのことで、正式には「処女膜輪(しょじょまくりん)」といい、月経の血液やおりものもそこの間を通って出るようになっています。
はじめての性交では、男性器の挿入によって、膣口の周りにある処女膜に切れ目が入って、ときにそれが裂けて出血します。破れずに伸びるだけで出血しない場合もあります。
また処女膜は切れ目が入るだけで、なくなるわけではありません。
多くの場合、最初の性交渉で簡単に切れ目が入って、その後は徐々に痛みが減っていくもの。けれど「どうしても痛い」と訴える人の中には、処女膜が非常に硬くて厚いためになかなか破れず、挿入時に痛みを伴ってしまう「処女膜強靭症」というケースもあります。
どうしても「セックスが痛い」場合は……
まずは婦人科形成の専門医に相談してみてください。「自分の努力が足りない」「もっと我慢すれば」などと思う必要はありません。処女膜強靭症だとしても短時間の手術で治すことができます。
戸田真琴の初体験

私の場合、血は出なかったですね。お相手が超ベテラン男優さんだったので、前戯から優しく時間をかけてしてくださったことも関係あるのかも。
もし初体験同士のエッチなら、恥ずかしがらずに二人で一緒に調べてから臨むのもいいかなと思います。そんな関係って憧れます。
特に女の子は、初体験が微妙だとその後もセックスに対してポジティブなイメージを抱きづらくなってしまうから、最初が肝心ですよね。
男の子の中には「処女は生理がこない」と思っている人もいてびっくりしたことがあります。
日本は避妊や性感染症も含めて、性教育が遅れていると言われていますが、みんなが恥ずかしがらずに柔らかくオープンに性を語れる社会になったらいいなと思います。

Page 4
Q.初体験だと妊娠しないって本当?
ウソ。非科学的すぎる!!! 避妊が大切なのは、いうまでもありません!

一体なにを根拠にしているのか、非科学的すぎるニセ情報に驚いてしまいます(苦笑)。そもそも性交渉は子どもを作る行為です。処女であってもなくても、初潮を迎えた女性ならば妊娠の可能性は常にあります。性感染症予防の意味でもコンドームでの避妊が大切なのはいうまでもありませんが、ピルの併用もオススメです。
戸田真琴のセックス哲学

「彼に嫌われたくない」という思いから、好きな人にそんなニセ情報を吹き込まれて生ですることを求められたら、断れない子もいると思うんですよね……。それが一番怖い。だから特に避妊については相手に任せきりにせずに、自分の身は自分で守りたいですよね。
私はもともと生理不順やPMSに悩んでいたこともあってピルを服用し始めたんですが、自分でできる避妊法としてもピルはオススメです!
「コンドームは痛い」っていう男の人もいるのですが、今のコンドームっていろんな種類があるし、薄いし、性能もいいんですよ。素材もゴムのニオイがする従来のラテックス製以外に水系ポリウレタン製のものもあります。いろいろな種類のゴムを試してみるのも楽しいかも。
ありえない都市伝説で、女の子の気持ちを利用してくるような人もいるかもしれないから、自分の身を守るためにも避妊の知識を身につけておきたいですね。

Page 5
Q.そもそもセックスってすべき?
無理はしないで! だけど友達とセックスの話ができず寂しい気持ちはよくわかる

「セックスをしたくない」と思っている人の中にも、その背景にはいろいろな理由があると思います。
性欲がまったくない場合
無理に性交渉する必要はありません。セックスをする際になによりも大切なのは、相手との価値観の釣り合いです。もしも相手がお付き合いの中で、そこまでセックスを重視していなかったり、興味がないという人ならば、無理してセックスをする必要はありません。
これは年齢が上がっても同じことがいえるのですが、性に対する価値観が合う・合わないも「セックスの相性」に含まれます。それを無理に片方に合わせようとすると、「相性がよくない」という新たな悩みにつながることに。性の価値観が合う相手を探すことも恋愛では大切ですよね。
体を見せるのが恥ずかしい場合
性交渉をしたくない理由が、「性欲はある、でも体を見せるのが恥ずかしい」「自分の体にコンプレックスがある」という場合は、具体的な対策を探りましょう。
もちろん、コンプレックスのある部分を肯定してくれる相手や、気にしないでいられる相手にめぐりあえると素敵ですよね。でも、そうでない場合も、もしも体毛が多いのが悩みなら脱毛をすれば良いですし、小陰唇のヒダが大きくて見せるのが恥ずかしいのなら小陰唇縮小の手術をすることもできます。医学的にもコンプレックスを解消する手段はいろいろあるので、正しい知識を持っていると得だといえます。
戸田真琴のセックス哲学

もちろん無理してセックスをする必要はないし、たまたまタイミングが合わなくてずっと処女……という人も多いと思います。
私自身の話でいえば、親から「結婚するまでセックスしてはいけない」「男の人と二人きりになっちゃダメ」と言われて育ってきたので、処女を卒業することはハードルが高いものだと感じていました。
でも、周りの友達と恋愛やセックスの話ができないことに寂しさを感じていたのも事実。みんなが気をつかってくれるのか「まこりんに、この話はやめておこう……」みたいな空気ができるんですよね。知ったふりをしてても、経験がないのってバレてしまいますしね。
セックスをする前は「そのときがきたら、ちゃんと対応できるのかな」とか「自分の体って他人から見てヘンじゃないのかな」とか本当にいろいろと考えていました。AV女優さんはみんなカラダが綺麗だし、エロ漫画は反応が誇張されてるし……。どんな風に振る舞ったら「正解」なのかわからなかった。「こんな私を見せたら嫌われるかも」っていう恐怖感すらありました。でも今振り返ると、その頃はセックスを少し大げさに捉えていたんだなとも思います。
もちろん「本当にこの人でいいのかな」って少しでも迷うところがあるなら、やめておいたほうがいいと思う。だけど、お互いが信頼しあっているなかでセックスすれば、ものすごく悪い方向にいくことはあまりないんじゃないかな。
ネットを見ると女性が処女であるということを特別視する「処女厨(しょじょちゅう)」なんて人もいますが、それはどこまでも男性本位の視点だと思います。処女であってもなくても自分の価値って変わらないはず。セックスしてもなにも減らない。そもそも処女を「捨てる」という言い方もおかしいですよね(笑)。セックスに限らず、

Page 6
Q.セックスするとなにかが変わるものですか?
「幸せホルモン」が分泌されやすいことは科学的に証明されている

よく「セックスをすれば女性ホルモンが活性化される」なんて説を聞きますが、女性ホルモンであるエストロゲンがセックスによって増えることはありません。セックスと女性ホルモンの因果関係は、医学的にはないんです。
患者さんの中には60代、70代の方でセックスを楽しんでいる女性がたくさんいますが、その方たちがセックスをすることで女性ホルモンが分泌されてしまったら、再び生理がきてしまいます。過剰な女性ホルモン信仰は非科学的だといえるでしょう。
ただ、セックスをすることで、他人に自分の体を見られるという意識から、普段から念入りにお手入れをするようになって、結果的に肌がきれいになる、ということはあると思います。コンプレックスを解消するためにエステやクリニックに通う人もいるかもしれませんね。
またハグをしたり、触れ合ったりすることで、「幸せホルモン」と言われる「オキシトシン」が分泌されることは科学的にも証明されています。しかしオキシトシンはペットを抱くことでも分泌されるので、「セックスできれいになる」というわけではありません。
戸田真琴のセックス哲学

以前、初めてのセックスの前と後の写真をブログに載せたのですが、反響がすごかったんです。顔つきが変わったことに自分でも驚いたし、
私自身、それまで他人に裸を見られるのが怖かったんですよね。初体験がAVの撮影だったのでなおさらでした。でも相手役の方に見せたことで「あ、私、ヘンじゃないんだ。普通なんだ」って思えるようになったのは大きかったですね。
それまでは裸になるどころか、自分は可愛くないと思い込んで思いっきり笑うこともできなかったぐらい自信がなかったんです。デリケートゾーンの毛が濃いのもコンプレックスでした。だからこの世界に入って、「笑顔がいいね」「デリケートゾーンの毛は撮影のときには剃ってこないでね」って言われたのは目からウロコでした。
さらに素の自分をさらけ出してみたら、胸が大きい/小さい、体つきや毛の濃さ……どれも好みは様々だし、正解もない、という気持ちを持てるようになりました。
「女の子ってこんなふうに変わっていくんだ……」というひとつの例として「戸田真琴」を見てもらえたら嬉しいです。

Page 7
最後に、不安を抱える処女の方々へメッセージ

セックスをするタイミングは人それぞれですし、価値観も様々ですが、最低限のお手入れはしておいたほうがいいですね。V I Oの処理に加えて、デリケートゾーンはきちんと洗いましょう。
診察をしていると、若い人の中にはヒダに恥垢(ちこう)がたまっている人が多く見受けられます。恥垢がたまるとデリケートゾーンから嫌なにおいが発生したり、かゆみが広がったりとトラブルの原因になることも。お湯でササッと洗うだけでは落ちないので、専用のソープできちんと洗うことが大切です。洗顔と同じぐらいの意識でケアをしてみてください。
また自分のデリケートゾーンを見たことがない人もいるかもしれませんが、一度鏡で見てみましょう。常日頃から鏡でチェックしていると、自覚症状がない病気の早期発見につながることもあります。特に初期の梅毒はデリケートゾーンに赤いしこりができるだけで痛みもかゆみもありません。性感染症予防や健康管理という意味でもぜひ、鏡で見てみてくださいね。
最後に男女ともに知ってほしいのは、「AVのセックスは現実と違う」ということです。そもそもAVみたいに2〜3分で女性が絶頂に達することはありえません。ファンタジーで描かれている姿を見て「私は全然、気持ちよくなれない、不感症かも」なんて思わなくて大丈夫。
「AVみたいに野性的になれない」という声も聞きますが、セックスの最中も頭の中でどこか冷静になっているところがあって集中できない、というのは大人になってからも同じ。セックスの悩みは、何度も体験をしながら、時間をかけて折り合いをつけていくものなので、最初から野性的になろうとは思わなくて大丈夫です。
AVを見て楽しむのはいいこと。でもこれはあくまでもファンタジーで、実際のセックスの参考にはならない、ということを知っておいてください。

生きる楽しみっていろいろあると思うんです。セックスをするって、ファッションやメイク、友達とのおしゃべりみたいな日常に溶け込む楽しさに新しいジャンルがひとつ増えるようなことだと思うんです。
病気や妊娠のリスクをちゃんと知ったうえで、「この人とだったらいいかな」と思う人が現れたら、ときに「えーいっ!」って踏み出してみることで、生活の楽しさが広がるかもしれない。
なにより確かなのはセックスには絶対的な正解がないこと。「自分が間違っていたらどうしよう……」って思う気持ちが一番ツラいですよね。でも正解がないってことは大きな間違いもないってことだと思うんです。あなたの初体験が素敵なものになることを応援しています。

合わせて読みたい♥
Photos: Tohru Daimon Text: Akemin