待ってました、こんな映画を! 愛がいっぱいで、スペクタクルで、一途で、切なくて、みんながカッコよくて、みんながちゃんとカッコ悪くて。命の尊さ、今を生きることの大切さ。そんな重めのテーマを、ちゃんとエンタテインメントの中で伝えてくれる。そんな映画が、「劇場版コードブルー―ドクターヘリ緊急救命―」。号泣必至のこの映画のメインキャスト5人が Pʼs STYLE に集結。我らが山Pの大切な〝仲間〟と、映画の話、お互いの話をじっくりたっぷりお届けします!
10年経ってはなせること。
戦友のような、家族のような。幼なじみのような、美形揃い過ぎるバンドのような。打てば響きまくる5人の関係性。出会いから10年のときを経て、5人の心の美しさは役柄とともに磨かれて―。

左から・比嘉愛未 戸田恵梨香 新垣結衣 浅利陽介

映画の中に、昔の映像が出てきたでしょ? あれ観て我ながら「若っ!」って思った(笑)。ファーストシーズンでは23歳だったんだけど、あの頃は尖っていたね。
(しみじみと)尖ってたね〜(笑)。


アハハ。若気の至りとはいえ、面白いことをやりたいとか、自分の腕を磨きたいって思いが前面に出ちゃって、周りが見えていなかったんだよね。セカンドシーズンが25歳で、でもまだ大人になり切れてなくて。その辺は僕の人生ともリンクしてたなと思う。
私も、ファーストシーズンの頃は、大分トゲトゲしてたかな(笑)。緋山はそのトゲが、強さや包容力に変化したんだなぁって思った。


私は10年前からこんなだった。でも、映画で冴島がやっと人間らしくなれていたのは感慨深かった。冴島がいろんな苦労をして、人として豊かになったなら、私ももっと苦労して……。
苦労しなくていいよ! 楽しく生きよう(笑)!


そうだね(笑)。〝なんくるないさ〞と楽しく。でも、もっと大人になれたらなと。
いやいや、みんな成長していると思うよ。僕も成長し続けてるし(笑)。藤川は明るい役だけど、僕だって最初は、藤川ほどは明るくなくて。そういう意味では、藤川という役に成長させてもらったと思ってる。

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セカンドシーズンから7年経って、いろんな経験をして、その間に、僕自身が人間を好きになった。人のことを知りたいなと思うようになった。今回、「誰かのために医者をやっているんだ今は」って台詞があるんだけど、僕も今、自分のためというよりは、その先の誰かのため、誰かにいい影響を与えられたらいいなという気持ちで仕事をしているんだよね。
それは、今回の映画に関してプロデューサーさんが言ってたことともリンクしてるんじゃないのかな。「ファーストシーズンから、それぞれのリアルを追求している」っていうことと。スーパードクターじゃなくて、ごくありふれた、人間味溢れるドクターたちの日常を描くのがこの作品のテーマだから、自然と私たちの変化も、反映されたものになった。


ファーストとセカンドでは〝命の重さ〞を描いていて、サードシーズンで、救えない命があるってことを、みんながちゃんと認められるようになったわけだよね。
だから、サードと映画は、〝今をどう生きるか〞ってことがキーワードなのかなと思ってる。


私が今回の映画で刺さった台詞は、「あなたと生きていく」。仕事を通して、日々、死と向き合っている人たちの「あなたと生きていく」って宣言は、すごく重みがあると思った。
私は、「思いは伝えなきゃいけない」かな。身近な人の死は、人生を歩む中で、いつかは経験すること。だから、恥ずかしいとかじゃなく、後悔しないように思いをちゃんと伝えて生きていきたいなって。


それは、実際の私の課題でもある。私たちの仕事って、人に何かを伝えなきゃならない機会も多いじゃない? でも、相手の気持ちを想像して、勝手に先回りをして言わないことって、私はまだまだ多いから。
藤川は、たまにふわっとしながらも的を射た台詞があったりして、それも楽しかったな。


台本には、台詞の上に発言者の名前が書いてあるけど、「コード・ブルー」の場合、名前を隠しても、読めば誰の台詞かがわかる。そのくらいキャラクター設定がしっかりしてたからね。たまにバーのシーンみたいに、藍沢らしくない場面もあったけど(笑)。
それにしても、戦友であり、他の作品で頑張っている姿を見ても嬉しくなる。そう思える仲間との出会いがあったことが幸運だったなぁ。

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――5人が家族なら、父母、きょうだい、ペット……誰がどの立場になりそう?

お母さんは結衣だね。
(浅利に向かって)じゃあ、〝お父さん〞じゃない?


俺、お父さん? ホント? いや、ペットぐらいでいいんだけど(笑)。
おじいちゃんじゃない? スタジオの前室で一人でお茶すすってる姿が、おじいちゃんにしか見えない(笑)。


(新垣を指して)長女、(戸田を指して)次女、(比嘉を指して)三女、って感じですね。
それ、まんまじゃん(笑)。

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じゃ、山さんは?
親戚のおじさん!


薄っ! 繋がりが(笑)!
たまにしか会わないから?


〝長(おさ)〞でしょ。長男なのか、お父さんなのかわからないけど、とにかく長がつく立場。
じゃあわかった。単身赴任しているお父さんってことで(笑)。

お互いに対する尊敬と信頼。それから、一緒に歩んできた10年がなかったら、これほどまでに深いお互いへの理解は生まれない。こんな素敵な仲間がいれば、こんな素敵な作品が生まれるのは必然。
P R O F I L E

1985年生まれ。主人公藍沢耕作役。救命センターの医師で、フライトドクター候補生だったのが、3rd Seasonからはフライトドクターに。藍沢の専門は脳神経外科で、2018年からトロント大学の臨床医師として働くことを決意。

1988年生まれ。3rd Seasonからはフライトドクターで、かつチームリーダーを務める白石恵役。真面目で温和、自己主張が苦手な性格で、新垣さん自身、白石がまさかチームリーダーになるとは想像もしていなかったらしい。

1988年生まれ。周産期母子医療センタ ー勤務を経て、翔陽大学附属北部病院救命センターにフライトドクターとして戻って来た緋山美帆子役。緋山は3rd Seasonで、白石宅に居候。新しい恋も始まるが、その決着が映画で……?

1986年生まれ。救命センターの看護師でフライトナースの冴島はるか役。冴島は抜群の技術と医師並みの知識を持つスーパーナース。3rd Seasonでは藤川の子供を妊娠、プロポーズもされるが、流産してしまう。最後は求婚を受け入れ結婚。

1987年生まれ。専門が整形外科のフライトドクター藤川一男役。映画では、冴島との結婚式を実現するために奔走するが……? 浅利さん自身、この秋は、360度回転するステージが話題の新感線☆RS「メタルマクベス」disk2にも出演。
取材・文/菊地陽子 デザイン/ma-hgra